|公開日 2022.04.08

33年間の出題傾向|AA33年間で25問出題、最頻出テーマです。内訳は、手付3問、売買の効力(瑕疵担保ほか総合問題)22問です。
令和2年(2020)12月には、早速、法改正部分(法定利率など)が出題、直近の令和3年(2021)は12月分を含めて3問法改正された「契約不適合」(動産)などが出題されました。手付は「1問」としては、平成12年(2000)の出題以降、21年間出題されていません。
売買は、今回の改正で「内容が一変」したうえに、やはり最重要テーマですから、論点1つ1つをしっかりと確認しておきましょう。
ここをおさえよう! 得点のカギ1 売主の義務
2 解約手付の意味
3 履行の着手

1|売買の意味と性質

意 味

売買(契約)というのは、物の所有権を移転する契約をいいます。
家電量販店で10万円の電子レンジを買ったり、建物と敷地を 6,000万円で売却するというように、売買は、売主が「財産権(主に所有権」を買主に移転して、それに対して買主が「代金を支払う」契約をいいます。
5,000万円のマンションを購入するのも、100円のキャベツ1個買うのも、同じく売買です。

性 質

売買は、諾成・有償・双務契約の典型です。
売買は、申込みと承諾という意思表示の合致だけで成立する諾成契約(契約書がなくても口頭で成立する契約)で、対価(金銭)を得て財産権を移転するので、有償契約です。
また、売主・買主双方が、「財産権」と「金銭」の給付義務を負担するために、双務契約の典型とされています。

2|売主の基本的義務

1 財産権移転義務
売買により、売主は買主に「財産権を移転する義務」を負い、買主は「代金を支払う義務」を負います。
財産権移転義務の内容は、①契約内容に適合した状態で「所有権」を移転することや、②種類・品質・数量に関して契約内容に適合した「目的物」を引き渡すことがあります。

2 対抗要件を備えさせる義務
さらに売主は、買主に対して、権利の移転を第三者に対抗するための「対抗要件を備えさせる義務」を負います。新民法で改正されました(560条)
土地・建物の売買であれば登記、債権の譲渡であれば譲渡の通知などです。

この義務を負わないとする場合には、その旨の特約が必要です。

3 他人の権利の移転義務
購入した土地の一部が他人の所有に属していたというように、他人の権利を売買した場合でも、契約自体は有効です(最判昭25.10.26)
売買は、目的の権利が売主に属していることを要件にしていないからです(555条)

この場合、売主は、その権利を「取得して」買主に移転する契約上の義務を負うこととなります。移転できないときは、債務不履行責任が生じ、買主は契約を解除したり、売主に帰責事由があれば、損害賠償を請求することができます(最判昭41.9.8)

3|手 付

土地・建物などの不動産売買では、契約時から履行時(残金決済・移転登記・物件引渡しなど)まで時間がかかり、その間法律関係がやや不安定なので、通常、契約の時に、買主が一定の金銭を手付として売主に支払うのが慣行です。

手付には、①証約手付、②違約手付、③解約手付の3つの性格がありますが、特約がない場合は、民法は「解約手付」としています。

 解約手付

意 味

解約手付というのは、交付した手付を放棄して、あるいは、受け取った手付の倍額を返還して「契約を解除する」ための手付をいいます。解除することだけを目的とした手付であって、債務不履行を理由とする解除ではありません。

解約手付が交付された場合には、手付交付者(買主)は手付を放棄すれば契約を解除できるし、手付受領者(売主)は倍額を返還すれば契約を解除できるわけです。

解約手付とすることで、相手方の承諾を得ず、かつ、損害賠償をすることなく、一方的に契約を解消することが可能になります。

宅建業法における手付
宅建業法では、不動産取引に不慣れな買主を保護するために、売主である宅建業者に交付される手付は、どのような意図で交付されたものであっても、解約手付とされます。

 解約手付による解除の要件

1 相手方が履行に着手していないこと
解除しようとする者は「自ら履行に着手」していたとしても、「相手方が履行に着手していなければ」契約を解除できます。
相手方が履行に着手した後」は、もはや解除できません。これは「履行に着手」して準備を開始した相手方が不測の損害を受けないようにするためです(最判昭40.11.24)

たとえば、買主は、中間金代金の一部)を支払って「自ら履行に着手」していても、売主が履行に着手していなければ、交付した手付を放棄して契約を解除し、すでに支払った中間金の返還を求めることができます。

2 現実の提供が必要
手付交付者(買主)が契約を解除するには、解除の意思表示だけで足りますが、手付受領者(売主)が解除するには、手付の倍額を現実に提供しなければなりません。単に「口頭」で手付の倍額を償還することを告げて「受領を催告する」だけでは足らないのです。
ただ「実際の払渡し」までは不要で、「現実の提供」で足ります(最判平6.3.22)

3 損害賠償請求はできない
解約手付の趣旨は、手付だけの損失を覚悟すれば契約を解除できるというものであって、債務不履行による解除ではないので、解約手付を理由に損害賠償請求はできません。

Topics

契約が解除されないで履行されたときは、解約手付はその目的を達成せず、不当利得として返還すべきですが、実際上は代金の一部に充当されるのが一般の例となっています。

ポイントまとめ

 売主は買主に対し、権利の移転について、登記など対抗要件を備えさせる義務を負う。
 他人の権利を売買した場合、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う。
 解約手付は、交付した手付を放棄して、あるいは、受け取った手付の倍額を返還して契約を解除できる手付をいう。
 自ら履行に着手していても、相手方の履行着手前であれば、解除できる。
 手付受領者が解除するには、「手付の倍額」を現実に提供しなければならない。
 解約手付により解除しても、これを理由に損害賠償請求はできない。

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