|公開日 2017.6.20
|更新日 2019.5.08

【平成14年 問7】の問題です。

【問 題】 AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。

 Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を斟酌(しんしゃく)することができる。

 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。

 Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。


 解説&正解 

賠償額の予定がどのような効力をもっているかを問う基本的な問題です。

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 選択肢1 
(AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合)賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証すれば、免責される。


 解 説 
「賠償額の予定」を定めていても、賠償額の予定は、債務不履行が成立する場合に問題となるので、債務者が、自己の履行遅滞について帰責事由(故意・過失)のないことを立証すれば、債務不履行そのものが成立せず、したがって免責されることになります。
本肢は正しい記述です。

[論点] 賠償額を予定しても免責されるか
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 選択肢2 
(AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合)Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を斟酌することができる。


 解 説 
債務者が、債権者の過失を立証して「過失相殺の主張」をすれば、裁判所は損害額の算定について、その過失を斟酌することができます。

あらかじめ「賠償額の予定」を定めていても、賠償額の予定は、損害の発生や損害額の立証を不要とする合意であって、「過失相殺の主張」までも排除する趣旨を含むものではありません。相手方に過失があるのに、これを考慮しなければ不公平です。
本肢は正しい記述です。

[論点] 賠償額の予定と過失相殺
[判例] 最判平6.4.21
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 選択肢3 
(AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合)裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。


 解 説 
「暴利行為として公序良俗違反」というのですから、常識的な判断で正解できますね。

賠償額の予定をした場合、当事者は、実際の損害額が予定額より大きいとか少ないことを証明しても増額や減額の請求はできません。

賠償額の予定は、損害の有無・損害額についての立証を問題とせずに一律に解決するという趣旨でなされるからです。
したがってまた、裁判所も増額・減額をすることはできません。

しかし、賠償額が高すぎて暴利行為となるときは、公序良俗違反(90条)を理由に、全部または一部を無効とし、過大な賠償額を減額することができます。
公序良俗違反の合意を有効とするわけにはいかないのです。
本肢は誤った記述です。

[論点] 賠償額の予定を増減できるか
[判例] 大判昭9.4.21
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 選択肢4 
(AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合)Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。


 解 説 
記述のとおり。
賠償額の予定は、まさに本肢記述の趣旨でなされます。ここはシッカリ押さえておいてください。

債権者は、債務者の債務不履行という客観的な事実があったことを証明すれば足り、実際に損害が発生したとか、損害額を証明する必要はありません。
債務者の責めに帰すべき事由(故意・過失などの帰責事由)によるものであるかどうかも証明不要なのです。

※ 賠償額の予定がなされていないときは、これらをすべて立証しなければならず、大変な時間と労力を強いられます。

[論点] 賠償額の予定の効力
[判例] 大判大11.7.26


以上より、正解は[3]

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 読むだけ! 重要条文 

 賠償額の予定|420条 
1 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
この場合において、裁判所は、その額を増減することができない


(この項終わり)