|公開日 2023.05.01

【問 1】 甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Bが甲建物を不法占拠するDに対し明渡しを求めたとしても、Bは単純承認をしたものとはみなされない。

 Cが甲建物の賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。

 Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。

 Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、Bは単純承認をしたものとみなされる。(平成28年問10)

解説&正解
【1】[保存行為]*921条1号
 相続財産の全部または一部の処分は、単純承認をしたものとみなされる(法定単純承認)が、保存行為は処分にはあたらない。
 不法占拠者に対する明渡請求は、保存行為であって処分行為ではないので、単純承認をしたものとはみなされない。本肢は正しい。

【2】処分による法定単純承認]*921条1号
 相続財産を処分したときは、単純承認をしたものとみなされる(法定単純承認)。
 未払賃料を収受領得したことはまさに処分であるから、Cは単純承認をしたものとみなされる。本肢は正しい。

【3】[限定承認は全員で*923条
 限定承認は全員が共同してのみすることができるから、Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることはできない。本肢は正しい。

【4】期間経過による法定単純承認]
 相続人は自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認か限定承認または相続放棄をしなければならない。
 この期間は、相続を承認するか放棄するかを考慮するゆとりを与える趣旨なので、相続開始を知っている必要がある。したがって、「知らない場合」は「3か月が経過」しても単純承認とはみなされない。本肢は誤り。

[正解] 4



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