|公開日 2023.05.01

【問 1】 債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、債務は令和2年4月1日以降に生じたものとする。

 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

 債務の目的が特定物の引渡しである場合、債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。

 債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。

 契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であったとしても、その不能が債務者の責めに帰することができない事由によるものでない限り、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。(令和2年12月問4)

解説&正解
【1】[不確定期限と履行遅滞]*412条2項
 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、①「期限到来後に履行の請求を受けた時」か、または、②その期限到来を知った時の、いずれか早い時から履行遅滞となる。これにより、①「履行の請求を受けた時」は、期限の到来を「知らなくても」遅滞の責任を負うこととなる。本肢は正しい。

【2】[受領遅滞の責任]*413条2項
 債権者が「目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否した」ため、つまり受領遅滞のために、履行費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とされる。双方が「半額ずつ負担」するのではない。本肢は誤り。

【3】履行遅滞中の履行不能]*413条2-1項
 条文どおりで、正しい。
 債務者がその債務について履行遅滞の責任を負っている間に「当事者双方の責めに帰することができない事由」によって、債務が履行不能となったときは、「その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる」。

【4】契約成立時の履行不能]*412条2-2項
 債務の履行が「契約の成立時に不能(原始的不能)であった」としても、債権者は、その履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害賠償請求をすることができる。
 ただし、履行不能が「債務者の責めに帰することができない事由」、たとえば自然災害などによるものであるときは、債務者に損害賠償責任はない。本肢は正しい。

[正解] 2



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