|更新日 2020.12.02
|公開日 2017.05.13

宅建民法の勉強法


民法初心者・独学の人へ

民法は決してむつかしくありません。
はじめての人……。
苦手な人……。
コツがあります!


最も効き目がある勉強法!

\本邦初公開/
はじめての人や独学の人が民法を理解するのはむつかしく、ほとんどの人が「自己流の勉強法」で失敗します。

  • 民法の勉強がはじめて
  • 民法が苦手・不安だ
  • 勉強法がわからない
  • 市販の解説書では理解できない
  • 独学で奮闘している
  • いつも民法で点がとれない

そういったみなさんが、民法の正しい勉強法を身につけて、安定して高得点できるようになるコツをご紹介します。
民法の勉強法を真剣にお考えの方は、じっくりとお読みください。
少々長旅ですが……。

1|何を勉強するの?

宅建民法の試験問題は、ほとんどが「民法の規定及び判例によれば、正しい(または誤っている)ものはどれか」というように出題されます。

「民法の規定」というのは、「民法の条文」ということです。「判例」というのは、最高裁判所の立場・見解のことです。
宅建民法用の多くの『解説書』は、代表的な判例は取り上げていますので、『判例集』を引っ張り出して特別に勉強する必要はなく、条文だけを勉強すればいいのです。

つまりは、宅建民法の問題は「条文」を知らなければ、正解できないのです。

 解説書は条文の説明書

民法で勉強するのは、実は「条文」です。「条文」と言うと、みなさんからスルーされてしまうのですが、実際のところ、民法を勉強するというのは、条文を勉強するということにほかなりません。
条文を抜きにして民法の勉強は絶対にありえないのです。

大型書店に山のように陳列されている民法の専門書は、『コンメンタール(遂条解説書)』『判例集』『注解書』『民法研究書』など数多くの種類がありますが、何といっても『条文の解説書』が圧倒的に多いのです。

すでに、令和2年(2020)4月1日から施行されている「新民法」に関する書籍が、多くの出版社から続々刊行されていますが、これも大半が『新民法の条文の解説書』なのです。

そして、みなさんが使用する宅建民法用の『解説書』も、『条文の解説書』にほかなりません。
みなさんは『解説書』を読んで「宅建民法を勉強」するわけですが、多くの人はそれと知らずに、実は「条文を勉強させられている」わけです。

 条文の趣旨を勉強

条文の趣旨や理由を理解する

条文の勉強というのは、条文が規定されるに至った「趣旨やその理由を勉強する」ということです。
どの条文も制度趣旨や理由があって定められているのですから、これらを理解しないことには、条文=民法を理解することはできません。
宅建民法の『解説書』は、こうした制度趣旨や立法理由を初学者向けにわかりやすく説明しているのです。

理由が分かれば忘れない

念のために言っておきますが、「条文を勉強する」ということは、決して「条文を暗記する」ということではありません。
頑張って条文を暗記しなくても、条文の趣旨や理由を理解すれば、自然と頭に残るものなのです。

2|4つのポイント

さて「条文の何を勉強するの?」ということですが、『解説書』を読むときには、必ず次の4つのポイントを理解するようにしてください。民法理解に欠かせないもっとも基本的なポイントです。

  • 1 意 義
  • 2 原則と例外
  • 3 要件と効果
  • 4 本人と第三者との関係
もちろんこれだけに限られるわけではありません。ほかにも「成立要件」「性質」「場合分け」「効力」「種類」など、民法で勉強することは数多くあります。

 意 義

用語の意味を理解する

民法理解の第1歩は、何といっても「用語の意味を理解する」ことです。
たとえば、「権利能力とは?」「虚偽表示とは?」「動機の錯誤とは?」「物上保証人とは?」「付従性とは?」「遡及効とは?」「善意とは?」などなど……。

まず、こういった民法用語の意味を絶対に理解しなければなりません。
『解説書』には必ず説明がありますから、これらの用語は真っ先に覚えます。

また、相違(相異)にも注意します。
「債務者と物上保証人の違い」「連帯債務と不真正連帯債務の違い」「弁済と弁済の提供の違い」「相続放棄と遺留分放棄の違い」などなど……、こうした点も理解する必要があります。

