|更新日 2020.02.10
|公開日 2017.07.01


れいちゃん04

成年被後見人って?

たくちゃん04

日常的に判断能力が欠けている人だよ。

れいちゃん02

試験問題はむつかしいの?

たくちゃん02

いや~、ほとんど箇条書きの問題だから、基本をしっかり理解しておけば大丈夫だよ。

1|成年被後見人の行為能力

1|意 味
成年被後見人というのは、精神上の障害により事理を弁識する能力を「欠く常況にある」者で、後見開始の審判を受けた者をいいます。

2|保護者と権限
保護者として成年後見人がつけられます。
成年後見人は法定代理人なので代理権を有しており、成年被後見人を代理して法律行為をすることができます。
しかし同意権はないので、成年被後見人の法律行為に同意を与えることはできません。

 原則と例外

1|原 則
成年被後見人のした法律行為は、原則として取り消すことができます。
契約のときに意思能力があったかどうかは問題ではなく、成年被後見人という理由だけで取り消すことができるのです。

また、成年後見人の「同意があっても」取り消すことができます。
成年被後見人は日常的に判断能力を欠く状態にあるため、同意を与えて単独で法律行為をさせることは本人保護にはならないのです。

取消しは、成年被後見人が単独ですることができます。
同意がない取消しだからといって「取り消すことのできる取消し」とはなりません。

2|例 外
ただし、日用品の購入など「日常生活に関する行為」については、例外的に成年被後見人が単独ですることができます。
食料品や衣料品等の購入、公共料金の支払いのような日常生活に関する行為は、できるだけ本人の残存能力と自主性を尊重すべきだからとされているのです(ノーマライゼーションの理念)

以下、注意点をみておきましょう。

(1)遺言などの「一身専属的な行為」や婚姻・認知などの「身分行為」は、できるだけ本人の意思を尊重すべきですから、一時的に能力が回復したときには、単独ですることができます。
成年後見人が代理して行うことはできません。

(2)「成年被後見人が居住している建物または敷地」について、成年後見人が、成年被後見人に代わって、売却賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定などをするには、家庭裁判所の許可が必要です。
成年後見人が勝手なことをして、成年被後見人の居住の利益を侵害することがないようにするためです。

(3)成年被後見人が、意思無能力の状態で行為をした場合は、
① 成年被後見人であることを理由に「取り消す」ことができると同時に、
② 意思無能力を理由に「無効」を主張することもできます。
これは、制限行為能力者全般にあてはまります。

2|被保佐人の行為能力

1|意 味
被保佐人は、精神上の障害により事理を弁識する能力が「著しく不十分」な者で、保佐開始の審判を受けた者をいいます。

2|保護者と権限
被保佐人には、保護者として保佐人がつけられます。
保佐人は、被保佐人に同意を与える同意権を有します。
なお、家庭裁判所の審判により「特定の法律行為」について保佐人に代理権を付与することもできます。

 原則と例外

1|原 則
被保佐人は、とくに重要な法律行為をするには、保佐人の同意(または同意に代わる家庭裁判所の許可を得なければなりません。同意(またはこれに代わる許可)を得ないでした行為は取り消すことができます。

保佐人の同意が必要な行為は多くありますが、試験に必要なのは次のとおりです。

① 不動産の取引行為
土地・建物を売買したり、賃貸する行為です。ただし、利息や賃料などの受領には、同意は不要です。
② 相続の承認や放棄、遺産分割
③ 贈与や遺贈の拒絶、負担付贈与・負担付遺贈の受諾
④ 新築、改築、増築、大修繕
これらを目的とする請負契約をすること。
⑤ 被保佐人が、以上の行為を制限行為能力者の法定代理人として行うこと

2|例 外
成年被後見人と同じく、日用品の購入など「日常生活に関する行為」については、例外的に単独ですることができます。

以下の点も注意しておきましょう。
(1)債務の承認をするには、保佐人の同意は必要ありません。
債務の承認は、すでに存在する相手方の権利を認めるにすぎず、あらたに債務を負って不利益を受けるわけではないからです(大判大7.10.9)

