|公開日 2023.05.01

【問 1】 根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 根抵当権者は、総額が極度額の範囲内であっても、被担保債権の範囲に属する利息の請求権については、その満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。

 元本の確定前に根抵当権者から被担保債権の範囲に属する債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することはできない。

 根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがないときは、一定期間が経過した後であっても、担保すべき元本の確定を請求することはできない。

 根抵当権設定者は、元本の確定後であっても、その根抵当権の極度額を減額することを請求することはできない。(平成23年問4)

解説&正解
【1】[利息の範囲]*398条の3第1項
 根抵当権は、極度額を限度として、確定した元本・利息・損害賠償金すべてを担保する。利息について「満期となった最後の2年分についてのみ」という制限はない。
 極度額に達するまでは、何年分の利息でもよく、極度額を超えてしまえば、2年分の利息でも担保されない。本肢は誤り。

【2】[随伴性の否定]*398条の7
 根抵当権は、債権を一定の範囲で、いわば「箱・枠」を担保するのであって、その中にある1つ1つの債権を個別に担保するものではない。したがって、元本の確定前に、個別の債権を取り出して譲渡しても、根抵当権自体は移転しないので、譲渡された債権に基づいて根抵当権を行使することはできない。本肢は正しい。

【3】[元本の確定請求]*398条19第1・3項
 元本の確定期日の定めがないときは、根抵当権設定者は「一定期間が経過した後」、つまり設定の時から3年を経過すれば、元本の確定請求をすることができる(請求の時から2週間後に確定する)。本肢は誤り。
 3年という短い期間にしたのは、設定者(債務者)が長期間根抵当権に拘束されることを防ぐためである。

【4】[極度額の変更]*398条の5
 担保される極度額を変更(増額または減額)することは、利害関係者に重大な利害を及ぼすため、その承諾がなければすることができない。承諾があれば、元本の確定前でも「確定後であっても」、また登記後でも変更することができる。本肢は誤り。

[正解] 2



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