ただ、宅建試験では「用語の意味」自体を問う問題は出題されませんので、用語の意味を「1字1句」暗記する必要はありません。おおよそのイメージで十分です。

「民法用語の意味を理解する」ことが、民法マスターの最初の1歩です。

 原則と例外

これが試験にでる! その1

どんな法律も「原則と例外」で構成されています。民法条文も基本的には「原則と例外」で成り立っています。
「原則と例外」は非常に重要です。
そのため、標準的な『解説書』は必ず「原則と例外」を説明していますから、「原則は何か」「例外は何か」、これらを絶対に理解するようにしてください。

具体的に説明しましょう。
たとえば「未成年者の行為能力」について、『解説書』は大体次のように解説しています。

「未成年者が法律行為・契約をするには、原則としてその法定代理人の同意を得なければならず、同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、または義務を免れる行為については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が単独ですることができる。」

これは、未成年者が売買契約や賃貸借契約をするときには、「原則として」自分1人ではできず、必ず親などの法定代理人の同意が必要であること。
ただし「例外として」、単に権利を得たり義務を免れる行為については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が1人ですることができる、と説明しているのです。
これが試験に出るのです。

『解説書』には、このように「原則」と「例外」がハッキリ書いてありますので、すぐにわかります。
「原則」があれば「例外」があるわけで、ここでは「ただし……」以下が例外事項です(「ただし」とあったら「例外」という意味です)

こうして「原則と例外を理解する」こともまた、民法マスターの第1歩です

「原則と例外」は、民法に限らず、借地借家法、宅建業法や都市計画法など試験科目になっているすべての法律の至るところに出てくる共通のポイントです。

 要件と効果

これが試験にでる! その2

どんな法律も「要件と効果」で構成されています。民法条文も基本的には「要件と効果」で成り立っています。
「要件と効果」もまた、非常に重要です。
そのため『解説書』には、必ず「要件」についての説明があり、その「効果」についての説明があります。「要件」は何か、その「効果」は何か、正確に理解しなければなりません。

さて「原則と例外」「要件と効果」は、大体このような関係になっています。

  • 原則=(要件)+(効果)
  • 例外=(要件)+(効果)
常にこの図式で記述されているわけではありませんが、おおよそこんな感じです。

では「要件と効果」はどのように記述されているでしょうか。
先ほどの「未成年者の行為能力」をみてみましょう。

「未成年者が法律行為・契約をするには、原則としてその法定代理人の同意を得なければならず、同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、または義務を免れる行為については、法定代理人の同意は不要で、未成年者が単独ですることができる。」

未成年者が売買契約などの法律行為をする場合は、原則として法定代理人の同意が必要とされており、同意がないときは、取り消すことができるという趣旨でしたね。

ここでは、「同意がない」という「要件」があれば、「取り消すことができる」という「効果」が与えられており、これが「原則」なのです。
「例外」では、「単に権利を得る行為、または義務を免れる行為」という「要件」があれば、「同意はいらない」という「効果」が与えられているのです。

「原則」では、どういう「要件」のときに、どんな「効果」が生じるのか、また「例外」の場合には、どういう「要件」のときに、どんな「効果」が生じるのか。
これをちゃんと理解しているか、これが試験に出るわけです。

「要件と効果を理解する」ことも、民法マスターの第1歩です。

 権利関係|本人と第三者

これが試験にでる! その3

民法では、「第三者」に対する関係は非常に重要です。

民法の働きの1つは、「紛争解決の標準マニュアル」という点にあるのですが、法律関係とか契約では「本人と第三者の権利関係」がしばしば紛争となり、そして、本人と第三者の利益は常に対立するのです。

たとえば、相手にだまされて契約した詐欺の場合について、『解説書』はおおむね次のように記述しています。

「詐欺による意思表示は取り消すことができる。これは、だまされた本人を保護するためである。しかし、この取消しは善意の第三者には対抗することができない。」

「相手方」にだまされて契約をしたときは、だまされた「本人」はその契約を取り消すことができるけれども、「善意の第三者」に対しては、契約を取り消したことを主張できない、「取り消したんだから、もともとの権利は自分にある」とは言えないというわけです。
本人と第三者とが対立する
民法では、こうした「善意の第三者」に対する関係を理解しなければなりません。
権利をめぐって「本人」と「第三者」が対立したときに、「本人」を保護すべきなのか、「第三者」を保護すべきなのか。民法はどのように考えているのか。
これが試験に出るわけです。

