|公開日 2017.6.24
|更新日 2019.5.10

【平成11年 問5】の問題です。

【問 題】 Aが、Bに対して不動産を売却し、所有権移転登記及び引渡しをした場合のBの代金の弁済に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Bの親友Cが、Aに直接代金の支払いを済ませても、それがBの意思に反する弁済である場合には、Bの代金債務は消滅しない。

 Aが、Bに対し代金債権より先に弁済期の到来した別口の貸金債権を有する場合に、Bから代金債権の弁済として代金額の支払いを受けたとき、Aは、Bの意思に反しても、代金債権より先にその貸金債権に充当することができる。

 Bが、「AからDに対して代金債権を譲渡した」旨記載された偽造の文書を持参した代金債権の準占有者Dに弁済した場合で、Bが善意無過失であるとき、Bは、代金債務を免れる。

 Bの友人Eが、代金債務を連帯保証していたためAに全額弁済した場合、Eは、Aの承諾がないときでも、Aに代位する。


 解説&正解 

 選択肢1 
(Aが、Bに対して不動産を売却し、所有権移転登記及び引渡しをした場合において)Bの親友Cが、Aに直接代金の支払いを済ませても、それがBの意思に反する弁済である場合には、Bの代金債務は消滅しない。


 解 説 
債務の弁済は、原則として第三者でもすることができますが、法律上の利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済することはできません。
たとえ債務者の利益となっても、その意思に反して強制することは不適切だからです。

「親友」というだけでは、法律上の利害関係があるとはいえません。
親友Cによる弁済も、債務者Bの意思に反する場合には無効であり、したがってBの代金債務が消滅することはありません。
本肢は正しい記述です。

[論点] 利害関係を有しない第三者の弁済
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 選択肢2 
(Aが、Bに対して不動産を売却し、所有権移転登記及び引渡しをした場合において)Aが、Bに対し代金債権より先に弁済期の到来した別口の貸金債権を有する場合に、Bから代金債権の弁済として代金額の支払いを受けたとき、Aは、Bの意思に反しても、代金債権より先にその貸金債権に充当することができる。


 解 説 
債権者Aは、別口の貸金債権があっても、弁済者Bから「代金債権の弁済として」支払いを受けたときは、その意思に反して、これを貸金債権に充当することはできません。

数個の債務を負担する債務者の弁済が不足して、債務全部を消滅させることができないときは、まず弁済者が一方的にどの債務の弁済なのかを指定することができます。
これは、弁済者が最も利害を有しているからです。
本肢は誤った記述です。

[論点] 弁済の充当の指定
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 選択肢3 
(Aが、Bに対して不動産を売却し、所有権移転登記及び引渡しをした場合において)Bが、「AからDに対して代金債権を譲渡した」旨記載された偽造の文書を持参した代金債権の準占有者Dに弁済した場合、Bが善意無過失であるとき、Bは代金債務を免れる。


 解 説 
債権の準占有者に対してした弁済は、弁済者が「善意無過失」のときに限り、有効とされます。
判例は、偽造の債権証書の所持人Dも、債権の準占有者としており、したがって、弁済者Bが善意無過失であるときは、Dへの弁済は有効となり、Bは代金債務を免れます。
本肢は正しい記述です。

[論点] 債権の準占有者への弁済
[判例] 最判昭2.6.22
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 選択肢4 
(Aが、Bに対して不動産を売却し、所有権移転登記及び引渡しをした場合において)Bの友人Eが、代金債務を連帯保証していたためAに全額弁済した場合、Eは、Aの承諾がないときでも、Aに代位する。


 解 説 
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位します。これを法定代位といいます。
債務者Bの友人Eは、弁済をするについて正当な利益を有する連帯保証人ですから、債権者Aの「承諾がないときでも」、弁済によって当然にAに代位します。
本肢は正しい記述です。

※ 保証人、連帯保証人、連帯債務者、担保不動産の第三取得者=買主などのように、弁済をするについて正当な利益を有する者は、債権者の承諾がなくても、弁済によって当然に債権者に法定代位します。

[論点] 連帯保証人の法定代位


以上より、正解は[2]

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 読むだけ! 重要条文 

 第三者の弁済|474条 
1 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

 債権の準占有者への弁済|478条 
債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

 弁済の充当の指定|488条 
1 債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において、弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。

 法定代位|500条 
弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。


(この項終わり)