|公開日 2017.6.26
|更新日 2019.5.10

【平成18年 問9】の問題です。

【問 題】 民法上の委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 委任契約は、委任者又は受任者のいずれからも、いつでもその解除をすることができる。ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。

 委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。

 委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う。

 委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。


 解説&正解 

 選択肢1 
委任契約は、委任者又は受任者のいずれからも、いつでもその解除をすることができる。ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。


 解 説 
委任契約は、報酬の有無に関係なく、双方からいつでも解除することができます。
ただし、相手方にとって不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がある場合を除いて、相手方の損害を賠償しなければなりません。
正しい記述です。

[論点] 相手方に不利な時期の解除
………………………………………

 選択肢2 
委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。


 解 説 
委任契約は、委任者または受任者が破産手続開始の決定を受ければ終了します。

※ このほかに、①当事者の死亡、②受任者が後見開始の審判を受けたこと、によっても終了します。
正しい記述です。

[論点] 委任の終了事由
………………………………………

 選択肢3 
委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う。


 解 説 
委任者の死亡により委任契約は当然に終了するから、受任者は、委任者の相続人から「終了についての承諾を得るときまで」処理義務を負うことはありません。

ただ、急迫の事情があるときには、引き続き事務処理を行うなど、委任者の相続人等が委任事務を処理できる状態になるまで必要な処分をしなければならない緊急処分義務があります。
これは、事務処理を放置して、委任者側に不測の損害を与えないようにするためです。
本肢は誤った記述です。

[論点] 委任終了後の緊急処分義務
………………………………………

 選択肢4 
委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。


 解 説 
委任契約の終了事由は、
① これを相手方に通知したとき、または、
② 相手方がこれを知っていたとき
でなければ、相手方に対抗することができません。
したがって、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負うことになります。
正しい記述です。

[論点] 委任終了の対抗要件


以上より、正解は[3]

………………………………………

 読むだけ! 重要条文 

 委任の解除|651条 
1 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

 委任の終了事由|653条 
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者または受任者の死亡
二 委任者、または受任者が破産手続開始の決定を受けたこと
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと

 委任終了後の緊急処分義務|654条 
委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者(またはその相続人か法定代理人)は、委任者(またはその相続人か法定代理人)が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。

 委任終了の対抗要件|655条 
委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、または相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。


(この項終わり)