|公開日 2017.7.27|更新日 2018.6.26

今回は連帯保証です。連帯保証人ほど恐いものはありません。
さて連帯保証で出題されるのは、ほとんどが連帯債務や保証債務との相異です。この点を意識して理解を深めていきましょう。

1 連帯保証の必要性

連帯保証が必要とされる理由は、ズバリ債権を強力にするためです。

保証債務の場合には、債権者は、保証人に請求してもうまくかわされてしまいます。
保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権がありますから、一時的にせよ拒否されてしまうため、債権の効力はそれほど強いわけではありません。

債権の効力を少しでも強くしたい債権者は、どうしたらいいでしょうか。

そこで、保証契約のときに、保証人が主たる債務者と連帯する特約をしてくれれば、いきなり保証人に請求しても拒否されることはなくなり、大変好都合です。

保証人と主たる債務者が、連帯債務の関係になれば、保証債務とはいいながら、ほとんど連帯債務ですから、債権はより強力になるというわけです。これを連帯保証といいます。

試験問題では「連帯して保証する場合」というふうに記述されたりします。

連帯保証

2 連帯保証の性質

連帯保証の性質も、以上の点からアプローチするとスッキリ整理できます。3点を確認しておきましょう。

1 2つの抗弁権がない

連帯保証には、保証債務にある「付従性」「随伴性」「補充性」のうち、「補充性」がありません。
補充性のない保証債務なので、催告の抗弁権・検索の抗弁権がないのです。

補充性、覚えていますか?

保証債務は、「主たる債務が履行されないとき」に第二次的に履行すべき債務でした。これが補充性ですね。

そしてこの補充性があるために、保証人は債権者から請求を受けても「まず主たる債務者に催告せよ」「まず主たる債務者の財産に執行せよ」という2つの抗弁権が導かれたのでした。

連帯保証にはこの補充性が認められないために2つの抗弁権はなく、債権者が請求してきたら拒否できず応じなければなりません。

2 連帯債務の一部適用がある

さて、「主たる債務者」に生じた事由は、連帯保証人にどんな影響を及ぼすでしょうか。
それがここでの論点です。

主たる債務者に生じた事由は、ことごとく連帯保証人にも及ぶというのはお分かりですね。そうですね。保証債務の付従性です。

主たる債務について時効中断の事由が生じれば、常に連帯保証人についても効力を生じます。請求はもちろんのこと、債務の承認も同様です。

主たる債務者が債権者に対して反対債権を有していれば、連帯保証人は、この反対債権による相殺をもって、債権者に対抗することができます。保証人の相殺援用と同じですね。

さて、それでは「連帯保証人」に生じた事由はどうでしょう。「主たる債務者」に影響を及ぼすのでしょうか。

連帯保証は、連帯の性質もあわせもっているため、連帯債務の規定が適用されることになりますが、連帯保証はあくまでも保証債務ですから、連帯債務にあるような負担部分(債務者間内部の負担割合)がありません。

最終的には主たる債務者が責任を負担しますから、負担部分は0です。

したがって、連帯債務の負担部分を前提とした事由、つまり「相殺」「免除」「時効」の3つは連帯保証には適用されません。

主たる債務者は、連帯保証人の反対債権を援用して相殺することはできませんし、連帯保証人が免除されても、主たる債務者には影響を及ぼすことはなく、免除されるわけではありません。

保証債務が時効消滅しても、主たる債務はそのまま存続します。


一方、負担部分に関係のない「請求」「更改」「混同」は、主たる債務者にも及びます。この「請求」だけでも、確実に覚えておいてください。

3 分別の利益がない

900万円の債務に保証人がB・C・D3人いれば(共同保証人といいます)、各人が300万円ずつの責任を負うというふうに、頭数で分けられるのが原則です。
これは保証人の利益になるために「分別の利益」といわれます。

連帯保証人にはこの分別の利益がないため、何人いても、すべての連帯保証人が、各自全額の請求に応じなければならないのです。

主たる債務者と連帯しているため、同じ責任を負うのです。
連帯債務者に分別の利益がなかったのと同じなんですね。

3 条文

1 条文の確認

♠ 454条(連帯保証の場合の特則)
保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、催告の抗弁権および検索の抗弁権を有しない。

♠ 458条(連帯保証人について生じた事由の効力)
434条から440条までの規定(請求、更改、相殺、免除、混同、時効、相対的効力の原則)は、主たる債務者が保証人と連帯して債務を負担する場合について準用する。


(この項終わり)