「第三者」を保護すべきだという場合でも、保護されるための「要件」は、必ずしも一様ではありません。
過失(不注意)がある場合には保護されないとか、過失があってもいいとか、でも重過失はダメだとか、登記がなければ保護されないとか、登記がなくても保護されるとか、いろいろです。

「第三者」といっても、単なる「第三者」なのか、「善意の第三者」なのか、それとも「善意・無過失の第三者」なのか。
一体どういう「要件」を備えた第三者が保護されるのか。

「本人と第三者との関係を理解する」ことも、民法マスターの第1歩なのです。

民法マスターのポイント|1

1 意義・意味
どんな意味なのか、違いは何か
2 原則と例外
原則は何か、その例外は?
3 要件と効果
どんな要件のときに効果が生じるか
4 第三者関係
第三者が保護される要件は?

この4つのポイントを忘れないようにしてください。
民法で「安定して高得点する」ための最小限のポイントです。これを意識して読むのと、ただ単に覚えようとして読むとでは、理解力の深さに格段の差が出てきます。


ちょっと一休み……
ここらでコーヒータイムといきましょう

3|宅建民法が得意になる唯一の勉強法

本当にそんな勉強法があるのでしょうか?

いままで述べたのは「何を勉強するのか」という、いわば「勉強の対象」です。
肝心なのは、その「対象」について「どのようにして理解するのか」、つまり「理解する方法」なのです。
「原則・例外」「要件・効果」「第三者との関係」などをただ覚えるだけでは十分ではありません。

 暗記では歯が立たない事例問題

宅建民法の試験問題は、ほとんどが「事例問題」です。
たとえば「AはBから建物を賃借し、Bの承諾を得て、当該建物をCに転貸していた場合に……」というように、具体的な事例で出題されます。

事例問題は、「原則・例外」や「要件・効果」などを使って正解を導くわけですが、これらを暗記しているだけでは応用力がないためになかなか正解できません。
暗記が必要な部分もたくさんありますが、暗記だけ・覚えるだけで乗り切れる科目ではないのです。

民法が苦手になる理由

多くの人が民法で苦労するのは、「宅建業法」や「法令上の制限」と同じような勉強をしているからです。
これらは暗記中心の科目ですから、要は覚えればいいだけのこと。
『解説書』と『過去問』の往復学習を繰り返しやれば十分合格点はとれます。しかも短期間で。

しかし、民法は違います。
「暗記に重点を置いた勉強」をいくら頑張って繰り返しても、合格に必要な基礎力・応用力は絶対につきません。
先ほどいいましたように、民法の条文は「相応の理由があって論理的に組み立てられている」わけですから、そこを理解しないと民法を正しく理解することはできないのです。

ただ幸いにも、宅建民法は、司法試験や国家公務員上級試験などと比べて、それほど高度な論理性が要求される科目ではありませんから、「論理的な勉強」といってもむつかしく考えることはありません。

 弁護士から教わった勉強法

このアドバイスに救われた!

民法が得意になる唯一の正しい勉強法──。
それは「ので、から説」を使って勉強することです。議論の余地はありません。

この民法攻略法は、先輩の弁護士から教わったものです。
私がかつて公務員試験で民法の勉強に行き詰まっていて、模擬試験でもなかなか正解できず、どうしたら民法に強くなれるのか、民法の正しい勉強法は何だろうかと思い悩んでいたころ、弁護士として活躍していた先輩に相談したのです。

先輩弁護士

ので、から説で勉強すればいいんだよ。

「ので、から説?」
はじめて聞く勉強法でした。
ワラをもすがる思いで先輩のアドバイスを信じて、私はこの攻略法を、民法だけでなく、行政法・憲法など法律科目全般に活用して、東京都職員採用上級職試験に合格したのです(事情があって最終的には民間企業に就職したのですが……)

 スマホが発明されていなかった大昔の話です。今こうして、宅建受験者のみなさんにこの勉強法を公開しようとは夢にも思いませんでした。

 びっくりするような簡単な方法!

