|公開日 2022.3.18

れいちゃん02

保証債務と連帯保証って、まぎらわしいわよね。
あ~混乱する。

たくちゃん02

そうだね。ただ連帯保証は、あくまでも保証債務だからね。
これらの違いを正確に理解しておこうね。
試験に出題されるのは、多くがこれらの複合問題だからね。

1|保証債務の意味と成立

 保証債務の意味

保証人というのは、おわかりですね。
たとえば、あなたが 100万円の借金をする友人に頼まれてその保証人になると、友人が返済できないときに、あなたが代わって 100万円を返済するのです。

決して君には迷惑をかけないからとか、2か月後には返せるアテがあるからとか、ほかにも保証人がいるから大丈夫とか、いろんな泣き落としを駆使して頼まれたりしますよね。

自分の借金ならともかく、他人の借金の返済をしなければならないのですから、保証人にはなりたくないものですね。

意 味

保証債務というのは、主たる債務者の債務について、債権者保証人が保証契約を締結して、主債務者が「債務を履行しないとき」に、保証人がその債務の履行責任を負うというものです。

 保証債務の成立

保証人となるための保証契約は、債権者と保証人との契約で成立します。

普通は、主債務者から頼まれて保証人になること(保証委託契約)がほとんどでしょうが、民法上は、委託の有無は、保証契約の成立とは関係ありません。

主債務者に内緒で保証人になってもかまいませんし、主債務者の意思に反して保証人になることもできます。
保証契約は、債権者の債権を担保することが目的なので、主債務者に不利益となるものではないからです。

また、主債務者から委託を受けて保証契約を締結した場合でも、その保証委託契約が無効であったり取り消されても、保証契約自体に影響はありません。

保証契約の書面性
保証契約は、契約書などの書面でしなければ効力を生じません。書面によらない保証契約は無効です。
従来は「口頭」による諾成契約によっても成立するとされていたのですが、口頭だと安易に保証が引き受けられやすく、しかも保証人が深刻な責任を負うために書面化が明確にされたのです。

2|保証債務の性質

保証契約は、主債務者の債務の履行を担保する目的で締結されるものであって、主たる債務(主債務)と保証債務は別個独立の債務です。
しかし、両者には「主と従」の関係があるために、この点が、連帯債務や連帯保証と大きく異なるところです。

主従の関係にあることから、保証債務には、付従性・随伴性・補充性の3つの性質があります。

 付従性

保証債務は、主債務を担保することが目的であるため、主債務なしには成立することができません。
つまり、成立や存続が主債務に付従しているので、これを保証債務の付従性といいます。具体的な内容は、次のとおりです。

① 主債務が錯誤や詐欺を理由に取り消された場合や、主債務が条件不成就のため成立しない場合には、保証債務は成立しません。
主債務は、将来発生する債務または条件付債務であってもかまいません。

② 弁済や消滅時効など、その理由が何であっても、主債務が消滅するときは、保証債務も当然に消滅します。

③ 反対に、保証人について生じた事由の効力は、主債務者に対しては生じません。保証人が債務の承認をしても、主債務の消滅時効が完成猶予されることはなく、また主債務者は、債権者に対して保証人が有する債権をもって相殺することは許されません。

 随伴性

随伴性は、移転に関する付従性です。
主債務が「債権譲渡」により移転すれば、保証債務もともに移転し、保証人は、新債権者に対して保証債務を負います。

主債務について対抗要件(通知・承諾)を備えると、保証債務についても当然に対抗要件を備えたことになります。

 補充性

保証債務は、主たる債務が履行されないときに、第二次的に履行すべき債務です。
これを保証債務の補充性といいます。

「履行されないときに履行する」従たる債務なので、債権者から請求を受けても、保証人には「まず主債務者に催告せよ」とか「まず主債務者の財産に執行せよ」という2つの抗弁権が与えられています。

 保証人の抗弁権

保証人の2つの抗弁権は次のとおり。

1 催告の抗弁権
保証人は、債権者から「履行の請求」をされたときは、原則として「まず主たる債務者に催告せよ」という抗弁をすることができます。
これを「催告の抗弁権」といいます。
ただし、主たる債務者が、①破産手続開始の決定を受けたとき、または、②行方不明のときには、この抗弁権は認められません。

2 検索の抗弁権
債権者が主たる債務者に催告した後に、保証人に履行請求をしたときでも、保証人は、①主たる債務者に弁済の資力があり、かつ、②主たる債務者の財産への執行が容易であることを証明して、「まず主たる債務者の財産に執行せよ」と抗弁して、債権者の「請求を拒む」ことができます。
これを「検索の抗弁権」といいます。

なお、「主債務者」が債権者から履行の請求を受けたときに「まず保証人に催告せよ」と請求することはできません。
主債務者は履行するのが当然なので、催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められないのは、いうまでもありませんね。

