|更新日 2020.07.21
|公開日 2019.12.25

31年間の出題傾向過去、出題されたのは、わずか3問です。直近では平成27年(2015)に出題されました。
時間がないときはスルーもOK。
[改 正] かなり多くの改正がありました。
れいちゃん01

ここはほとんど出ませんね。

たくちゃん01

時間があれば、この講座を一読するだけで大丈夫だよ。

1|使用貸借の意味

1|使用貸借の意味|
使用貸借は、友人同士で自転車や音楽CDの貸し借りをするなど、日常生活でよく経験することですから、イメージしやすいでしょう。
要するに、タダで物の貸し借りをすることですね。

宅建試験で出題されるのは「不動産」、とくに「建物」の使用貸借です。
他人の不動産の利用は、今日では、対価を支払って「有料」でなされる賃貸借がほとんどで、「無料」の使用貸借は例外的なものです。
使用料を請求しませんから、実際上は「貸主の厚意」に基づく貸借関係であり、借主は友人・知人・親族など特別な人間関係が背景になっています。

2|使用貸借の成立|
このように、使用貸借は、貸主が「ある物の引渡しを約し」、借主がそれを無償で使用・収益して、「契約が終了したときに返還することを約する」ことによって成立し、効力を生じます。

旧民法では、使用貸借は、借主が「借用物を受け取る」ことで成立する「要物契約」とされていましたが、新民法は合意だけで成立する「諾成契約」とすることで、契約成立後は借用物が「引き渡される前」にも法的拘束力が及ぶこととして、借主の保護が図られることになりました。

3|受取り前の解除|
もっとも、軽率に合意してしまった貸主を保護する必要もあるため、借主が「借用物を受け取る前」であれば、貸主は契約の解除をすることができます。

ただし書面で契約をするような場合には、貸主も軽率に契約することは考えられないため、もはや契約を解除することはできません。

2|使用貸借の効力

1 借主の権利

1|使用・収益権
借主は、無償で借用物を使用し収益することができます。

2|費用償還請求権
① 必要費
借りた建物の「固定資産税」のように、借主は、借用物の通常の必要費を負担しなければなりません。
必要費を支出したからといって、貸主にその償還を請求することはできないのです。「無料」で借りて使用・収益するわけですから、必要費くらいは負担せよということです。

② 特別の必要費・有益費
これに反し、特別の必要費(災害で破損した建物の修繕費など)とか、有益費(土地の改良費、トイレの水洗化費用など)を借主が支出したときは、所定の基準により償還を請求できます。
この請求は、貸主が「返還を受けた時から」1年以内にする必要があります。

2 借主の義務

1|用法遵守義務
借主は、契約によって、または借用物の性質によって定まった用法(借用物の性質から通常認められる用法)に従って、借用物を使用・収益しなければなりません。

たとえば「住居」として借りた部屋を「事務所」に使用したような場合には、用法遵守義務違反(=債務不履行)として、貸主は直ちに契約を解除することができ、損害があれば賠償を請求できます。

2|無断での使用・収益禁止
使用貸借は、貸主の厚意によって無償で借主個人に貸したものですから、借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物を使用・収益させることはできません。

借主がこれに違反したときは、契約が解除され、損害があれば賠償しなければなりません。
賃貸借におけるような「信頼関係の法理」の適用はありませんので、要注意です。

3|借用物の保管義務
借主は「善良な管理者の注意」をもって借用物を保管しなければなりません(善管注意義務)
この義務に違反したときは、貸主は、契約を解除することができます。

4|借用物の返還・収去義務
使用貸借が終了したときは、借主は、借用物を「原状に復した」うえで返還しなければなりません。
したがって、借用物の「受取後」に付属させた物があるときは、その付属物を収去する義務を負います。ただし、付属物が借用物から分離できないか、または分離のため過分の費用を要するときは、収去義務はありません。

|原状回復義務|
また、借用物の「受取後」に生じた損傷があれば、使用貸借終了時に、その損傷を原状に復する義務を負います。
ただし、損傷が借主の帰責事由によらないときは、原状回復義務はありません。

