|更新日 2020.12.22|公開日 2017.9.25

32年間の出題傾向32年間で7問の出題です。頻出テーマではありません。
直近では令和1年(2019)に基本的な問題が出題されました。
請負は大きく改正されましたので、しばらく要注意です。
得点のカギ次のポイントを押さえましょう。
1 利益割合に応じた報酬
2 報酬減額請求権
3 損害賠償請求権
4 担保責任の期間制限

1|請負の意味

意 味

建設会社が注文を受けて住宅を建築するように、請負というのは、請負人が「仕事を完成する」こと(住宅建築など)を約束し、注文者がその「仕事の結果」に対して報酬を支払う約束をする契約です。当事者の合意のみで成立する諾成契約です。

注意したいのは、請負は「仕事の完成」を目的とする契約であるということです。
建築などの有形的な労務であろうと、輸送という無形の労務であろうと、請負は、労務を提供して仕事を完成することが目的であって、労務提供が目的(委任・雇用など)ではないので、請負人がいくら頑張って労務を提供しても「仕事が完成」しなければ、債務を履行したことにはなりません。

請負の目的は「仕事の完成」なので、自ら労務を提供する必要はなく、一定の例外を除いて、下請負も許されます。

さて、宅建試験では「建物の建築請負」が中心ですので、以下これに焦点を当ててポイントを確認していきましょう。

2|報酬の支払い

 報酬の支払時期

1 引渡しを必要とする場合
住宅の建築のように、完成後に引渡しを必要とする請負の場合には、報酬は、目的物の引渡しと同時に支払う必要があります。
つまり、請負人の「目的物引渡債務」と注文者の「報酬支払債務」とは、同時履行の関係に立ちます。

2 引渡しを要しない場合
一方、建物の修繕・改築などのように、引渡しを要しない請負の場合には、報酬は「仕事の完成後」に支払うこととなります。後払いですね。

そもそも請負は「完成した仕事」に対して報酬を支払う契約ですから、仕事を完成させることが先履行の義務なのです。

 利益割合に応じた報酬

請負では「仕事が完成」しない限り、報酬請求権は発生しないのが原則です。
しかし、
 注文者に帰責事由なく仕事の完成が不能になった場合、または、
 請負が仕事の完成前に解除された場合において、
既になされた仕事の結果のうち「可分な部分の給付」によって注文者が利益を受けるときは、その部分を「仕事の完成」とみなして、請負人は、その「利益の割合に応じて」報酬を請求をすることができます。

「完成前に解除された場合」というのは、①請負人の債務不履行を理由に解除された場合、および、②注文者と請負人が合意解除した場合をいいます。

3|請負人の担保責任

 原 則

請負人が、種類・品質に関して「契約の内容に適合しない」仕事の目的物を引き渡したときは、注文者は、請負人に対して契約不適合の担保責任として、以下の権利を行使することができます。
これは、売買における契約不適合の場合と同じです。

  • 修補請求権
  • 報酬減額請求権
  • 損害賠償請求権
  • 契約解除権

1 追完請求権(修補請求権)
引き渡された建築建物に「雨漏り」や「床の傾斜」など契約不適合があるときは、注文者は、履行の追完としてその修補を請求できます。
ただし、修補請求にも限界があって、不適合が重要ではなく、修補に過分の費用を要するなど、取引上の社会通念に照らして「修補が不能」であると評価される場合には、修補請求は認められません(412条の2第1項)

2 報酬減額請求権
原 則
注文者が、相当の期間を定めて修補請求の催告をしても、請負人がその期間内に修補しないときは、注文者は「不適合の程度に応じて」報酬の減額を請求できます。

無催告減額
次の場合は、催告することなく直ちに報酬の減額請求ができます。
 修補が不能
 請負人が修補の拒絶意思を明確に表示
 催告をしても修補を受ける見込みのないことが明らか
 一定の期間内に修補しなければ契約目的を達成できない

3 損害賠償請求権
一般の債務不履行責任として、注文者は、①修補に代え、または、②修補とともに損害賠償請求ができます(415条)

修補請求に代わる損害賠償請求
注文者は、①修補が不能であるとき、②請負人が修補の拒絶意思を明確に表示したときなどの場合には、修補に代わる損害賠償請求ができます。

この場合、注文者の損害賠償債権と請負人の報酬債権は同時履行の関係に立ち、注文者は(瑕疵の程度や当事者の交渉態度等を考慮して信義則に反すると認められるときを除いて)請負人から修補に代わる損害賠償を受けるまでは、報酬全額の支払いを拒むことができ、履行遅滞の責任も負わないとされます(最判平9.2.14)
なお、注文者の損害賠償債権をもって、請負人の報酬債権と相殺することもできます(同上判例)

次の判例も確認しておきましょう。
・最判昭54.3.20
仕事の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、瑕疵の修補が可能なときであっても、修補を請求せずに「直ちに」修補に代わる損害賠償請求ができる。
・最判平14.9.24
請負建物に「重大な瑕疵」があって建て替えざるを得ない場合、注文者は、請負人に対して「建替えに要する費用相当額」を損害として賠償請求ができる。