3|保証債務の範囲

保証人はどこまで責任を負うのか、保証債務の範囲が問題となります。

① 保証債務は、主債務と同じ範囲で履行責任を負うものなので、主債務を保証するだけではなく、主債務に関する利息、違約金、債務不履行による損害賠償、その他、主債務に従たるすべてのものを含みます。

原状回復義務にも及ぶ
つい最近、令和2年(2020)の試験に出ましたね。
判例は次のようにいっています。
「特定物の売買における売主の保証人は、債務不履行により売主が買主に対して負担する損害賠償義務についてはもちろん、特に反対の意思表示のない限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合における原状回復義務についても保証する責任がある」(最判昭40.6.30)

② 保証人の負担が債務の目的・態様において主債務より重いときは、主債務の限度に減縮されます。これも保証債務の付従性によるものです。

たとえば、主債務が 100万円で保証債務が 120万円だったり、主債務は条件付きなのに、保証債務が無条件だったりすることは許されず、それぞれ 100万円、条件付きに減縮されます。
ただし、保証人は「保証債務についてのみ」違約金を定めたり、損害賠償額を約定することができます。これは目的・態様が、主債務より重くなっているのではなく、保証債務の履行を確実にするためのものだからです。

③ 保証契約締結後に、主債務の目的・態様が加重されても、保証人にその効力は及びません。

4|保証人の要件

保証人となる資格には、とくに制限はありません。債権者は適当な者と保証契約を締結できます。

しかし主債務者が、法律や契約によって保証人を立てる義務を負う場合には、保証人には、次の2要件が必要です。
① 行為能力者であること
② 弁済資力を有すること

①が欠けると保証契約が取り消され、②が欠けると保証人は履行できないので、保証人を立てた実益がなくなるからです。

したがって、保証人に②が欠けたときは、債権者は、②の要件を備える者に代えるよう請求することができます。

なお、保証契約の締結後に①が欠けても、保証契約の効力に影響はありません。法定代理人が履行することになるからです。

5|主債務者に生じた事由

主債務者について生じた事由は、保証人にどのような影響を与えるか、主債務者に生じた事由の効力が問題となります。

 時 効

新民法は、主債務者に対する履行請求、その他の事由による時効の完成猶予および更新は、保証人に対してもその効力(絶対的効力)を生じる、と定めています。
これも、保証債務の付従性に基づくものです(最判昭43.10.17)
「その他の事由」には、債務の承認、差押えなどがあります。

また、主債務の時効が完成して、主債務者が時効を援用すれば、主債務は消滅し、保証債務も当然に消滅します(付従性)

主債務者が時効を援用しない場合にも、保証人は、時効援用の当事者(権利の消滅によって直接利益を受ける者)として時効を援用することができます。

時効完成後の債務の承認
主債務の時効完成後に、主債務者が債務を承認した場合には、信義則上、主債務者はもうその時効消滅を援用できません。しかし──、

① 信義則違反は相対的に判断されるものなので、保証人は当事者として、主債務の時効消滅を援用することができます。

② また、保証人が、時効完成に「保証債務を承認」していても、主債務の消滅時効が完成したときは、付従性により保証債務もまた当然に消滅します。

 保証人の抗弁

保証人が、主債務者の有する「抗弁権一般」を主張できることに異論はありません(最判昭40.9.21)
つまり、保証人は「主債務者が主張できる抗弁」をもって債権者に対抗することができるわけです。たとえば、主債務者の有する同時履行の抗弁権を行使したり、主債務の時効消滅を主張するなどです。

 履行拒絶の抗弁権

主債務者が、債権者に対して「反対債権」を有する場合、保証人は、この反対債権を援用して相殺することはできません。
保証人は「主債務が相殺によって消滅する限度」で、保証債務の履行を拒絶する履行拒絶権があるにすぎません。

改正前民法のように、保証人に、主債務者の有する反対債権を処分する権限(自ら行使する権限)を認めるのは行き過ぎなのです。

同様に、主債務者が有する取消権・解除権についても、保証人が取り消したり、解除をすることはできず、主債務者が有する権利(抗弁権)の限度で、履行拒絶権を有するだけです。これらの権利を自ら行使することはできません。

パトモス先生講義中

保証人が、相殺を援用したり、取消権や解除権を行使することはできない。履行拒絶ができるだけ。

6|債権者の情報提供義務

新民法で、保証人保護のため、債権者に2つの情報提供義務が新設されました。
①主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務と、
②主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務です。

 履行状況に関する情報提供義務

主債務者が債務不履行になると、保証人も主債務者が負う遅延損害金などの債務不履行責任と同じ責任を負担することとなり、知らない間に遅延損害金が積み重なる危険が生じます。したがって、保証人には、主債務の履行状況を知る利益と必要があります。

