|公開日 2017.6.24
|更新日 2019.5.10

【平成8年 問8】の問題です。

【問 題】 AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが、AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

 この土地がCの所有であることをAが知って契約した場合でも、Bがこの土地をCから取得してAに移転できないときには、Aは、Bに対して契約を解除することができる。

 この土地の8割の部分はBの所有であるが、2割の部分がDの所有である場合で、BがD所有の部分を取得してAに移転できないことをAが知って契約したときでも、Aは、Bに対して契約を解除することができる。

 この土地が抵当権の目的とされており、その実行の結果Eが競落したとき、Aは、Bに対して契約を解除することができる。

 この土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため、Aがそのことを知らなかった場合で、このため契約の目的を達することができないとき、Aは、Bに対して契約を解除することができる。


 解説&正解 

 選択肢1 
(AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが、AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合において)この土地がCの所有であることをAが知って契約した場合でも、Bがこの土地をCから取得してAに移転できないときには、Aは、Bに対して契約を解除することができる。


 解 説 
土地が他人Cの所有であることを「知って」契約した悪意の買主Aは、売主Bがこれを取得してAに移転できないときは、契約を解除することができます。

この場合の契約解除は、買主の善意・悪意に関係なくすることができます。
本肢は正しい記述です。

※ 悪意の買主は、この561条(売主の担保責任)によっては損害賠償請求はできませんが、移転不能が売主の債務不履行の要件を満たしているならば、履行不能(543条)を理由に損害賠償を請求できます(最判昭41.9.8)

[論点] 権利の全部が他人に属する場合
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 選択肢2 
(AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが、AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合において)この土地の8割の部分はBの所有であるが、2割の部分がDの所有である場合で、BがD所有の部分を取得してAに移転できないことをAが知って契約したときでも、Aは、Bに対して契約を解除することができる。


 解 説 
土地の一部が他人Dの所有であるため、売主Bが、これを取得して買主Aに移転できないときは、Aがこれを「知って」契約したのであれば、契約解除はできません。
悪意の買主に契約解除権はなく、不足する部分の割合に応じて代金減額請求ができるだけです。
本肢は誤った記述です。

[論点] 権利の一部が他人に属する場合
………………………………………

 選択肢3 
(AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが、AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合において)この土地が抵当権の目的とされており、その実行の結果Eが競落したとき、Aは、Bに対して契約を解除することができる。


 解 説 
抵当権が設定されている土地の買主Aは、抵当権が実行されて所有権を失ったときは、善意・悪意に関係なく、契約を解除し、損害を受けたときは損害賠償請求ができます。
本肢は正しい記述です。

※ 抵当権が「設定されている」というだけでは、契約解除はできません。

[論点] 抵当権が設定されている場合
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 選択肢4 
(AがBから建物所有の目的で土地を買い受ける契約をしたが、AB間に担保責任に関する特約はなかった。この場合において)この土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあったため、Aがそのことを知らなかった場合で、このため契約の目的を達することができないとき、Aは、Bに対して契約を解除することができる。


 解 説 
「土地の8割が都市計画街路の区域内にあることが容易に分からない状況にあった」というのは、都市計画法上の利用制限という隠れた瑕疵にあたり、「このため契約の目的を達することができない」善意の買主Aは、契約を解除することができます。

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、売主は、買主に対して瑕疵担保責任を負いますが、瑕疵には、物質的な瑕疵だけでなく、本肢のような法律的な制限も含みます。
本肢は正しい記述です。

[論点] 瑕疵の意味
[判例] 最判昭41.4.14


以上より、正解は[2]

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 読むだけ! 重要条文 

 権利の一部が他人に属する場合|563条 
1 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3 代金減額の請求または契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。


(この項終わり)