|公開日 2017.6.25
|更新日 2019.5.10

【平成14年 問9】の問題です。

【問 題】 Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが、売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 Bは、この瑕疵がAの責めに帰すべき事由により生じたものであることを証明した場合に限り、この瑕疵に基づき行使できる権利を主張できる。

 Bは、この売買契約を解除できない場合でも、この瑕疵により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。

 Bが、Aに対し、この瑕疵に基づき行使できる権利は、Bが瑕疵を知った時から1年以内に行使しなければならない。

 Bは、この瑕疵があるために、この売買契約を締結した目的を達することができない場合に限り、この売買契約を解除できる。


 解説&正解 

本問は、買主Bが建物の引渡しを受けた後に、「隠れた瑕疵があることを発見した」とありますので、Bは、善意であることが前提となっています。

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 選択肢1 
(Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが、売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合)Bは、この瑕疵がAの責めに帰すべき事由により生じたものであることを証明した場合に限り、この瑕疵に基づき行使できる権利を主張できる。


 解 説 
買主Bは、隠れた瑕疵が、売主Aの「責めに帰すべき事由により生じた」ものであることを証明しなくても、瑕疵担保責任を主張できます。
売主の担保責任については、民法の規定上、売主の「責めに帰すべき事由」は要求されておらず、無過失責任と解されています。
本肢は誤った記述です。

[論点] 担保責任の性質
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 選択肢2 
(Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが、売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合)Bは、この売買契約を解除できない場合でも、この瑕疵により受けた損害につき、Aに対し賠償請求できる。


 解 説 
善意の買主Bが、契約を解除できるのは、瑕疵のために契約目的を達成できない場合に限られているため、瑕疵がそれほど重大ではなく、契約目的に支障がない程度では解除できません。
ただし「解除できない場合でも」損害賠償請求は認められています。
本肢は正しい記述です。

[論点] 瑕疵の程度
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 選択肢3 
(Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが、売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合)Bが、Aに対し、この瑕疵に基づき行使できる権利は、Bが瑕疵を知った時から1年以内に行使しなければならない。


 解 説 
瑕疵担保責任の追及は、善意の買主Bが、瑕疵を「知った時から1年以内」に行使しなければなりません。
権利関係を早期に決着させるためです。
正しい記述です。

[論点] 担保責任の存続期間
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 選択肢4 
(Aが、Bに建物を売却し、代金受領と引換えに建物を引き渡した後に、Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが、売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合)Bは、この瑕疵があるために、この売買契約を締結した目的を達することができない場合に限り、この売買契約を解除できる。


 解 説 
善意の買主Bは、この瑕疵のために、契約目的を達成できない場合に限り、契約を解除できます。
正しい記述です。

[論点] 瑕疵担保責任の内容


以上より、正解は[1]

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 読むだけ! 重要条文 

 売主の瑕疵担保責任|570条 
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。

 売主の瑕疵担保責任|566条 
1 売買の目的物に瑕疵がある場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。
この場合、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。(2 略)
3 契約の解除または損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。


(この項終わり)