|更新日 2020.12.01
|公開日 2019.11.28

32年間の出題傾向|32年間で出題数は5問、あまり出題されません。
直近では、平成30年(2018)に停止条件が出題されたばかりです。
期限は債務不履行で問題になりますので、理解しておかないと困ることになります。
基本だけはおさえましょう。

1|条件の意味

売買契約や賃貸借契約などの契約が成立すると、通常はその効力(契約としての強制力)は「直ちに」生じるのが原則です。

しかしながら、契約をする際に「当事者の合意で条件をつける」ことがよくあります。
「阪神が今年リーグ優勝したら一席設けるよ」とか、「離婚したらマンションは返してもらうからね」というような場合です。
「優勝したら」「離婚したら」というのが条件です。

意 味

条件というのは、このように実現するかどうか不確実な事実をいいます。
「優勝」とか「離婚」とかは、実現するかどうか「不確実」ですよね。
「実現するかどうか分からない不確実な事実」により、条件づけられた契約の取扱いが問題となるわけです。

2|停止条件

条件には「停止条件」と「解除条件」がありますが、宅建試験に出題されるのは、圧倒的に停止条件です。まずは、停止条件をみておきましょう。

1 停止条件の意味・効果など

1|意 味

停止条件というのは、条件が成就=実現するまで、契約の効力発生を停止しておく事実をいいます。

たとえば、ある不動産会社が社員に「宅建試験に合格したら、祝い金として10万円支給するよ」と約束したとしましょう。

契約の本体は「10万円を支給する」という贈与契約ですが、10万円をもらえる、あるいは与えなくてはならないという契約の効力=強制力が生じるためには、「合格」という事実が実現する、つまり条件が成就しなければなりません。

合格という条件が成就するまでは、「10万円を給付する」という贈与契約の「効力が停止させられている」という意味で、停止条件というわけです。

2|効 果

停止条件付契約は「停止条件が成就した時から効力を生じる」のであって、条件が成就するまでは、契約の効力は発生しません。これが原則です。
「契約の時にさかのぼって」効力を生じるのではないのです。

停止条件

ただし、当事者が「成就した時以前にさかのぼらせる」意思を表示したときは、その意思に従います。

1 条件付権利の侵害禁止
結婚すれば新居を贈与されるという約束をした人は、結婚すれば新居の所有権を取得できるという「期待」をもっています。 

民法は、この「期待」を期待権として保護し、相手方がこれを侵害してはならないとしました。
期待権といっても、れっきとした条件付権利ですから、一般の権利と同様に、保護される必要があるわけです。
もし相手方がこの期待権を侵害した場合、たとえば、贈与者がその新居を毀損した場合には、「不法行為」の原則に従い、贈与者には損害賠償責任が生じます。

2 権利の処分等
条件付権利であっても、「独立した財産権」としての扱いを受けます。
つまり、条件の成否未定の間であっても、条件付権利は、一般の権利と同様に、処分したり、相続したり、または条件付権利のために担保を付けることができます。

たとえば、相続を例にすると、AB間で、売主Aの所有地について停止条件付売買契約を締結した後、条件の「成否未定の間」に、買主Bが死亡すれば、Bの相続人は、Bの買主としての地位を承継することとなるわけです。

2 条件成就の妨害

1 不利益を受ける当事者
条件が成就することによって「不利益」を受ける当事者が、「故意に条件成就を妨害したとき」は、相手方は、「条件が成就した」ものとみなすことができます。

たとえば、不動産仲介契約に多いのですが、不動産業者Aに、Bが、土地・建物の購入や売却のあっせんを依頼し、契約が成立したら高い報酬を支払うと約束したとしましょう。
このときBが、Aが探してきた相手方Cと「直接」取引をして契約を成立させたとすると、Aは、条件成就の妨害があったとして、「条件が成就した」ものとみなすことができ、Bに報酬を請求することができることになるわけです。

