|更新日 2021.01.23
|公開日 2017.07.08

得点のカギ次の点を理解することが得点のカギとなります。
1 任意代理人の復任権|原則と例外
2 自己契約と双方代理の性質
3 利益相反行為の性質
4 代理権の濫用の性質
5 代理権の消滅原因
れいちゃん01

今回は、どんなテーマ?

たくちゃん01

復代理や自己契約・双方代理、利益相反行為や代理権の濫用だね。
今回も、基本的なところだからシッカリと理解しておこうね。

1|復代理人/本人の代理人

意 味

復代理というのは、代理人が自分の権限内の行為を行わせるため、別人を選任して本人の代理人とすることです。
復代理人は、代理人の代理人ではなく本人の代理人なので、「本人の名」で代理行為をし、その効果は本人に帰属します。

復任権

復代理人を選任する権限を復任権といいますが、復任権は、本人の許諾や法律の規定によって付与される別個の権限なので、復代理人の選任は代理行為ではありません。

復任権については、任意代理と法定代理とでその範囲・責任に違いがあります。

 任意代理人の復任権

任意代理人に復任権はない
原則として、任意代理人に復任権はありません。
任意代理人(委任による代理人)は、本人の信任に基づいて選任されているので、委ねられた事務を他人任せにしないで、自分で処理すべきだからです。
本人からすれば、代理人その人を信頼して選任したのですから、勝手に別人を復代理人として選任されては困りますね。

2つの例外がある
ただし、次の場合に限り、選任することができます。
 本人の許諾を得たとき、または
 やむを得ない事由があるとき
これは、緊急の事情があって本人の承諾を得る時間もない場合に、代理行為に支障を生じさせて本人に不利益が生じないようにするためです。

 法定代理人の復任権

自由に選任できる
法定代理人は、いつでも自由に自己の責任で復代理人を選任できます。本人の許可や特別の事情は必要ありません。
法定代理人の権限は広範囲にわたり、辞任も容易ではなく、しかも本人の信任に基づいて代理権が与えられたものではないからです。

 選任した代理人の責任

任意代理人の場合
復代理人を選任した場合の本人に対する責任は、選任が「委任契約上の債務不履行」になるかどうか、で判断されます。

法定代理人の場合
原 則
法定代理人は、復代理人の選任・監督に過失があろうとなかろうと、復代理人が本人に損害を与えたときは、常に責任を負います。
例 外
ただし、病気など「やむを得ない事由」により選任したときは、選任・監督についての責任のみを負います。

 復代理の効果

復代理人は、代理人の代理人ではなく本人の代理人なので代理人と同一の権利を有し、義務を負います。
代理人と同等の立場で、ともに本人を代理するのです。
復代理人は、代理人の選任・監督に服し、その復代理権も代理人の権限内に限られます。

また、復代理人の選任は代理権の譲渡ではないので、復代理人を選任しても代理人の代理権が消滅することはありません。

2|自己契約と双方代理

 意 味

「自己契約」というのは、代理人自身が契約の相手方となることです。
たとえば、Aから家屋の売却について代理権を与えられたBが、自分でその買主となるような場合です。
代理人が自分の利益のために、本人の利益を害する危険があります。

「双方代理」というのは、同一人が当事者双方の代理人となることです。
売主Aの代理人Bが、同時に買主Cの代理人にもなってAC間の売買契約をするような場合です。
これも、当事者の一方の利益を害する危険があります。

 自己契約と双方代理の性質

自己契約と双方代理は無権代理
自己契約および双方代理は、無権代理とみなされます(108条1項)
したがって、無権代理に関する規定(113条以下)が適用されることになります。

例外がある
自己契約と双方代理における制限は、本人の利益を保護するためなので、そのおそれのない次の行為は制限されません。

① 債務の履行
「弁済期の到来した代金の支払い」などの債務の履行は、すでに確定している法律関係の決済であり、新たな利害関係を生じるものではないからです。
「売買に基づく移転登記申請」も債務の履行に準じます。

判例(最判昭43.3.8)は、所有権移転に伴う移転登記手続について、登記権利者・登記義務者の「双方代理」を認めています。

ただし、「弁済期未到来の債務」「時効にかかった債務」「代物弁済」「争いある債務」「更改」などの履行は、新たな利害関係の変更を伴うため、債務の履行には該当しません。

② 本人の許諾がある行為
本人があらかじめ許諾している行為については、意に反して本人の利益を害するおそれはないので、自己契約・双方代理の制限はありません。

利益相反行為も無権代理
自己契約・双方代理に該当しなくても「代理人と本人との利益が相反する行為」は、原則として無権代理とみなされます(108条2項)
利益相反行為は、本人に不利益を与えるおそれが多いからです。

