|公開日 2023.05.01
【問 1】 1億 2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aには、配偶者はなく、子B、C、Dがおり、Bには子Eが、Cには子Fがいる。Bは相続を放棄した。また、Cは生前のAを強迫して遺言作成を妨害したため、相続人となることができない。この場合における法定相続分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Dが 4,000万円、Eが 4,000万円、Fが 4,000万円となる。
2 Dが1億2,000万円となる。
3 Dが 6,000万円、Fが 6,000万円となる。
4 Dが 6,000万円、Eが 6,000万円となる。(平成29年問9)
解説&正解
[相続人と相続分]*887条2項
まず
相続人の確定だが、問題となるのは、Bの
相続放棄とCの
相続欠格である。
「相続を放棄」した者は、
はじめから相続人とならなかったものとみなされるので、Bには相続権そのものがないため、その子Eは相続人にはなれない。この場合、
代襲相続も認められていない。
一方、被相続人Aを「
強迫して遺言作成を
妨害した」Cは、
相続欠格事由に該当するため相続人となることはできない。ただしこの場合は、『
その者の子が代襲して相続人となる』とされているので、子Fが代襲相続人となる(相続分はCと同じ)。
以上より、相続人はDとFの2人、法定相続分は1億 2,000万円×
1/2= 6,000万円となるので、選択肢3が正しい。
[正解] 3
【問 2】 相続(令和2年7月1日に相続の開始があったもの)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
2 被相続人の子が相続開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となるが、さらに代襲者も死亡していたときは、代襲者の子が相続人となることはない。
3 被相続人に相続人となる子及びその代襲相続人がおらず、被相続人の直系尊属が相続人となる場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となることはない。
4 被相続人の兄弟姉妹が相続人となるべき場合であっても、相続開始以前に兄弟姉妹及びその子がいずれも死亡していたときは、その者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となることはない。(令和2年問8)
解説&正解
【1】[相続回復請求権]*884条
相続回復請求権は、相続人(またはその法定代理人)が「
相続権を侵害された事実を
知った時」から5年間行使しないときは、時効消滅する。本肢は正しい。
【2】[代襲相続と再代襲]*887条2・3項
「被相続人の子が相続の開始以前に死亡」したときは、「その者の子」がこれを代襲して相続人となる。さらにその代襲者も死亡していたときは、代襲者の子がこれを代襲して相続人となる(再代襲)。したがって「代襲者の子が相続人となることはない」との記述は、誤り。
【3】[相続順位]*889条
相続の第1順位である子(およびその代襲相続人)がいないときは、第2順位の直系尊属が相続人となる。この場合には、たとえ第3順位の兄弟姉妹がいても、兄弟姉妹は相続人となることはできない。本肢は正しい。
【4】[兄弟姉妹の再代襲]*887条、889条
「相続開始以前」に兄弟姉妹が死亡していたときは、兄弟姉妹の子が代襲相続する。ただし、その代襲者も死亡していたときに、代襲者の子(兄弟姉妹の孫)が相続人となること(再代襲)は認められていない。本肢は正しい。
[正解] 2
【問 3】 Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり、Dには離婚した前妻Eとの間に子F及び子Gがいる。Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。AとDが婚姻した後にDが令和3年7月1日に死亡した場合における法定相続分として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 Aが2分の1、Fが4分の1、Gが4分の1
2 Aが2分の1、Cが6分の1、Fが6分の1、Gが6分の1
3 Aが2分の1、Gが2分の1
4 Aが2分の1、Cが4分の1、Gが4分の1(令和3年問9)
解説&正解
[相続人と法定相続分]*887条1項
Dが死亡した場合に、その配偶者Aが相続人となることに疑いはない。
問題は、3人の子C・F・Gである。まずCは、A・Bの子であって、AD間に養子縁組がない限りは、被相続人Dの相続人となることはできない。
FとGについては、「親権」が問題となりそうだが、「子」であれば、
親権者の別(離婚後の親権者が異なる場合)、男女の別、
実子・
養子、
嫡出子・
非嫡出子に区別はなく、また戸籍の異同、
国籍の有無も、まったく関係がない。結婚した娘、養子に行った子も含まれる。
以上より、法定相続人は、A・F・Gであり、相続分は、それぞれ1/2、1/4、1/4となる。以上より、1が正解。
[正解] 1
宅建民法 厳選過去問|テーマ一覧