2 利益を受ける当事者

ここは、新民法で新設された規定で、条件成就によって利益を受ける当事者についてです。

つまり、条件が成就することによって「利益」を受ける当事者が「不正に条件を成就させた」ときは、相手方は、その「条件が成就しなかった」ものとみなすことができます。

3|解除条件

1|意 味

解除条件は、条件の成就によって契約の効力を消滅させるものです。

不動産会社が、宅建試験の受験勉強をする社員たちに、毎月奨学金として3万円を給付している場合に、「今年不合格になれば、奨学金を打ち切る」という約束をしていれば、「不合格になれば」というのが解除条件となります。

不合格という条件が成就することによって、すでに発生している法律効果を消滅させるもので、それまで存続していた効力が「解除」されるという意味です。

2|効 果

解除条件付契約は、解除条件が「成就した時から」その効力を失います。

4|期 限

宅建試験では、債務不履行に関連して確定期限や不確定期限、相殺に関連して期限の利益など、期限を理解しておかないと正解できないこともありますので、シッカリ確認しておきましょう。

意 味

期限というのは「令和2年12月31日」に代金を支払うというように、その時期が到来するまで支払いを猶予されたり、「令和3年末まで」毎月5万円を給付するというように、その時期が来たら給付を止めるという事実をいいます。

条件と似ているが……
期限と条件は「表現では」大変よく似ています。A商社に就職できたら、社長が亡くなったら、というように。

しかし、条件は「成就するかどうかが不確実な事実」であるのに対し、期限は「到来することが確実な事実」である、という点に根本的な違いがあります。
「就職できたら」は条件で、「亡くなったら」は期限です。

1 確定期限と不確定期限

「来年の4月1日」のように、到来する時期が確定しているものを確定期限、「自分が死んだとき」というように、到来することは確実だが、その時期が不確実なものを不確定期限といいます。
それぞれの期限を過ぎた場合に、債務不履行(履行遅滞)や消滅時効の進行などの問題を生じる点で重要です。

2 期限の利益

1 期限の利益は債務者のため
期限の利益というのは「期限があることによって」当事者が受ける利益のことをいいます。

たとえば「来年の4月1日」に借金を返済するという契約の場合、借主は、その期限到来まで「支払いを拒絶できる」という利益を有しています。
同じように「令和5年12月末日まで」土地を貸すという契約の場合、借主は、その期限到来まで「土地の明渡しを拒絶できる」という利益を有しています。
このように、期限の利益は、通常は債務者のためにあります。

2 期限の利益の放棄

期限の利益は、原則として放棄することができます。
つまり、借主=債務者は期限到来前に借金を返済し、あるいは土地を明け渡すことができるのです。

ただし、期限の利益は放棄できますが、放棄によって「相手方の利益」を害することができません。
たとえば、利息が定められている金銭債権の場合には、貸主=債権者は、期限までの利息を得るという利益を有しているため、借主=債務者は「期限までの」利息を支払った上でなければ、期限の利益を放棄して債務を弁済することはできないのです。

ポイントまとめ

 停止条件は、条件が成就するまで、契約の効力発生を停止しておく事実をいう。
 停止条件付契約は、原則として、条件が成就した時から効力を生じる。
 条件付権利は、期待権として保護される。期待権を侵害すれば、不法行為として損害賠償責任が生じる。
 条件の成否未定の間であっても、条件付権利を処分し、相続し、または条件付権利のために担保を付けることができる。
 成就によって契約の効力を消滅させる条件を解除条件という。
 条件成就によって「不利益」を受ける当事者が、「故意に条件成就を妨害したとき」は、相手方は、その「条件が成就したものとみなす」ことができる。

 条件成就によって「利益」を受ける当事者が「不正に条件を成就させたとき」は、相手方は、その「条件が成就しなかったものとみなす」ことができる。
 確定期限は、期日のように到来する時期が確定しているものをいい、不確定期限は、到来することは確実だが、その時期が不確実なものをいう。
 期限の利益は、原則として放棄することができる。ただし、放棄によって相手方の利益を害することはできない。

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