(2)ただし、時効完成後の債務の承認は借財と同視できるため、同意が必要です(大判大8.5.12)

3|被補助人の行為能力

1|意 味
被補助人とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が「不十分」な者で、補助開始の審判を受けた者をいいます。
軽度の痴呆・知的障害・精神障害等により判断能力の不十分な人が該当します。

「本人以外」の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要で、補助を受けるかどうかは本人の意思に任されてます。この点が、後見や保佐と大きく違います。

2|保護者と権限
保護者として補助人がつけられます。
成年後見人は「代理権」を、保佐人は「同意権」を当然に有しますが、補助人の場合には当然に有する権利はありません。

補助開始の審判の際に、補助人に代理権を与えるのか、同意権を与えるのか、あるいはその双方を与えるのかの審判をすることになっているのです。

 補助人の同意権と代理権

1|同意権
被補助人が「特定の法律行為」をする場合に、補助人の同意を要する旨の審判がなされます。
特定の法律行為は、保佐の場合の「同意を要する行為」の一部に限られます。

同意、または同意に代わる家庭裁判所の許可を得ないでした行為は、取り消すことができます。

2|代理権
代理権も「特定の法律行為」について与えられます。
この場合には、補助人が代理行為をしますから、代理権の対象となる行為に制限はありません。

4|相手方の保護

 催告権

制限行為能力者の法律行為=契約は「取り消すことができる」というのは、取り消しても取り消さなくてもいいということであって、取り消されるまでは一応有効です。
取り消されると、はじめから無効とみなされます。

相手方は、取り消されるかもしれないという不安定な状態に置かれますから、こういう状態を脱することができるように、催告権が与えられました。
取り消すのか取り消さないのかはっきりしてほしい、と制限行為能力者側を促すのです。

|催告を無視したら?|
もしこの催告(1か月以上の期間)に対して、制限行為能力者側が確答をしなかった場合には、その契約を「追認」したものとみなされます。
「追認を拒絶」したものとみなされるのではありませんので、注意してください。

追認は、取り消すことができる行為を確定的に有効とする意思表示で、1か月以上の考慮期間が与えられたにもかかわらず、確答を放置した場合には、契約をそのまま存続させることとして、相手方を保護したのです。

 行為能力者のふりをしたときは?

たとえば、未成年者が身分証明書を偽造するなどして「自分は成年者である」と偽って、あたかも行為能力者であるかのように相手方を誤信させた場合には、もはや契約を取り消すことはできず(取消権の消滅)、契約は有効なものとして確定します。

詐術を用いて相手方を欺くような制限行為能力者を保護する必要はなく、むしろ、行為能力者だと信じて契約した相手方を保護する必要があるのです。

 取消権の期間制限

取り消すことができる契約も、いつまでも取り消せるわけではありません。
この取消権は、次のいずれかのときには時効消滅します。
① 追認できる時から5年間行使しない
② 行為の時から20年間経過した
時間の経過によって法律関係を確定させたのです。

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 被保佐人が「不動産を売却する」など重要な取引行為をする場合には、単独ではできず、保佐人の同意が必要です。
また「贈与の申し出を拒絶する」場合も単独ではできず、やはり保佐人の同意が必要です。
以上より、本問は誤りです。

ポイントまとめ

 成年被後見人のした法律行為は、原則、取り消すことができる。
 ただし、日用品の購入など日常生活に関する行為については、単独ですることができる。
 遺言・婚姻・認知などの身分行為単独ですることができる。
 被保佐人が、不動産の取引行為など重要な法律行為をするには、保佐人の同意が必要。同意のない行為は、取り消すことができる。
 ただし成年被後見人と同じく、日常生活に関する行為は、単独ですることができる。
 被補助人が、補助人の同意を得ないでした行為は、取り消すことができる。
 制限行為能力者の相手方には、催告権がある。
 催告期間内に、制限行為能力者側が確答をしなかった場合は、追認したものとみなされる。
 制限行為能力者が詐術を用いた場合は、取消権はない
10 取消権は、追認できる時から5年間行使しないときは時効消滅する。

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