|公開日 2020.02.27

31年間の出題傾向31年間では、法定相続分6問、遺産分割4問です。直近では、昨・令和元年(2019)に、丸々1問としては、15年ぶりに遺産分割が出題されました。
相続の分野は、選択肢として混合で出題されるテーマも多く、実際はもっと多く出題されています。
それほど難しいテーマではありませんので、やはり基本をしっかり押さえることが得点のポイントです。
[改 正] 重要な改正・新設条文があります。

れいちゃん01

よく出題されるの?

たくちゃん01

それほどではないけれど、遺産分割が昨年(令和元年)出題されたね。

れいちゃん02

油断できないってわけね。

たくちゃん02

そうだね。ただ相続人と相続分は基本中の基本だから、押さえておきたいね。
平成26年・29年は丸々相続分の算出問題だったからね。


1|相続制度

1|相続はいつ開始する?
相続は、人の死亡によって開始します。
たとえ相続人が、被相続人の死亡を知らなくても、そのすべての財産、つまり一切の権利義務が、死亡と同時に当然に相続人に移転します。
不動産の移転登記をしたり、預金の名義を変えたりなどの手続きは必要ありません。
※ ただし、被相続人の一身に専属したものは、相続の対象とはなりません。

2|相続人の範囲──笑う相続人
相続をする者の範囲は、次の者に限られています。

① 配偶者
② 子(代襲相続あり)
③ 直系尊属
④ 兄弟姉妹(代襲相続あり)

このように限定したのは、相続人の範囲をあまりに広くして、ある人の死亡を悲しまずに、ただその遺産の相続を喜ぶ、いわゆる「笑う相続人」を多く生じさせてしまうことは、法感情に反するだけでなく弊害を伴うおそれもあるからです。

2|法定相続人と相続分

 相続順序・相続人・相続分

相続順序と相続人・相続分は、次のとおりです。
配偶者は「常に」相続人となります。
子がいてもいなくても、直系尊属がいてもいなくても、常に相続人です。
したがって、ほかに相続人がいなければ、配偶者1人で全遺産を相続します。

法定相続分の問題では、①相続人を確定し、それから、②相続分を計算します。
相続人と法定相続分は、以下のとおり。

① 第1順位|子と配偶者
子と配偶者がいるときは、「直系尊属・兄弟姉妹がいても」、相続人は子と配偶者だけです。
・配偶者 1/2
・子   1/2

子が数人あるときは1/2を等分します。
配偶者がいない場合は、子がすべてを等分します。
「子」であれば、実子・養子、嫡出子・非嫡出子に区別はなく、また結婚した娘、養子に行った子も含まれます。

被相続人の「死亡時」に、まだ生まれていない胎児も1人の相続人となります。
被相続人の生存中に「離婚した元配偶者」は、相続人とはなりません。

② 第2順位|直系尊属と配偶者
「子がなければ」、相続人は配偶者と直系尊属だけです。
たとえ「兄弟姉妹がいても」、兄弟姉妹は相続人とはなりません。
・配偶者  2/3
・直系尊属 1/3

直系尊属があって配偶者がなければ、直系尊属だけ。直系尊属が数人あれば、1/3を等分します。

③ 第3順位|兄弟姉妹と配偶者
「子も直系尊属もないとき」に、配偶者と兄弟姉妹が相続します。
・配偶者  3/4
・兄弟姉妹 1/4

兄弟姉妹が数人あるときは、1/4を等分します。配偶者がいないときは、兄弟姉妹がすべてを等分します。
なお、父または母を異にする兄弟姉妹の相続分は、父母ともに同じ兄弟姉妹の1/2です。

配偶者の相続分は「1/2→2/3→3/4」と分子・分母が1つずつ増していきます。

たくちゃん10

相続の順序と相続分は絶対に覚えないとダメだよ。

 代襲相続

1|代襲相続の意味
代襲相続というのは、被相続人の死亡以前に、相続人である兄弟姉妹がすでに死亡していた場合などに、その者の「直系卑属」が代わって相続することをいいます。

親子・夫婦・兄弟姉妹などの親族関係は、現在における「横のつながり」があるだけでなく、将来にわたる「縦のつながり」でもあって、その経済的な基礎を与えているのが相続制度です。
代襲相続は、その趣旨を受け継いでいるわけです。

2|代襲原因
代襲原因は、
① 相続開始以前の死亡
② 相続欠格
③ 廃 除
の3つに限られます。
相続人が、いずれかに該当していれば、その者の子が代襲相続することになります。

3|代襲相続人
代襲相続人になるのは次のいずれかです。
A 相続人の子(被相続人の孫)
B 兄弟姉妹の子

4|再代襲
相続人の子が、代襲原因(①・②・③)のいずれかによって代襲相続権を失った場合には、さらにその子が代襲相続します(再代襲)。
ただし、兄弟姉妹の代襲相続は、その子に限られており、再代襲は認められません。

5|代襲相続人の相続分
代襲相続人の相続分は、相続人の相続分と同じです。
代襲相続人が数人あれば、等分されます。

 相続欠格事由

相続人となることができない欠格事由は、5つあります。
しかし、宅建試験で必要なのは1つ、被相続人の遺言書を偽造したり、破棄したり、または隠匿することです。
被相続人の「遺言書を偽造」すると、相続人となることはできません。

