|公開日 2017.6.18
|更新日 2019.5.03

【平成27年 問6】の問題です。

【問 題】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 賃借地上の建物が抵当権の目的となっているときは、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。

 抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。

 抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。

 土地に抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造されたときは、一定の場合を除き、抵当権者は土地とともに建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができる。


 解説&正解 


 選択肢1 
賃借地上の建物が抵当権の目的となっているときは、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。


 解 説 
判例は、賃借地上の建物に抵当権を設定すると、原則として、その効力は敷地の賃借権にも及ぶとしています。
建物所有とそれに必要な敷地賃借権は、一体となって財産的価値を形成しており、主物・従物の関係にあるというのがその理由です。
本肢は正しい記述です。

[論点] 従たる権利としての賃借権
[判例] 最判昭40.5.4
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 選択肢2 
抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。


 解 説 
主たる債務者もその連帯保証人も、抵当権消滅請求をすることはできません。
これらの者は、もともと抵当債務を負担しているのだから債務全額を弁済すべきであって、これに満たない金額で抵当権を消滅させるべきではないからです(たとえ抵当不動産の第三取得者となった場合でも)。

抵当権消滅請求ができるのは、抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られます。
本肢は誤りです。

[論点] 抵当権消滅請求できる者
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 選択肢3 
抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。


 解 説 
記述のとおり。
抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済(代価弁済)したときは、抵当権はその第三者のために消滅します。
本肢は正しい記述です。

[論点] 代価弁済の効果
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 選択肢4 
土地に抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造されたときは、一定の場合を除き、抵当権者は土地とともに建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができる。


 解 説 
土地に抵当権を設定した後に、建物が建てられた場合、抵当権者は(建物に抵当権を設定していないけれども)土地と建物を一括競売することができます。

これによって、抵当権の実行は容易になり、また土地と建物が同一の買受人(競落人)に属することを可能にして、なるべく建物の存続を図ろうとしているのです。
ただし優先権は、土地の代金についてのみ行使できます。抵当権は土地だけに設定されているからです。
本肢は正しい記述です。

[論点] 抵当地上の建物の一括競売


以上より、正解は[2]

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 読むだけ! 重要条文 

 代価弁済|378条 
抵当不動産について所有権を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその抵当権者にその代価を弁済したときは、抵当権は、その第三者のために消滅する。

 抵当権消滅請求権者|379条 
抵当不動産の第三取得者は、法定の手続きにより、抵当権消滅請求ををすることができる。

 抵当権消滅請求権者でない者|380条 
主たる債務者、保証人、およびこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない。

 抵当地上の建物の競売|389条 
1 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。


(この項終わり)