最も効き目がある「ので、から説」

「ので、から説」は、法的思考力・論理的思考力を「確実に身につける」唯一・最適の方法です。
民法だけではありません。この勉強法はすべての法律に適用できます
びっくりするほど簡単な勉強法ですから、あなたも今日からすぐに使えます。

「ので、から説」というのは、文章中の「~~ので、……である」「~~だから、……である」「~~のために、……である」などの記述から「趣旨・理由」を理解する勉強法をいいます。

どういうことかと言えば、「原則・例外」「要件・効果」「第三者との関係」などの説明を読むときに、次のような記述に注意するのです。

~~ので、……である」
~~だから、……である」
~~のため、……である」
~~。したがって……である」
~~である以上、……である」
~~。そこで、……である」
「……である。なぜなら~~

こうした記述の「~~(ニョロニョロ)」の部分こそが、まさに「趣旨・理由」を説明した最も重要な個所なのです。
ここをシッカリ読み込んで「原則・例外」「要件・効果」「第三者との関係」を理解していきます。

~~のため」「~~だから」「なぜなら~~」「~~。そこで」「~~。したがって」「けだし、~~。」など、みな同じです(「けだし」というのは、「思うに」とか「なぜなら」という意味です)
これらを総称してので、から説と呼んでいます。

『解説書』を読んでみよう

宅建用の『解説書』で「ので、から説」を確認してみましょうか。
『U-CAN の宅建士速習レッスン』から、代理における「自己契約・双方代理」についての記述です(2018年版|pp.257~)

8. 自己契約・双方代理の禁止
自己契約とは、代理人が契約の相手方になってしまうことをいいます。このような行為を認めると、代理人は自分に有利な契約を結んでしまい、本人に不利益を与えるおそれがあります。そこで、自己契約は、原則として禁止されています

代理人が、契約当事者双方の代理人になることを双方代理といいます。これもどちらか一方の本人の利益が害されるおそれがあるので、自己契約同様、原則として禁止されています。(中略)

ただし、本人(双方代理の場合は、双方の本人)があらかじめ許諾した場合は、自己契約・双方代理が許されます。不利益を受けるおそれのある本人が許諾しているのですから、禁止する理由はありません。

また、単なる債務の履行も例外的に許されます。たとえば、すでに売買契約が締結されており、その履行として所有権移転登記をする場合などです。行為の内容からして、本人に不利益が生じるおそれがないからです。」

さて、この記述でどこに注意すべきでしょうか。

まず、自己契約の「意義」、双方代理の「意義」を覚えなければなりません。赤字の個所ですね。イメージできればよかったんですね。

そして次に、「原則」は自己契約も双方代理も禁止されること。太字(ゴシック)の個所ですね。これらも絶対に押さえなければなりません。

次に、太字では記述されていない個所ですが、「ただし」として、つまり「例外」として、自己契約・双方代理が許される場合として、①本人が許諾した場合と、②単なる債務の履行をあげていますね。

しかしながら、これらの「原則・例外」を押さえるだけでは十分ではありません。
さらに、原則禁止される「理由」、例外的に許される「理由」、これらを押さえる必要があります。

こうしてはじめて論理的に民法を理解することができて、宅建試験でもおおいに力を発揮するのです。
下線を引いた「ので、から」の部分こそ、しっかり読むようにしましょう。

8. 自己契約・双方代理の禁止
自己契約とは、代理人が契約の相手方になってしまうことをいいます。このような行為を認めると、代理人は自分に有利な契約を結んでしまい、本人に不利益を与えるおそれがあります。そこで自己契約は、原則として禁止されています

代理人が、契約当事者双方の代理人になることを双方代理といいます。これもどちらか一方の本人の利益が害されるおそれがあるので、自己契約同様、原則として禁止されています。(中略)

ただし、本人(双方代理の場合は、双方の本人)があらかじめ許諾した場合は、自己契約・双方代理が許されます。不利益を受けるおそれのある本人が許諾しているのですから、禁止する理由はありません。

また、単なる債務の履行も例外的に許されます。たとえば、すでに売買契約が締結されており、その履行として所有権移転登記をする場合などです。行為の内容からして、本人に不利益が生じるおそれがないからです。」

