|公開日 2017.6.17
|更新日 2019.5.03

【平成21年 問5】の問題です。

【問 題】 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。

 先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。

 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。

 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。


 解説&正解 

各担保物権の性質を問う初歩的な問題です。
かならず正解できないといけません。

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 選択肢1 
抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。


 解 説 
抵当権・先取特権、そして質権には物上代位性があって、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に対しても効力を及ぼすことができます。
正しい記述です。

どうして物上代位という性質が担保物権に認められているのか、確認しておきましょう。

[論点] 担保物権の性質|物上代位
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 選択肢2 
先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。


 解 説 
質権は、債権者と債務者の質権設定契約・目的物の引渡しによって成立する約定担保物権です。

しかし、先取特権は、公平の観点や当事者の意思の推測、あるいは経済的な弱者の保護という社会政策的な理由から、法律に基づいて認められた法定の担保物権です。
当事者の意思に関係なく、法律の立法趣旨に基づき、いわば強制的に認められるのです。
本肢は誤った記述です。

[論点] 担保物権の成立
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 選択肢3 
留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。


 解 説 
誤った記述です。
留置権も先取特権も共に、動産および不動産について成立します。

[論点] 担保物権の成立
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 選択肢4 
留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。


 解 説 
留置権者も質権者も共に、目的物を「善良な管理者の注意をもって」占有する義務、つまり善管注意義務があります。
有償で他人の物を占有(保存・管理)するのですから、破損・毀損しないよう十分注意する必要があるんですね。他人の物はていねいに扱えというわけです。
本肢は誤った記述です。

※ 善管注意義務と対比されるのが、これより軽い「自己の財産におけると同一の注意」ですが、こちらは自分の物に対するのと同じ程度の注意でよいというものです。

[論点] 担保物権と善管注意義務


以上より、正解は[1]

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 読むだけ! 重要条文 

 留置権の内容|295条 
1 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまでその物を留置することができる。

 留置権者の留置物保管義務|298条 
1 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。

 先取特権の内容|303条 
先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

 物上代位|304条1項 
先取特権・質権・抵当権は、その目的物の売却、賃貸、滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。
ただし、その払渡しまたは引渡しの前に差押えをしなければならない。

 不動産の先取特権|325条 
次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する。
 一 不動産の保存(二 略)
 三 不動産の売買


(この項終わり)