履行状況に関する情報提供義務は、保証人が主債務者の委託を受けて保証をした場合に、保証人の請求があったときは、債権者は、遅滞なく、保証人に対し、主債務の履行状況に関する情報を提供しなければならないというものです。
債権者が、主債務者の個人情報であることを理由に履行状況に関する情報提供を拒否することも考えられるため、情報提供義務を明文化したわけです。

履行状況に関する情報とは、①主たる債務の元本、②主たる債務に関する利息、③違約金、④損害賠償、⑤その債務に従たるすべてのものについての不履行の有無などです。

 期限の利益を喪失した場合

主債務の支払いが期限到来まで猶予されているというように、期限の利益を有する主債務者が、期限内の弁済を怠るなどして期限の利益を失うときは、保証人も期限の利益を主張できなくなります。

たとえば、主債務者が分割金の期限内支払いを怠っていた場合には、保証人には、元本債務を1度に履行する義務が生じるうえに、遅延損害金の負担も生じます。
知らない間にこうした負担を負うのは、保証人にとって大きな不利益です。

そこで新民法は、期限の利益を有する主債務者が、その利益を喪失したときは、債権者は、利益喪失を知った時から2ヵ月以内に、保証人にその旨を通知しなければならないとしました。
債権者が、2ヵ月以内にこの「通知」をしなかったときは、保証人に対し、主債務者が期限の利益を喪失した時から通知をするまでに生じた遅延損害金に係る保証債務の履行を請求することができなくなります。

7|共同保証

債務者BがAに対して負う 1,000万円の債務について、C、Dが保証人になるというように、保証人が2人以上いる場合を共同保証といい、2つの特別扱いがされます。

分別の利益について
1つは、分別の利益(対外関係)です。
複数の保証人が、それぞれ「普通の保証債務」を負担した場合、債務額は保証人の数に応じて分割されるのが原則です。
保証人C、Dの負担する保証債務は 500万円ずつになるわけで、これは保証人の利益になるので「分別の利益」といいます。

なお、共同保証人の各人が、主たる債務者と「連帯」する連帯保証人には、全部を弁済する義務があるので、分別の利益はありません。

求償関係について
2つは、求償関係(対内関係)です。
共同保証人が弁済すれば、主たる債務者に求償権を有するのは当然ですが、他の共同保証人に対しても求償できるのです。
債務者の無資力のリスクを1人で負担するのは不公平だからです。

連帯保証人のように分別の利益のない「保証人間で求償」が行われる場合には、連帯保証人は他の連帯保証人に対し、各自の負担部分について求償権を有します。

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説][問題1] 保証契約は、常に債権者と保証人との間で締結され、主たる主債務者からの委託がなくても有効に成立する。正しい記述です。
[問題2] 売主の保証人は、①売主の「債務不履行」により、買主に対して負担する損害賠償義務ばかりでなく、②特に反対の意思表示がない限り、「契約が解除」された場合における原状回復義務についても保証する責任がある。
保証債務は、主債務と同じ範囲で履行責任を負うものなので、主債務を保証するだけではなく、利息、違約金、債務不履行による損害賠償など、主債務に従たるすべてのものを含むのである。正しい記述です。

ポイントまとめ

 保証契約は、債権者保証人との契約で成立し、主債務者の意思に反してもすることができる。
 保証契約は、書面でしなければ無効である。
 主債務が無効のときや、取り消された場合には、保証債務は成立せず、弁済や時効などで主債務が消滅すれば、保証債務も消滅する
 保証人について生じた事由は、主債務者に対して効力は生じない。
保証人が債務承認しても、主債務の消滅時効の完成は猶予されず、主債務者が、保証人の債権で相殺することはできない。
 債権譲渡があれば、保証人は、新債権者に対して保証債務を負う。
…………………………
 保証人は、催告の抗弁権と検索の抗弁権を有する。
 保証債務は、主債務だけではなく、利息、違約金、債務不履行による損害賠償など、主債務に従たるすべてのものを保証する。
 保証人の負担が主債務より重いときは、主債務の限度に減縮される。
 保証契約締結後に、主債務の目的・態様が加重されても、保証人にその効力は及ばない。
10 保証人は、契約解除による原状回復義務や損害賠償債務についても責任を負う。
…………………………
11 主債務者が、保証人を立てる義務を負う場合、保証人には2要件が必要。
① 行為能力者であること
② 弁済資力を有すること
12 主債務者への履行の請求、その他の事由による時効の完成猶・更新は、保証人に対しても効力を生じる
13 保証人が、時効完成前に保証債務を承認していても、主債務の消滅時効が完成したときは、保証債務も当然に消滅する。
14 保証人は、主債務が相殺によって消滅する限度で、保証債務の履行を拒絶することができる。
15 委託を受けた保証債務の場合、債権者は、保証人の請求があれば、遅滞なく、保証人に対し、主債務の履行状況に関する情報を提供しなければならない。
16 期限の利益を有する主債務者が、その利益を喪失したときは、債権者は、利益喪失を知った時から2ヵ月以内に、保証人にその旨を通知しなければならない。

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