|公開日 2017.6.17
|更新日 2019.5.03

【平成13年 問1】の問題です。

【問 題】 A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。

 Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。

 この建物をEが不法占有している場合には、B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが、Aなら明渡しを求めることができる。

 裁判による共有物の分割では、Aに建物を取得させ、AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。


 解説&正解 

民法の問題で一番やさしいのは、おそらく共有でしょう。論点もほとんど出尽くしています。本問も初歩的な問題ですので、かならず正解したいものです。
「持分」の意味を理解しておきましょう。

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 選択肢1 
(A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合において)Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。


 解 説 
Aが、B・Cに無断で、共有建物を自己の単独所有としてDに売却した場合でも、売買契約としては有効に成立します。

ただしAは、B・Cの持分(所有権)、つまり他人の所有権を処分しているので、「他人の権利の売買」となります。
この場合、売買契約は無効となるのではなく、Aは、B・Cの所有権を取得して、これをDに移転する売買契約上の債務を負うことになるのです(560条)
本肢は正しい記述です。

 他人の権利売買の売主の義務|560条 
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う

[論点] 他の共有者の持分処分
[判例] 最判昭43.4.4
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 選択肢2 
(A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合において)Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。


 解 説 
Bは、自己の持分により共有物を使用収益する権利を有し、これに基づいて共有物を現に占有しているので、A・Cは、持分価格の過半数を超えるからといって「当然」には明渡しを請求することはできません。

判例は、Bに明渡しを求めるためには、『その理由を主張・立証しなければならない』としています。
本肢は誤った記述です。

[論点] 共有物の使用・収益
[判例] 最判昭41.5.19
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 選択肢3 
(A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合において)この建物をEが不法占有している場合には、B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが、Aなら明渡しを求めることができる。


 解 説 
不法占有者に対する明渡請求は保存行為に該当するので、共有者がそれぞれ単独で行うことができます。保存行為は全員の利益になるので、単独で行っても問題はないのです。
B・Cも持分に関係なく、単独で不法占有者Eに明渡しを求めることができます。
本肢は誤った記述です。

[論点] 保存行為
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 選択肢4 
(A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合において)裁判による共有物の分割では、Aに建物を取得させ、AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。


 解 説 
裁判で共有物を分割する場合には、裁判所は『共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情』があれば、共有物を共有者1人の所有とし、他の共有者には持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法により分割することができます。
本肢は誤った記述です。

実際のところ、建物を「分割する」というのは現実的ではありませんからね。

[論点] 裁判所による分割
[判例] 最判平8.10.31


以上より、正解は[1]

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 読むだけ! 重要条文 

 共有物の使用|249条 
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。

 共有物の管理、保存行為|252条 
共有物の管理に関する事項は、共有物の変更を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。


(この項終わり)