|公開日 2017.06.24
|更新日 2018.10.25


【平成5年 問6】の問題です。

【問 題】 AのBからの借入金100万円の弁済に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Aの兄Cは、Aが反対しても、Bの承諾があれば、Bに弁済することができる。

 Aの保証人DがBに弁済した場合、Dは、Bの承諾がなくても、Bに代位することができる。

 B名義の領収証をEが持参したので、AがEに弁済した場合において、Eに受領権限がなくても、Aが過失なくしてその事情を知らなかったときは、Aは、免責される。

 Aは、弁済にあたり、Bに対して領収証を請求し、Bがこれを交付しないときは、その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。


[解説&正解]

【選択肢1】
(AのBからの借入金100万円の弁済に関して)Aの兄Cは、Aが反対しても、Bの承諾があれば、Bに弁済することができる。

(解 説)
そもそも法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済することができません。

債務者Aの兄Cは、親族関係から生じる事実上の利害関係はあっても、それだけでは法律上の利害関係があるとはいえないため、Aの意思に反しては弁済することはできないのです。
本肢は誤った記述です。

[テーマ] 利害関係を有しない第三者の弁済
[条 文] 474条
[判 例] 最判昭63.7.1

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【選択肢2】
(AのBからの借入金100万円の弁済に関して)Aの保証人DがBに弁済した場合、Dは、Bの承諾がなくても、Bに代位することができる。

(解 説)
保証人や連帯債務者などのように、弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位します。これを法定代位といいます。

債務者Aの保証人Dが、債権者Bに弁済すれば、Bの承諾がなくても、当然にBに代位することができるのです。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 法定代位──保証人
[条 文] 500条

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【選択肢3】
(AのBからの借入金100万円の弁済に関して)B名義の領収証をEが持参したので、AがEに弁済した場合において、Eに受領権限がなくても、Aが過失なくしてその事情を知らなかったときは、Aは、免責される。

(解 説)
領収証(受取証書)の持参人は、原則として弁済を受領する権限があるとみなされます。

したがって、持参人Eに受領権限がなくても、そのことについて弁済者Aが「過失なくしてその事情を知らなかった」、つまり善意無過失であれば、その弁済は、受領権限のある者に対してなされたのと同様に有効となり、債権は消滅します。
本肢は正しい記述です。

※ なお、この領収証が偽造であっても、同様です。

[テーマ] 受取証書の持参人への弁済
[条 文] 480条

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【選択肢4】
(AのBからの借入金100万円の弁済に関して)Aは、弁済にあたり、Bに対して領収証を請求し、Bがこれを交付しないときは、その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。

(解 説)
弁済する者は、受領者に対して受取証書の交付を請求できますが、受取証書は弁済の証拠となるものですから、弁済と同時に交付される必要があります。

つまり、弁済と受取証書の交付とは同時履行の関係にあるので、弁済者Aは、領収証の交付がなされるまで、弁済を拒むことができます。
本肢は正しい記述です。

[テーマ] 受取証書の交付請求
[条 文] 486条
[判 例] 大判昭16.3.1

以上より、正解は[1]

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[しっかり読んでおこう重要条文]

*474条(第三者の弁済)
1 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、または当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

*480条(受取証書の持参人に対する弁済)
受取証書の持参人は、弁済を受領する権限があるものとみなす。ただし、弁済をした者がその権限がないことを知っていたとき、または過失によって知らなかったときは、この限りでない。

*486条(受取証書の交付請求)
弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。

*500条(法定代位)
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。


(この項終わり)