|更新日 2020.7.17
|公開日 2017.7.14

31年間の出題傾向31年間で出題はわずか3問。めったに出ません。平成21年(2009)に出題されて以後、10年間出題されていません。時間がなければスルーでもかまいません。
[改 正] 1ヵ条だけ新設されました。
れいちゃん01

ここはあまり出ないみたいね。

たくちゃん01

過去問はすでに出尽くした感があるから、過去問からポイントを整理しておけば十分だよ。

1|贈与の意味と効力

1|贈与の意味
贈与というのは、タダで物をあげることです。
身内や親しい友人に時計や家電などをタダであげる、たとえば「卒業祝いに時計をプレゼントする」なんてことは日常でもよくあることですが、土地・建物などの不動産となると、さすがにタダであげる、なんてことは滅多にないでしょう(リッチなミドルが、高級クラブのママさんにマンションを、ってことはあるようですが……)

贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約です。

当事者の「合意だけ」で成立する契約ですから、口頭でなされようと書面でなされようと、契約として法的効力が発生します。

贈与者は、契約によって負担した義務を、債務の本旨に従って履行しなければならず、目的物の引渡しだけでなく、不動産における移転登記、債権譲渡の場合の通知など「対抗要件を備えさせる行為」もしなければなりません。

2|贈与者の善管注意義務
贈与の目的物が、土地・建物などの特定物の引渡しであるときは、贈与者は、その引渡しをするまで「契約、その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる」善良な管理者の注意をもって、その物を「保存」しなければなりません。

2|書面によらない贈与

1|書面によらない贈与の解除 
「書面によらない贈与」は、当事者がいつでも解除することができます。
気が変わったり都合が悪くなったら、いつで解除できるわけです。
これは、口約束などのように書面によらないときは、軽率に贈与の約束をしてしまうことも多いため、解除できる余地を残しているわけです。

ただし「すでに履行の終わった部分」については解除することはできません。
贈与の意思が明確になっているからです。

判例は、土地・建物などの不動産贈与の場合、引渡しまたは登記があれば、「履行が終わった」としています。
引渡しまたは登記があれば履行完了とされますので、「所有権移転登記」がなされたときは、引渡しの有無を問わず、履行は終わったものとなります。
したがって、贈与者はもはや解除することはできません。

2|書面による贈与
「書面によらない贈与」については、上記のように扱われます。
したがって「書面による贈与」では、履行の前後に関係なく、解除することはできません。
書面の場合には、贈与の意思が明確にされているからです。

3|贈与者の引渡義務

|贈与者の引渡義務|
贈与者は、贈与の目的である物や権利を「特定した時の状態」で引き渡し、または移転することを約したものと「推定」されます。

贈与は無償契約ですから、負担付贈与でない限り、現状のまま贈与するのが贈与者の通常の意思と考えられるからです。
したがって、たとえば建物に「しろあり被害」とか「雨漏り」などの欠陥が判明しても、それを知らなかった贈与者が、その欠陥について担保責任を負うことはありません。
「有償」契約の売買などと比べ、責任が軽減されているのです。

4|負担付贈与

1|意 味
負担付贈与というのは、たとえば、AがBに家屋を贈与する際に、受贈者Bに対して、「Aの生活の面倒をみること」というように、契約の一部として「受贈者に一定の義務を負担させる」贈与をいいます。

そのため、Bが負担を履行しないときは、Aは、契約を解除することができます。

2|贈与者の担保責任
負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度で、売主と同じ担保責任を負わなければなりません。
この負担が、実質的には売買と同じように対価的関係にあるとみられるからです。

5|死因贈与

|意 味|
死因贈与というのは、Aが「自分が死んだら熱海の別荘をあげるよ」と約束するように、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与契約をいいます。

同じような形態に「遺贈」がありますが、遺贈は、贈与者の一方的な意思表示である遺言という単独行為として行われますが、死因贈与は、両者の合意による契約として行われる、という点に違いがあります。

ただ、死因贈与も遺贈も、贈与という点では実質的に同じであるため、死因贈与には遺贈に関する規定が準用されます。

たとえば、遺贈では「遺言者は、いつでも、遺言の全部または一部を撤回することができる」とされています(1022条)ので、書面による死因贈与であっても、負担付死因贈与などの特段の事情がある場合を除いて、贈与者は、後にいつでも贈与を撤回することができます。

ポイントまとめ

 贈与者は、債務の本旨に従って負担した義務を履行しなければならず、引渡しだけでなく、不動産における移転登記などの対抗要件を備える行為もしなければならない。
 特定物の引渡しのときは、引渡しをするまで「契約、その他の債権の発生原因および取引上の社会通念に照らして定まる」善良な管理者の注意をもって保存しなければならない。
 書面によらない贈与は、いつでも解除できるが、すでに履行の終わった部分については解除できない。
 贈与者は、贈与する物や権利を特定した時の状態で引き渡し、または移転することを約したものと「推定」される。
 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度で、売主と同じ担保責任を負わなければならない。
 書面による死因贈与でも、原則として、贈与者は、いつでも贈与を撤回することができる。

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