|公開日 2017.6.22
|更新日 2019.5.10

【平成6年 問9】の問題です。

【問 題】 Aは、BのCに対する1,000万円の債務について、保証人となる契約を、Cと締結した。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 CがAを保証人として指名したため、Aが保証人となった場合、Aが破産手続開始の決定を受けても、Cは、Bに対して保証人の変更を求めることはできない。

 BのCに対する債務が条件不成就のため成立しなかった場合、Aは、Cに対して保証債務を負わない。

 AC間の保証契約締結後、BC間の合意で債務が増額された場合、Aは、その増額部分についても、保証債務を負う。

 CがAに対して直接1,000万円の支払いを求めて来ても、BがCに600万円の債権を有しているときは、Aは、Bの債権による相殺を主張して400万円を支払えばよい。


 解説&正解 

保証債務に関する基本中の基本問題です。かならず正解するようにしましょう。

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 選択肢1 
(Aは、BのCに対する1,000万円の債務について、保証人となる契約を、Cと締結した。この場合)CがAを保証人として指名したため、Aが保証人となったときは、Aが破産手続開始の決定を受けても、Cは、Bに対して保証人の変更を求めることはできない。


 解 説 
保証人となる資格にはとくに制限はなく、当事者間で自由に決めることができます。
しかし、法律や契約によって債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、保証人は次の2要件を備えなければなりません。

  • ① 行為能力者であること
  • ② 弁済資力を有すること
後で②の要件を欠いたときは、債権者は、債務者に対して保証人の変更を請求することができます。

ただし、債権者が保証人を指名した場合は、その保証人が破産手続開始の決定を受け弁済資力を失っても、債務者に対して保証人の変更を求めることはできません。
自ら指名したのですから、そのリスクを負うのは当然なのです。
本肢は正しい記述です。

※ ①の要件は、制限行為能力を理由に保証契約が取り消されることを防ぐため、②の要件は、保証債務が確実に弁済されるようにするためです。

[論点] 保証人の要件|債権者の指名
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 選択肢2 
(Aは、BのCに対する1,000万円の債務について、保証人となる契約を、Cと締結した。この場合)BのCに対する債務が条件不成就のため成立しなかったときは、Aは、Cに対して保証債務を負わない。


 解 説 
Bの主たる債務が、条件不成就のため成立しなかった場合には、Aの保証債務も成立しません。
保証債務は、主たる債務を担保することが目的ですから、必ず主たる債務の存在を前提としており、主たる債務が成立しなければ成立せず、主たる債務が消滅すれば消滅します。保証債務の付従性ですね。
本肢は正しい記述です。

※ 同様に、主たる債務が錯誤を理由に無効だったり、詐欺を理由に取り消された場合にも、保証債務は成立しません。

[論点] 保証債務の付従性
[判例] 大判大8.3.26
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 選択肢3 
(Aは、BのCに対する1,000万円の債務について、保証人となる契約を、Cと締結した。この場合)AC間の保証契約締結後、BC間の合意で債務が増額された場合、Aは、その増額部分についても、保証債務を負う。


 解 説 
保証契約の「締結後」に、債権者・債務者の「合意で債務が増額」されても、保証人は増額部分については保証債務を負いません。

もともと保証債務は、常に現在における主たる債務を担保するものなので、主たる債務の変更に応じてその内容を変更するのが原則です。
たとえば、主たる債務が損害賠償債務に変わったような場合など。

しかし保証債務は、保証契約によってすでに定まっており、保証人の意思に基づかないで不利益を強いることは妥当ではないので、後で主たる債務の内容が加重されても、その効力は保証人には及びません。
付従性もこの限りで制限されます。
本肢は誤った記述です。

[論点] 保証債務の範囲
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 選択肢4 
(Aは、BのCに対する1,000万円の債務について、保証人となる契約を、Cと締結した。この場合)CがAに対して直接1,000万円の支払いを求めて来ても、BがCに600万円の債権を有しているときは、Aは、Bの債権による相殺を主張して400万円を支払えばよい。


 解 説 
保証人は、主たる債務者の有する債権による相殺をもって、債権者に対抗することができます。保証債務の付従性によるものです。
したがって保証人Aは、Bの反対債権600万円で相殺して、400万円だけ支払えばよいことになります。
正しい記述です。

※ 保証人が、主たる債務の有する同時履行の抗弁権を行使できることはもちろんで、買主の代金債務の保証人などに多い事例です。

[論点] 保証人の相殺援用


以上より、正解は[3]

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 読むだけ! 重要条文 

 保証人の負担|448条 
保証人の負担が債務の目的または態様において主たる債務より重いときは、これを主たる債務の限度に減縮する。

 保証人の要件|450条 
1 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
 一 行為能力者であること
 二 弁済をする資力を有すること
2 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3 前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

 保証人による相殺援用|457条2項 
2 保証人は、主たる債務者の債権による相殺をもって債権者に対抗することができる


(この項終わり)