|公開日 2017.06.26
|更新日 2018.10.26


【平成6年 問8】の問題です。

【問 題】 Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Aの報酬支払義務とBの住宅引渡義務は、同時履行の関係に立つ。

 Aは、住宅の引渡しを受けた場合において、その住宅に瑕疵があり、契約をした目的を達成することができないときは、引渡しを受けた後1年内であれば、その契約を解除することができる。

 Bは、引き渡した住宅に瑕疵があるときは、原則として引渡し後5年間瑕疵担保責任を負うが、この期間は、AB間の特約で10年にまで伸ばすことができる。

 Bは、瑕疵担保責任を負わないとする特約をAと結ぶこともできるが、その場合でも、Bが瑕疵の存在を知っていて、Aに告げなかったときは、免責されない。


[解説&正解]
木造住宅の建築請負である点に要注意です。

【選択肢1】
(Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合において)Aの報酬支払義務とBの住宅引渡義務は、同時履行の関係に立つ。

(解 説)
注文者Aの報酬支払義務と請負人Bの住宅引渡義務は、同時履行の関係に立ちます。
住宅建築のような物の引渡しを要する請負契約では、報酬は、目的物の引渡しと同時に支払わなければなりません。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 報酬の支払時期
[条 文] 633条
[判 例] 大判大13.6.12

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【選択肢2】
(Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合において)Aが、住宅の引渡しを受けた場合、その住宅に瑕疵があり、契約をした目的を達成することができないときは、引渡しを受けた後1年内であれば、その契約を解除することができる。

(解 説)
完成した目的物に瑕疵があり、そのために契約目的を達することができない場合、注文者は、引渡しを受けた時から1年以内に、契約を解除するとともに、損害賠償を請求できるのが原則です。

しかし、目的物が建物その他土地の工作物である場合は、どのようなときにも、瑕疵を理由に契約を解除することはできません。
解除による原状回復(工作物の解体・収去など)に多額の費用がかかるからとされています。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 注文者の解除権──土地工作物
[条 文] 635条ただし書

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【選択肢3】
(Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合において)Bは、引き渡した住宅に瑕疵があるときは、原則として引渡し後5年間瑕疵担保責任を負うが、この期間は、AB間の特約で10年にまで伸ばすことができる。

(解 説)
引き渡した木造住宅に瑕疵があるときは、請負人Bは、引渡し後5年間は瑕疵担保責任を負うのが原則ですが、この期間は、特約で債権の消滅時効期間の限度である10年まで伸長することができます。
このような特約は、注文者にとって利益となるので問題はないのです。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 担保責任期間──木造住宅の場合
[条 文] 638条、639条 

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【選択肢4】
(Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合において)Bは、瑕疵担保責任を負わないとする特約をAと結ぶこともできるが、その場合でも、Bが瑕疵の存在を知っていて、Aに告げなかったときは、免責されない。

(解 説)
請負人の「瑕疵担保責任を負わない」とする特約も有効です。
しかし、このような特約をしたときであっても、請負人が知りながら告げなかった事実については、責任を免れることはできません。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 担保責任を負わない旨の特約
[条 文] 640条

以上より、正解は[2]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*633条(報酬の支払時期)
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、624条1項の規定(報酬請求は労働終了後)を準用する。

*635条(請負人の担保責任)
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。
ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない(解除できない)。

*638条(請負人の担保責任の存続期間)
建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物または地盤の瑕疵について、引渡しの後5年間その担保の責任を負う。

*639条(担保責任の存続期間の伸長)
637条(1年間の瑕疵修補・損害賠償請求・契約解除)、および638条1項の期間(5年間)は、167条の規定(債権等の消滅時効)による消滅時効の期間内に限り、契約で伸長することができる。

*640条(担保責任を負わない旨の特約)
請負人は、担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることができない。

※ 阪神淡路大震災等を契機に、欠陥住宅の耐震強度が社会問題化したことを受けて平成12年4月1日から「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(住宅品質確保法)が施行されています。
同法によると、新築住宅の請負人や売主は、住宅の構造耐力上主要な部分等については、引渡しから10年間は瑕疵担保責任(修補、損害賠償、解除<売買の場合>)を負うものとされており、民法の規定よりも請負人等の瑕疵担保責任を強化しています。



(この項終わり)