|更新日 2021.02.10
|公開日 2020.02.16

1|連帯保証の意味と成立

意 味

連帯保証というのは、保証人が主たる債務者(主債務者)と「連帯して債務を負担する」という「特約がある保証債務」です。

あくまでも保証債務であって、主たる債務に付従するので、付従性から生じる効果については、普通の保証債務と同じです。

ただ、連帯債務の性質も有するために、保証債務が有する補充性、つまり「主債務が弁済されないときに弁済する」という性質はなくなり、そのぶん債権者の権利が強められるわけです。

連帯保証の成立
連帯保証契約は、普通の保証契約に、「保証人は、主債務者と連帯して債務を負担する」という特約が付されて成立します。

試験問題では、「連帯して債務を負担する特約がある場合」というように記述されています。

連帯保証の必要性
連帯保証が必要とされる理由は、ズバリ債権を強力にするためなので、連帯保証人になることほど恐ろしいことはありません。

同じ保証でも、普通の保証債務では、保証人に催告の抗弁権・検索の抗弁権がありますから、保証人に請求しても一時的にせよ拒否されてしまうため、債権の効力はそれほど強いわけではありません。

債権の効力を少しでも強くして弁済を確実に受けたい債権者としては、保証契約のときに、保証人が主たる債務者と「連帯する特約」をしてくれれば、連帯債務と同じになるので、連帯債務者のうち誰に請求してもいいように、いきなり保証人に請求しても拒否されることはなくなり、大変好都合というわけです。

2|連帯保証の性質

連帯保証は、連帯債務の性質も有するので、次の2つの性質が導かれます。

1 抗弁権がない
保証債務は、主債務が「履行されないときに履行すべき債務」という補充性がありました。いわば二次的な債務なんですね。

この補充性という性質があるからこそ、債権者から請求を受けても「まず主たる債務者に催告せよ」「まず主たる債務者の財産に執行せよ」という2つの抗弁権が導かれたのでした。

しかし、連帯保証にはこの補充性がないために、催告・検索の2つの抗弁権がなく、債権者が請求してきたら、連帯保証人はこれを拒否できず応じなければなりません。

主債務の不履行があれば、債権者は、主債務者の資力の有無に関係なく、直ちに連帯保証人に債権全額の請求ができます。

2 分別の利益がない
分別の利益というのは、数人の保証人がいる共同保証の場合は、各人が、債権者に対しては「平等の割合で分割された額」についてのみ、保証債務を負担すればいいというものでしたね。

900万円の債務にB・C・D3人の共同保証人がいれば、各人が 300万円ずつの責任を負うことになるわけで、これは保証人の利益になるので分別の利益でしたね。

ところが連帯保証人は数人いても、主債務者と連帯しているために、分別の利益がありません。すべての連帯保証人が、それぞれ 900万円全額の責任を負うのです。
連帯債務者に分別の利益なんてありませんでしたね。それと同じです。

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連帯保証人には2つの抗弁権も分別の利益もないから、怖いよね。

※ くれぐれも「連帯保証人はキミのほかに数人いるから迷惑はかからないよ」という甘言には気をつけましょうね。

一般的な抗弁権はある
しかし、主債務者と「連帯して債務を負担する」という特約があっても、保証債務の付従性は有したままなので、連帯保証人は、主債務者が債権者に対して有する一般的な抗弁権を主張することができます。

主債務者の有する「同時履行の抗弁権」を行使したり、主債務の時効消滅を主張し、主債務者が債権者に対して反対債権を有していれば、連帯保証人は、主債務が相殺によって消滅する限度で、保証債務の履行を拒絶することができます。

3|主債務者に生じた事由

保証債務の付従性で判断する
主たる債務に生じた事由が「連帯保証人にも及ぶかどうか」については、保証債務の付従性で判断します(457条1項)

付従性に従えば、主債務者について生じた事由の効力は、普通の保証債務と同様に、すべて連帯保証人に及ぶことになります。

たとえば、主債務者に対する「履行請求」その他の事由による「時効の完成猶予および更新」は、連帯保証人に対しても効力を生じます。

4|連帯保証人に生じた事由

連帯債務の相対的効力で判断
そして、連帯保証債務に生じた事由が「主たる債務者にも及ぶかどうか」については、連帯債務の相対的効力で判断します。
つまり、連帯保証人について生じた事由は相対的効力のみを有し、主債務者には及びません(458条、441条)

たとえば、連帯保証人に「履行の請求」をしても主債務は履行遅滞にはならず、連帯保証人が「免除」されても、主債務者が免除されるわけではありません。
連帯保証債務が「時効消滅」しても、主債務はそのまま存続します。

ただし、連帯保証人について、弁済・相殺援用・更改・混同の4つの絶対的効力事由が生じた場合には、この効力は主債務者にも及びます。
連帯保証人が「弁済」したり、債権者と間に「更改」があれば主債務は消滅します。
また、連帯保証人が、債権者に対して有する自己の反対債権で「相殺」すれば、主債務もその限度で消滅します。

以上をまとめるとこうなります。
① 主債務者に生じた事由
すべて連帯保証人にも及ぶ
② 連帯保証人に生じた事由
4つの絶対的効力事由が主債務者に及ぶ

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 「AB間の契約が無効」であれば、そもそも主たる債務は成立しないので、これを保証するための保証債務も成立しない。これは保証債務の付従性による。
AC間の保証債務は成立しないので、Cが「1,000万円の債務を負う」ことはない。この点が誤りです。
一方、AC間の保証契約が無効でも、AB間の契約はその影響を受けず有効であるため(相対的効力)、Bは保証の付かない「1,000万円の債務を負う」ことになる。

ポイントまとめ

 連帯保証人には、催告・検索の抗弁権がなく、分別の利益もない。
 連帯保証人は、主債務者が債権者に対して有する抗弁権を主張できる。
 主債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予・更新は、連帯保証人に対しても効力を生じる。
 連帯保証人について、弁済・相殺援用・更改・混同が生じた場合、この効力は主債務者にも及ぶ。それ以外の事由は主債務者には及ばない。

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