3 貸主の義務と責任

|引渡義務・担保責任|
貸主は、借用物を「特定した時の状態」で引き渡すことを約したものと「推定」されます。
したがって、借用物に欠陥があっても、負担付などの特段の事情がある場合を除いて、原則として担保責任を負うことはありません。

また、借主の使用・収益を妨げない義務を負いますが、賃貸借と違って、修繕などをする義務はありません。

4 借主の第三者に対する関係

貸主が、借用物を第三者に賃貸したり、第三者にその所有権を譲渡して、第三者が「対抗要件」を取得したときは、借主は、もはや使用借権を対抗することはできません。
使用借権には「対抗力がない」からです。

借主の使用借権は、貸主に対する債権にすぎないため、借主が先に「建物の引渡し」を受けていても、排他的権利である物権(所有権)を取得した買主には対抗できないのです。

3|使用貸借の終了

使用貸借は、以下の事由によって終了します。

1 期間満了等

1|期間の満了
当事者が使用貸借の期間を定めたときは、その期間満了によって使用貸借は終了します。

2|使用・収益の終了
期間を定めなかった場合でも、使用・収益の「目的を定めた」ときは、借主が「目的に従って使用・収益を終える」ことによって、使用貸借は終了します。

3|借主の死亡
使用貸借は、借主の死亡によって終了します。
もともと貸主の厚意による特別な関係で設定された無償契約ですから、借主が死亡すれば使用貸借も終了するのです。

したがって「借主の相続人」が、残存期間について使用借権を主張することはできません。
なお「貸主の死亡」は、終了原因ではないことに要注意です。期間満了までは、借主の権利を保護する必要があるからです。

ちなみに、賃貸借は、借主の死亡によっては終了しません(622条)

2 契約の解除

1|使用・収益に足りる期間の経過|
期間の定めがない場合は、使用・収益目的が達成されていなくても、使用・収益をするのに足りる期間が経過したときは、貸主は、契約を解除して使用貸借を終了させることができます。
契約期間が不必要に長期にならないよう、貸主の権利を保護するためです。

2|期間・目的を定めなかったとき|
期間も目的も定めなかったときは、貸主はいつでも契約解除をすることができます。

3|借主の契約解除|
借主は、いつでも契約解除をすることができます。
解除に特別な理由は必要ありません。

3 請求権の期間制限

1|返還を受けた時から1年以内
契約の本旨に反する使用・収益によって生じた損害賠償、および借主が支出した費用の償還は、貸主が「返還を受けた時から」1年以内に請求しなければなりません。

2|損害賠償請求権の時効完成猶予
ただし、損害賠償請求権については、貸主が「返還を受けた時から」1年を経過するまでの間は、時効は完成しません
つまり、1年間は時効の完成が猶予されることになります。

これは、長期間の使用貸借中に損害賠償事由が生じた場合、その時から10年が経過すれば貸主の知らない間に消滅時効が完成して何も請求できなくなることから、貸主を保護するためです。

ポイントまとめ

 貸主は、借主が借用物を受け取るまでは、契約を解除することができる。ただし、書面による使用貸借の場合は、解除できない。
 借主は、借用物の通常の必要費を負担しなければならない。
 借主が「特別の必要費や有益費」を支出したときは、所定の基準により償還を請求できる。
 借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物を使用・収益させることはできず、違反したときは、契約が解除される。
 借用物の受取後に生じた損傷があれば、借主は、使用貸借終了時に、その損傷を原状に復する義務を負う。
 使用貸借は、①期間満了、②目的に定めた使用・収益の終了、③借主の死亡により終了する。
 使用・収益をするのに足りる期間が経過したときは、貸主は、契約を解除できる。
 期間も目的も定めないときは、貸主は、いつでも契約を解除できる。
 借主は、いつでも契約を解除できる。
10 契約違反による損害賠償請求、および借主の支出費用の償還請求は、貸主が「返還を受けた時から」1年以内に請求しなければならない。

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