修補請求とともにする損害賠償請求
注文者は、契約不適合な箇所の修補を求めるとともに、仕事の完成が遅れたことなどにより生じた損害の賠償請求もできます。

4 契約解除権
契約解除の規定(541条以下)が適用されます。

催告による解除
注文者が、請負人に対して修補をするように催告したにもかかわらず、相当期間が経過しても修補しないときは、注文者は契約を解除することができます。
ただし、契約不適合の程度が「軽微」な場合には、解除できません。

催告によらない解除
以下の場合は、催告せずに直ちに解除できます。
① 修補が不能
② 請負人が修補の拒絶意思を明確に表示
③ 一部の修補が不能で、残存部分のみでは契約目的を達することができない
④ 修補の見込みのないことが明らか

 例 外

次の2つの場合には、請負人の担保責任は排除され、または軽減されます。

1 免責特約があるとき
請負においても、売買と同様に、当事者間で、担保責任を負わないとか軽減するなどの特約をしても有効です。
しかし、このような特約があっても、請負人が「知りながら告げなかった事実」については、担保責任を免れることはできません。

2 注文者の原因による契約不適合
契約不適合が、注文者の提供した「材料の性質」または「与えた指図」によって生じたときです。
ただし、請負人がその「材料または指図」の不適当であることを「知りながら告げなかったとき」は、誠実義務を欠くものとして、担保責任を負うこととなります。

4|担保責任の期間制限

契約不適合の建物について、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を「請負人に通知」しないときは、注文者は不適合を理由として、請負人の担保責任に基づく上記の救済(修補請求など)を受けることができなくなります。
「引渡しを受けた時」から1年以内ではないので、要注意です。
不適合の存在を知らないまま1年が経過したら、担保責任の追及ができなくなるというのでは、注文者に酷だからです。

しかし、請負人が「引き渡した時」に、契約不適合について悪意または重過失であるときは、この期間制限は適用されません。

時効による消滅
建物の引渡時から契約不適合による権利行使が可能となるので引渡時から10年で、また不適合を知って1年以内に通知した場合は、注文者が不適合を知った時から5年で、修補請求権・報酬減額請求権・解除権は時効消滅します。

自分自身

契約不適合を知った時から1年以内に請負人に通知しないと、担保責任追及はできなくなるよ。

5|請負の終了

請負は、仕事の完成・引渡しという契約目的達成のほかに、契約一般に共通する解除や担保責任に基づく解除によって終了します。

1 仕事完成前の注文者の解除
注文者は、請負人が「仕事を完成しない間」であれば、いつでも請負人の損害を賠償して契約を解除することができます。

請負は、注文者の求めに応じて、請負人が一定の仕事を完成させるのが目的ですから、その後、何かの事情で、注文者がこの請負人には仕事を任せたくないと考えるようになったときには、ムリに継続させるよりも、むしろ「損害を賠償」させて、注文者が自由に請負を解除して、請負人をほかの者に代えることができるようにしたほうが、双方にとって有益といえる場合もあるからです。

2 注文者の破産による請負人の解除
請負人は、仕事完成前でも、注文者が「破産手続開始の決定」を受けたときは、契約を解除することができます。

ポイントまとめ

 完成後に「引渡しを必要とする」請負の報酬は、目的物の引渡時に支払うという同時履行の関係にある。
 「引渡しを要しない」請負の報酬は、仕事の「完成後」でないと請求できない(後払い)。
 ①注文者に帰責事由なく仕事の完成が不能となった場合、または、②請負が仕事の完成前に解除された場合に、既履行部分のうち「可分な部分の給付」によって注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬を請求できる。
 請負の仕事に契約不適合があるときは、注文者には、①修補請求、②代金減額請求、③損害賠償請求、④契約解除が認められる。
 請負人が催告期間内に修補しないときは、注文者は不適合の程度に応じて代金減額請求ができる。
……………………
 注文者は、①修補が不能のときや、②請負人が修補の拒絶意思を明確に表示したときなどは、直ちに報酬の減額請求ができる。
 また、注文者は、①修補が不能であるとき、②請負人が修補の拒絶意思を明確に表示したときなどの場合には、修補に代わる損害賠償請求ができ、請負人から損害賠償を受けるまでは、報酬全額の支払いを拒むことができる。
 注文者が、修補の催告をしたのに、催告期間が経過しても請負人が修補しないときは、注文者は契約を解除できる。ただし、契約不適合の程度が「軽微」なときは解除できない。
 担保責任を負わない旨の特約も有効だが、請負人が「知りながら告げなかった事実」については、免責されない。
10 注文者が、契約不適合を知った時から1年以内に、その旨を請負人に通知しないときは、担保責任を追及できない。しかし、請負人が悪意・重過失のときは、この期間制限は適用されない。
11 請負人が仕事を完成しない間であれば、注文者は、いつでも損害賠償をして契約を解除できる。

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