|公開日 2022.04.08

33年間の出題傾向|出題はわずかに4問。平成21年(2009)に出題されて以後、10年間出題なしでしたが、令和2年 (2020)に売買契約との対比で「負担付贈与」が出題されました。
ここをおさえよう! 得点のカギ1 書面によらない贈与の効力
2 負担付贈与の内容
れいちゃん01

ここはあまり出ないみたいね。

たくちゃん01

過去問はすでに出尽くした感があるから、過去問からポイントを整理しておけば十分だよ。

1|贈与の意味

意 味

贈与というのは、タダで物をあげることです。

友人の結婚記念に洋食器セットを「プレゼントする」とか、実業家が、慈善団体に土地・建物を「寄贈する」というように、贈与(契約)は、贈与者がある財産を相手方(受贈者)無償(タダ)で与えることを約束し、相手方が同意して成立する契約をいいます。

当事者の合意だけで成立する契約なので、口頭であろうと書面でなされようと、契約として法的効力が発生します。

2|贈与者の義務

1 履行義務
無償であっても、贈与者は、契約によって負担した義務を債務の本旨に従って履行しなければなりません。

目的物の引渡しだけでなく、不動産における移転登記、債権譲渡における通知などの「対抗要件を備えさせる行為」もする必要があります。

2 保存義務──善管注意義務
贈与の目的物が、土地・建物のような「特定物」であるときは、贈与者は、その引渡しをするまで「契約その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる」善良な管理者の注意(善管注意)をもって、その物を保存しなければなりません。

善管注意よりも軽い「自己の財産におけるのと同一の注意」では足りません。

3 引渡義務
贈与者は、贈与の目的とした物や権利を「特定した時の状態」で引き渡し、または移転することを約したものと推定されます。
贈与は、対価を要求しない無償契約なので、負担付贈与でない限りは、現状のまま贈与するのが、贈与者の通常の意思と考えられるからです。

したがって、贈与した建物に「しろあり被害」とか「雨漏り」などの欠陥が判明しても、贈与者がそれを知らなかった善意であっても、その欠陥について担保責任を負うことはありません。
対価を要求する有償契約である売買などと比べ、責任が軽減されているのです。

3|書面によらない贈与・書面による贈与

「書面によらない贈与」と「書面による贈与」の大きな違いは、解除にあります。

 書面によらない贈与の解除

原 則

口頭でなされようと書面でなされようと、契約が有効に成立すれば法的効力が生じ、当事者は互いに契約に拘束されます。
自己都合で一方的に契約を解除することは許されません。

しかし、口約束による贈与、つまり「書面によらない贈与」は、当事者がいつでも解除することができます。気が変わったり都合が悪くなれば、いつでも解除できるわけです。
これは、口約束などで贈与するときは、軽率に贈与の約束をしてしまうことも多いため、解除できる余地を残したわけです。

例 外

ただし「書面によらない贈与」であっても、「すでに履行の終わった部分」については、解除することはできません。
贈与の意思が明確になっているからです。

「履行が終わった」とは
不動産の贈与が「書面によらないもの」(口頭の約束)であっても、引渡しか、または登記のどちらか一方があれば「履行が終わった」とされます(最判昭40.3.26)
たとえば、所有権移転登記がなされたときは、引渡しの有無を問わず、贈与は履行を終わったのであり、贈与者は、もはや契約を解除することはできません。
引渡しがあれば、所有権移転登記がなされなくても同様です。

 書面による贈与の解除

「書面によってなされた」贈与は、履行の前後に関係なく、解除することはできません。
贈与の意思を書面にする場合は、通常は、贈与者が慎重に判断した結果であり、贈与の意思が明確にされているからです。

4|負担付贈与・死因贈与

 負担付贈与

意 味

負担付贈与というのは、たとえば、AさんがBさんに家屋を贈与する際に、受贈者Bさんに対して、「私の生活の面倒をみること」というように、契約の一部として、贈与者が「受贈者に一定の義務を負担させる」贈与をいいます。
したがって、受贈者がその負担を履行しないときは、贈与者は、債務不履行を理由に契約を解除することができます(最判昭53.2.17)

負担付贈与の担保責任
負担付贈与では、贈与財産に契約の内容に適合しない契約不適合があるときは、贈与者は負担の限度で、売主と同様に担保責任を負います。

贈与した家屋に「雨漏り」などの瑕疵があれば、贈与者は課した負担の限度(生活の面倒をみるなど)で、売主と同じく担保責任を負うこととなるのです。
この負担が、実質的には売買と同じように対価的関係にあるからです。

 死因贈与

意 味

死因贈与というのは、贈与者が「自分があの世へいったら熱海の別荘をあげるよ」と約束するように、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与契約をいいます。

死因贈与と遺贈との違い
死亡を原因とする贈与には、死因贈与と遺贈があります。
死因贈与は「贈与」とあるように、双方の合意による「贈与契約」として行われます。
遺贈は、贈与者の一方的な意思表示による遺言という「単独行為」として行われます。
両者の違いは、「契約」か「単独行為」か、という点にあります。

ただ、死因贈与も遺贈も、贈与という点では実質的には同じなので、死因贈与には「遺贈に関する規定」が準用されます。

たとえば、遺贈では「遺言者は、いつでも、遺言の全部または一部を撤回することができる」とされている(1022条)ので、「書面による死因贈与」であっても、負担付死因贈与などの特段の事情がある場合を除いて、贈与者は、いつでも贈与を撤回することができます

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 書面によらない贈与は、当事者が解除することができるが、すでに履行の終わった部分については解除できない。
土地・建物などの不動産贈与では、引渡しまたは登記移転のどちらか一方があれば「履行が終わった」とされるので、書面によらないことを理由に解除することはできない。
履行が終わったとは「両方が終わる」という意味ではないのである。
本問は誤った記述です。

ポイントまとめ

 贈与者は、債務の本旨に従って負担した義務を履行しなければならず、引渡しだけでなく、不動産における移転登記などの対抗要件を備える行為もしなければならない。
 土地・建物の引渡しのときは、引渡しをするまで「契約その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる」善良な管理者の注意をもって保存しなければならない。
 書面によらない贈与は、いつでも解除できるが、すでに履行の終わった部分については解除できない。
 贈与者は、贈与する物や権利を特定した時の状態で引き渡し、または移転することを約したものと「推定」される。
 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度で、売主と同じ担保責任を負わなければならない。
 書面による死因贈与でも、原則として、贈与者は、いつでも贈与を撤回することができる。

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