|更新日 2020.12.20
|公開日 2017.07.02

得点のカギ「意思表示」はこれから学習する多くのテーマ、たとえば錯誤、虚偽表示、代理、取消し・解除、売買契約など、全般にわたって中核となる用語です。
「意思表示」を正しく理解することは、そのまま民法体系を理解するカギとなり、同時に得点できるカギともなります。大変重要な用語です。

1|意思表示・法律行為

1 意思表示|申込みと承諾

|意思表示の意味|
たとえば、売買契約では、売主が「売りましょう」という申込みの意思表示をして、これに対し買主が「買いましょう」と承諾の意思表示をすることで成立します。

賃貸借契約であれば、貸主が「貸しましょう」という申込みをして、借主が「借りましょう」と承諾すれば成立します。

このように、意思表示というのは「売る」とか「買う」、あるいは「貸す」「借りる」というように、最終的に権利の発生・移転・消滅を生じさせるような意思を表示することをいいます。
「申込み」と「承諾」という意思表示を要素として契約が成立するのです(522条)

契約が成立するまでには、当事者間で、価格や数量、代金の支払方式、目的物の引渡時期や登記の移転時期などいろいろなことが話し合われますが、最終的に重要なのは「売る・買う」「貸す・借りる」というように、権利変動を生じさせる意思表示なのです。

2 法律行為って何?

|法律行為の意味|
法律行為というのは、要するに契約のことです。単に行為ということもあります。

土地を売ったり買ったりする売買契約、家を貸したり借りたりする賃貸借契約、金銭の貸し借りをする金銭消費貸借契約、そして遺言など、いろいろな契約・行為の総称を「法律行為」といいます。
宅建試験では「法律行為=契約」と考えて問題はありません。

図で示すとこのようになります。

法律行為の内容,パターン

宅建試験では、たまにこれらの用語が混用されて出題されたりします。
たとえば[平成26年問9肢1]では、次のようになっていました。

「後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。」

3 法律効果って何?

さらに、意思表示・法律行為と一体の関係にある「法律効果」についても言及しておきましょう。

|法律効果の意味|
たとえば、土地の売買契約が成立すると、買主は土地の所有権を取得し、同時に売買代金支払義務を負担します。
一方、売主は売買代金請求権を取得するとともに、土地の所有権移転義務を負うことになります。

所有権の取得、売買代金支払義務の発生、売買代金請求権の取得などのように、契約=法律行為をした結果として発生・取得するこれらの法律上の効果を法律効果といいます。

以上の関係を売買契約で図示すると、こんな感じですね。

意思表示の成立

2|意思の不存在と瑕疵ある意思表示

さて、民法は「私的自治の原則」に基づいて契約の自由を認め(521条)、契約の締結・内容は「できるだけ当事者の意図するとおりにしよう」という立場を明確にしています。
意思表示でいえば、「当事者が本当に意図するところ(=内心の意思)に従って法律効果を与えよう」ということです。

意思表示は、法律行為の不可欠の要素であり、法律行為が有効に成立するためには、意思表示自体が有効なものでなくてはなりません。
「意思の不存在」と「瑕疵ある意思表示」は、この意思表示に欠陥があるために、有効とすることはできないのです。

1 意思の不存在って何?

|意思表示の構造|
意思表示の構造
意思表示は、大体このような構造になっています。

「意思の不存在」というのは、「表示」があっても「内心の意思」が欠けていることをいいます。
このような意思表示は、表示者の意思を表示していないので無効とされたり、取消しの原因となったりします。

これには3つのパターンがあります。

  • 心裡留保
  • 虚偽表示
  • 錯 誤

2 瑕疵ある意思表示って何?

「瑕疵ある意思表示」は、「意思」と「表示」の不一致はなく、意思表示自体に欠陥はないのですが、ただ意思表示を「形成する過程」に不法な作用が加えられたので、意思表示が「自由に行われなかった」点に瑕疵があるわけです。

だまされたり、おどされたりして、「売る」という意思で、「売る」と表示しているのです。

これには2つのパターンがあります。

  • 詐 欺
  • 強 迫

詐欺や強迫による意思表示は、原則として取り消すことができるとされています。

次回から、こうした意思表示をくわしくみていくことにしましょう。

※「瑕疵」という用語は、売買契約における瑕疵担保責任が大きく改正されたことに伴い、売買では使用されなくなりました。

しかし、用語自体が民法で廃止されたわけではなく、他の分野では依然として使用されています。たとえば、瑕疵ある意思表示の取消し(120条2項)、占有における瑕疵の承継(187条2項)などのように。

ポイントまとめ

 法律行為は、売買契約や賃貸借契約、金銭消費貸借契約などの契約遺言などの総称のことである。
 法律行為は、意思表示を構成要素としている。
 契約は、申込み承諾という意思表示によって成立する。
 意思表示は、「売る・買う」「貸す・借りる」など、権利変動を生じさせる表示をいう。
「意思の不存在」「瑕疵ある意思表示」は、意思表示における病理現象である。

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