|更新日 2019.5.23
|公開日 2017.6.30

【平成23年 問10】の問題です。

【問 題】 AがBから事業のために1,000万円を借り入れている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 AとBが婚姻した場合、AのBに対する借入金債務は混同により消滅する。

 AがCと養子縁組をした場合、CはAのBに対する借入金債務についてAと連帯してその責任を負う。

 Aが死亡し、相続人であるDとEにおいて、Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、相続債務につき特に定めがなくても、Bに対する借入金返済債務のすべてをDが相続することになる。

 Aが死亡し、唯一の相続人であるFが相続の単純承認をすると、FがBに対する借入金債務の存在を知らなかったとしても、Fは当該借入金債務を相続する。


 解説&正解 

 選択肢1 
(AがBから事業のために1,000万円を借り入れている場合において)AとBが婚姻した場合、AのBに対する借入金債務は混同により消滅する。


 解 説 
BのAに対する代金債権が、双方の婚姻によって消滅することはありません。
夫婦の一方が婚姻前から有する財産は、単独で有する財産=特有財産とされているからです。
たしかに債権と債務が同一人に帰属したときは、債権を成立させる意味がないため、混同によって債権は消滅しますが、婚姻は混同ではないので、婚姻したからといって、AのBに対する借入金債務が消滅することはありません。
本肢は誤った記述です。

[論点] 混同、夫婦間の財産帰属

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 選択肢2 
(AがBから事業のために1,000万円を借り入れている場合において)AがCと養子縁組をした場合、CはAのBに対する借入金債務についてAと連帯してその責任を負う。


 解 説 
養子は、養子縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得しますが、縁組をしたからといって、当然に養親Aの借入金債務について連帯責任を負担するものではありません。
本肢は誤った記述です。

[論点] 養子縁組の効果

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 選択肢3 
(AがBから事業のために1,000万円を借り入れている場合において)Aが死亡し、相続人であるDとEにおいて、Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、相続債務につき特に定めがなくても、Bに対する借入金返済債務のすべてをDが相続することになる。


 解 説 
共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継するので、「相続債務につき特に定め」がない場合には、Dが唯一の資産である不動産を相続したからといって、Bに対する借入金返済債務のすべてを相続しなければならないという理由はありません。
本肢は誤った記述です。

[論点] 共同相続の効力

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 選択肢4 
(AがBから事業のために1,000万円を借り入れている場合において)Aが死亡し、唯一の相続人であるFが相続の単純承認をすると、FがBに対する借入金債務の存在を知らなかったとしても、Fは当該借入金債務を相続する。


 解 説 
相続人が単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継します。
「借入金債務の存在を知らなかった」としても、借入金債務を免れることはできません。
本肢は正しい記述です。

[論点] 単純承認の効力


以上より、正解は[4]

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 読むだけ! 重要条文 

 混 同|520条 
債権および債務が同一人に帰属したときは、その債権は消滅する。

 夫婦間における財産の帰属|762条 
1 夫婦の一方が婚姻前から有する財産、および婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)とする。

 嫡出子の身分の取得|809条 
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

 共同相続の効力|899条 
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。

 単純承認の効力|920条 
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。


(この項終わり)