3|遺産分割

 遺産分割の意味

|相続財産の共有と分割|
相続人が数人いる共同相続人の場合、被相続人の遺産はすべて、とりあえず、共同相続人の共有となります。

その後、共同相続人が協議をして、それぞれの相続分に従って取得する財産を個別具体的に決定していきます。
これが「遺産分割」です。

配偶者が1/2、子が1/2の相続分を有するというのは「遺産全体」について取得する割合であって、遺産の中の「1つ1つの財産」について、これを1/2ずつに分けるということではありません。

配偶者と子は、どの財産を取得してもよく、取得した価額が、遺産全体の価額の1/2になればいいわけです。

※ 相続分は、共有で学習した「共有持分」と同じ意味と理解してかまいません。

 遺産分割の自由

共同相続人は、原則としていつでも自由に「遺産分割を請求する」ことができます。
「共有の状態」をなるべく早く解消させて、各相続人に単独の権利義務をもたせたいためです。

分割が一定期間禁止されるのは、被相続人の遺言、共同相続人の協議、または家庭裁判所の審判による場合に限られます。

 遺言による指定分割と分割の禁止

被相続人は、遺言で、遺産分割の方法を指定し、または相続人以外の第三者に分割方法の指定を委託することができます。
また「相続開始の時」から5年を超えない期間を定めて、遺産分割を禁じることができます。

もともと共有物の不分割契約は5年を超えることができませんが、相続財産の分割禁止も例外ではないのです。

 協議分割

共同相続人は、被相続人の分割禁止遺言がない限り、いつでも協議分割をすることができます。
相続人の1人から遺産分割の請求があれば、他の相続人は分割の協議に応じなければなりません。
分割協議には共同相続人全員の参加が必要で、一部の相続人を除外してなされた分割協議は無効です。

|利益相反行為と特別代理人|
相続人中に未成年者とその親権者がいる場合には、分割協議は利益相反行為になるため、親権者は、未成年者のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません(826条)
利益相反行為であるかどうかは、行為の外形から客観的に判断すべきであって、親権者の意図や動機から判断すべきではないとされています(最判昭48.4.24)

※ 利益相反行為は無効
利益相反行為について、上記判例は次のように判示しています。
「親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、かりに親権者において、数人の子のいずれに対しても公平を欠く意図がなく、代理行為の結果、子の間に利害の対立が現実化されていなかったとしても、利益相反行為にあたるから、親権者が共同相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、追認のない限り、無効であると解すべきである」

 遺産分割の効力

1|分割の遡及効
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じます。
つまり、分割によって取得した所有権などの権利は、相続開始の時からその相続人に帰属していたことになるわけです。
各相続人は、被相続人から直接、財産を取得したものとして扱われるのです。

なお、遺産分割による相続不動産の取得は、登記なしには「第三者」に対抗することはできません(最判昭46.1.26)

遺産分割は、相続開始の時にさかのぼつて効力を生じるのですが、「第三者に対する関係」においては、相続人が取得した権利は、分割時に新たな変更を生じるのと実質上異なるところはないので民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、分割後に相続不動産につき権利を取得した第三者に対して、自己の権利取得を対抗できないわけです。

2|第三者の権利保護
分割の遡及効は、分割前に「個々の相続財産」の持分を取得した第三者の権利を害することはできません。ただし、第三者が権利を主張するためには「対抗要件」を備える必要があります。
なお、相続分の譲受人は、ここでいう「第三者」ではありません。

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 相続人の法定相続分に関する基本問題です。
① 配偶者と子が相続人のとき、その相続分は、それぞれ1/2ですから、配偶者B1/2、子C1/2です。
② 子B・Cだけが相続人のとき、その相続分は均等ですから、B1/2、C1/2となります。
結局のところ、Bの法定相続分は、①・②ともに1/2ですから、「①の方が大きい」との記述は、誤りです。

ポイントまとめ

 相続順序と相続人・相続分は、次のとおり。
① 第1順位|子と配偶者
・配偶者1/2 ・子1/2
② 第2順位|直系尊属と配偶者
・配偶者2/3 ・直系尊属1/3
③ 第3順位|兄弟姉妹と配偶者
・配偶者3/4 ・兄弟姉妹1/4
 配偶者は常に相続人となる。
 被相続人の死亡以前に、相続人である子・兄弟姉妹が死亡していたときは、その者の直系卑属が代襲相続する。
 相続人の子が代襲相続権を失ったときは、その子が再代襲して相続する。
 兄弟姉妹の代襲相続は子に限られ、再代襲は認められない。

 共同相続人は、原則としていつでも自由に遺産分割の請求ができる。
 被相続人は、相続開始の時から5年を超えない期間、遺産分割を禁じることができる。
 分割協議には相続人の全員参加が必要で、一部を除外した分割協議は無効
 未成年者とその親権者がいる場合は、親権者は、未成年者のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
10 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じる。
11 遺産分割による相続不動産の取得は、登記がなければ第三者に対抗できない。

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