|更新日 2019.5.23
|公開日 2017.6.29

【平成4年 問13】の問題です。

【問 題】 遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 遺言は、15歳に達すればすることができ、法定代理人の同意は必要でない。

 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺贈の減殺を請求することができる。

 遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、遺言者が死亡する前に受遺者が死亡したときは、その遺贈は効力を生じない。

 遺言者が遺贈をしても、受遺者が遺贈の放棄をしたときは、遺言に別段の意思表示がない限り、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。


 解説&正解 

遺言に関する基本的な問題です。条文をシッカリ読んでいれば正解できる選択肢ばかりです。遺言に限らず相続関係の問題は、多くが条文熟読していれば正解できます。
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 選択肢1 
遺言は、15歳に達すればすることができ、法定代理人の同意は必要でない。


 解 説 
15歳に達した者は、自分1人の単独意思で遺言をすることができます。
法定代理人の同意は不要で、同意がなくても完全に有効です。つまり、同意がないことを理由に取り消すことのできる遺言となるのではありません。
遺言は身分行為なので、とくに表意者の意思を尊重すべきとされているのです。
本肢は正しい記述です。

[論点] 遺言能力

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 選択肢2 
遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、被相続人の兄弟姉妹は、遺留分の保全に必要な限度で、遺贈の減殺を請求することができる。


 解 説 
被相続人の兄弟姉妹には、そもそも遺留分がないため、遺留分を保全するための減殺請求権もありません。
遺留分が認められているのは、配偶者、子、直系尊属です。
本肢は誤った記述です。

[論点] 兄弟姉妹の遺留分

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 選択肢3 
遺産の全部を相続人の一人に贈与する旨の遺言があっても、遺言者が死亡する前に受遺者が死亡したときは、その遺贈は効力を生じない。


 解 説 
遺贈をしていても、遺言者が死亡する前に受遺者が死亡したときは、遺贈は効力を生じません。
遺贈を受けるべき受遺者が死亡していれば、そもそも権利の帰属者が存在しないので、受遺者の相続人が相続することもありません。
本肢は正しい記述です。

[論点] 受遺者の死亡による遺贈の失効

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 選択肢4 
遺言者が遺贈をしても、受遺者が遺贈の放棄をしたときは、遺言に別段の意思表示がない限り、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。


 解 説 
受遺者が遺贈の放棄をして遺贈が効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属します。
ただし、遺言者が、遺言に別段の意思表示をしているときは、その意思が優先します。
本肢は正しい記述です。

[論点] 遺贈が失効した場合の財産の帰属


以上より、正解は[2]

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 読むだけ! 重要条文 

 遺言能力|961条 
15歳に達した者は、遺言をすることができる。

 同意規定等の不適用|962条 
第5条(未成年者における法定代理人の同意)、第9条(成年被後見人の法律行為の取消)、第13条(被保佐人における保佐人の同意)、第17条(被補助人における補助人の同意)の規定は、遺言については適用しない

 受遺者死亡による遺贈の失効|994条 
1 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。

 遺贈の無効・失効による財産帰属|995条 
遺贈が、その効力を生じないとき、または放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

 遺留分の帰属とその割合|1028条 
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。(以下略)

 遺贈・贈与に対する減殺請求|1031条 
遺留分権利者およびその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈および贈与の減殺を請求することができる。


(この項終わり)