|公開日 2023.05.01

【問 1】 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。

 先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。

 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。

 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。(平成21年問5)

解説&正解
【1】[物上代位性]*372条/304条
 抵当権、先取特権、質権には物上代位性があって、担保となった「目的物が火災により焼失」して、債務者が「火災保険金請求権を取得」した場合には、その火災保険金請求権に対して担保物権の効力を及ぼすことができる。本肢は正しい。

【2】[担保物権の成立]
 先取特権は、公平の観点や経済的な弱者の保護という趣旨から、法律に基づいて成立が認められる法定担保物権である。当事者の契約によって成立するのではない。
一方、質権は、債権者と債務者による質権設定契約および目的物の引渡しによって成立する約定担保物権である。本肢は誤り。

【3】[担保物権の成立]
 留置権も先取特権も、動産および不動産について成立する。本肢は誤り。

【4】[善管注意義務]
 留置権者も質権者も、目的物を「善良な管理者としての注意」をもって占有しなければならない善管注意義務がある。ともに、有償契約に基づいて、他人の物を占有(保存・管理)するのだから、破損などしないようていねいに扱うべきというもので、「自己の財産に対するのと同一の注意」では足らない。本肢は誤り。

[正解] 1



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