判例は、利益相反行為に該当するかどうかは、代理行為の「行為自体を外形的・客観的に考察して判定すべきであり、動機・意図をもって判定すべきではない」としています(最判昭42.4.18)

たとえば、相手方が事前に「行為の外形から客観的に判断」して、代理人に利益であり本人に不利益となる関係にある、とわかる代理行為がこれに該当します。

なお、本人があらかじめ許諾していれば、利益相反行為とはされません。

3|代理権の濫用

意 味

代理権の濫用というのは、代理人が自己または第三者の利益を図る目的で「代理権の範囲内」の行為をすることをいいます。

効 果

この場合には、相手方がその目的を知り(悪意)、または知ることができたとき(善意だが過失があるとき)は、代理権を有しない者がした行為、つまり無権代理とみなされます(107条)

「無権代理とみなす」ことによって、代理権濫用から生じた危険の負担について対立する本人と相手方との利害を調整することにしたわけです。

無権代理とみなされるので、無権代理に関する規定が適用されます。したがって、本人が追認すれば本人に対して効力を生じ、追認を拒絶すれば「無権代理人の責任」が問題となります。

パトモス先生講義中

代理権濫用が行われた場合、相手方が代理人の意図を知っているか、知ることができたときには、無権代理行為になるから、本人には効果は及ばないし、無権代理人が責任を負うこととなるんだよ。

4|代理権の消滅原因

代理権の消滅は、「代理権消滅後の表見代理」でも問題となります。
ここでは、①任意代理と法定代理に共通の消滅事由と、②任意代理に固有の消滅事由を確認しておきましょう。

 共通の消滅原因

任意代理人、法定代理人に共通の代理権消滅事由は、次のとおりです。

本人について
本人の死亡 本人が死亡すれば代理権は消滅します。「本人の相続人」の代理人となるのではありません。
「本人」が信任した代理人をそのまま「本人の相続人」の代理人とすることは適切ではなく、また「本人を保護」するための法定代理では、もう代理の必要がなくなるからです。

ただし例外として、当事者間で特段の合意があった場合は、その事務処理に関しては代理権は存続します。
預金通帳等を交付して、入院費の支払いや葬儀の施行をするなど、自己の死後の事務処理を委託した契約について、「死後も代理権を終了させない旨の合意を含む」とした判例があります(最判平4.9.22)
本人の死亡により、代理権が消滅する不都合を解消する趣旨です。

代理人について
代理人については、次の3つがあります。
① 代理人の死亡
代理人が死亡したときも、代理権は消滅します。「代理人の相続人」が代理人となるのではありません。代理権は相続されないのです。

② 後見開始の審判を受けたとき
判断能力が不十分になった
すでに代理人となっている者が、その後後見開始の審判を受けたときは、判断能力が不十分となったため、そのまま代理行為を担当させるのは適切ではないからです。

③ 破産手続開始決定を受けたとき
財産管理能力がなくなった
代理人が破産手続開始の決定を受けたときは、財産管理能力がなくなったので、やはり代理人としては不適格といえます。

 任意代理固有の消滅事由

任意代理の場合には「以上のほかに」本人が破産手続開始の決定を受けたときにも、代理権が消滅します。
本人に財産管理能力がなくなったので、そのまま代理人を通じて自由に契約させることは適切とはいえないからです。

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説][問題1] 委任による代理人は、本人の信任を受けて代理人となったのだから、原則として他人を選任して復代理人とすることはできない。
ただし例外的に、①本人の許諾を得たとき、または、②やむを得ない事由があるときに限っては、復任権が認められている。正しい記述です。

[問題2] 原則として禁止される双方代理も、当事者双方が「あらかじめ承諾をしているとき」には代理行為が成立する。
したがって「売買契約の効果は両当事者に有効に帰属する」ことになる。
正しい記述です。

ポイントまとめ 復任権
① 任意代理人  原則として復任権はない。本人の許諾を得たとき、または、やむを得ない事由があるときに、例外的に認められる。
② 法定代理人  本人の許可や特別の事情がなくても、いつでも自己の責任で復代理人を選任できる。
 自己契約・双方代理は、無権代理行為とみなされる。
 ただし、①債務の履行や、②本人の許諾があるときは、自己契約・双方代理も認められる。
 利益相反行為は、原則として無権代理とみなされる。本人の許諾があるときは例外。
 代理権の濫用は、相手方が悪意または過失があるときは、無権代理とみなされる。
 代理権の消滅原因
① 法定・任意共通の消滅原因
・本人|死亡
・代理人|死亡破産手続開始の決定、後見開始の審判
② 任意代理固有 以上に加えて
・本人|破産手続開始の決定

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