おわかりでしょうか?
原則・例外」について、「ので、から」でていねいに説明してありますね。
「~だから、こういう原則があるんだ」「~だから、こういう例外が認められたんだ」と理解できればいいんです。
理解するからこそ「原則・例外」「要件・効果」「第三者との関係」をキチンと記憶することができるのです。宅建民法の勉強はこの積み重ねです。

むつかしく考えないこと

むつかしく考えることはありませんよ。
要するに、「ので、から」に注意しながら読んでいく、というだけのことです。
「ココが重要だろう」と当て推量で『解説書』を読んでいては、永遠に民法をマスターすることはできません。

民法マスターのポイント|2

「原則・例外」「要件・効果」
「第三者に対する関係」
これらをただ覚えるだけではなく、
「ので、から」を使って理解する。

 最高裁判所も「ので、から」説

効果は実証済み

平成20年(2008)から令和2年(2020)まで連続して13年間、判決文問題が1問出題されていますので、これらを取り上げて「ので、から説」が法律の現場でどのように使われているか、最高裁判所の判例で確認してみましょう。

引用したのは、直近5年間の問題です。
便宜上[論点・テーマ]を付記しています。
なお、【問1】~【問4】までの各選択肢は省略しています。

判決文は読みづらいものですが、ここでは「ので、から説」で判旨が理論構成されていることを確認するだけですから、ザーッと目を通すだけで十分です。

下線部分が「ので、から説」で趣旨・理由を説明している記述赤字部分が結論を示している記述です。
試験では、判決文の記述を手がかりに【問1】~【問4】の正誤を判断していくことになります。


 平成27年|問9 
[論点・テーマ] 賃貸借|転貸借
「土地の転貸借に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなく右土地を他に転貸しても、転貸について賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるため賃貸人が民法第612条第2項により賃貸借を解除することができない場合において、賃貸人が賃借人(転貸人)と賃貸借を合意解除しても、これが賃借人の賃料不払等の債務不履行があるため賃貸人において法定解除権の行使ができるときにされたものである等の事情のない限り、賃貸人は、転借人に対して右合意解除の効果を対抗することができず、したがって、転借人に対して賃貸土地の明渡を請求することはできないものと解するのが相当である。」

 平成29年|問3 
[論点・テーマ] 共 有
「次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を占有使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。」

 平成30年|問8 
[論点・テーマ] 賃貸借|通常損耗
「次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、(中略)その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。」

 令和1年|問5 
[論点・テーマ] 無権代理と相続
「次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。」

 令和2年|問3 
[論点・テーマ] 契約の解除
「次の1から4までの契約に関する記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。なお、これらの契約は令和2年4月1日以降に締結されたものとする。
(判決文)
法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解するのが相当である。」

……………………………………………………………
以上、ほんの一例にすぎませんが、「ので、から説」で理由づけがされていることがお分かりでしょう。
ので、から説」は法曹界で日常的に使われている最も信頼できる方法なのです。
「ので、から説」に慣れてくれば、こうした判決文問題を読み解くことも、思ったほどむつかしくはないのです。

おまけ|図を書くクセを

『解説書』を読むときや過去問練習をするときに、「A、B、C」が登場する事例が出てきたら、必ず用紙に「A→B→C」と関係図を書く習慣をつけるようにしてください。
事実関係を理解して、正解するためです。
頭ん中だけでイメージしてテキストを読んだりしていては、正解できません。

賃貸人A、賃借人B、転借人C、Aの債権者Dなどとオールキャストが登場すると、図を書かないことには完全にお手上げ。

本試験の2時間という「限られた時間」では、簡単な事例問題であっても、最初に問題を解く際も、後から見直し作業をする際も、図がないと、ちょっとしたパニックにおそわれます。

本試験では、問題用紙の余白(常にタップリあるわけではありません)に書いて解くことになりますので、小さなスペースでも書けるように、今から慣れておきましょう。

A、B、Cの立場や権利の流れなどが一目してわかりさえすればいいのですから、自分流の図でかまいません。


宅建試験合格への道のり
1回で合格する決意で取り組みましょう。
もう1回勉強するのは、時間とエネルギーの浪費です。
ご健闘を祈ります。

(長文のおつきあい、お疲れさまでした)