|更新日 2020.02.10
|公開日 2017.06.08

31年間の出題傾向制限行為能力者全体で8問。頻出テーマではありません。このうち未成年者単独で出題されたのは、2問です。
問題の多くは「制限行為能力者に関する次の記述のうち~」というように、未成年者・成年被後見人・被保佐人などを選択肢として1問が構成されています。直近では平成28年(2016)に出題。
それぞれの制限行為能力者の行為能力の内容を正確に理解することが得点ポイントです。
「原則」「例外」をしっかりと。
[改 正] ありません。

れいちゃん01

未成年者では何が問題になるの?

たくちゃん03

単独でできる行為とできない行為だね。

れいちゃん02

単独でしたらどうなるの?

たくちゃん02

その点を含めて、未成年者の行為能力を正確に理解しておこうね。基本中の基本だから。

1|未成年者の行為能力

1|意 味
未成年者というのは、年齢20歳未満の者をいいます。

2|保護者と権限
保護者として法定代理人がつけられます。
法定代理人というのは、法律の規定によって当然に代理人となる者のことで、未成年者の場合には、第一に父・母(親権者)です。

法定代理人は「代理人」とあるように、法律上の「代理権」を有しており、未成年者を代理して契約など法律行為をすることができます。
また、未成年者の法律行為に同意を与えることから「同意権」も有しています。

 なお、成年年齢が18歳に、婚姻開始年齢が男女とも18歳にそれぞれ改正され、それに伴い婚姻による成年擬制、未成年者の婚姻に対する父母の同意も不要となり、廃止されました。
これらの改正は、令和4(2022)年4月1日から施行されますので、今年(2020)と来年(2021)の試験には関係ありません。現行法のままで実施されます。

 原則と例外

1|原 則
未成年者が法律行為(契約)をするには、法定代理人の同意が必要です。
同意なしに未成年者が行った行為は、取り消すことができます。

同意は、未成年者に対しても、取引の相手方に対してしてもかまいません。
取消しは、未成年者・法定代理人どちらからもできます。

未成年者が「取消し」をするには、法定代理人の同意は不要です。
同意がないことを理由に、「取消しを取り消す」ことはできません。
取消しは、契約の拘束力から未成年者を自由にする意思表示ですから、単独で行っても問題はないのです。

2|例 外
法定代理人の同意を必要としない行為、つまり、未成年者が単独で行うことができる行為には、次の3つがあります。

(1)単に権利を取得したり、または義務を免れる行為
未成年者が、単に権利を取得したり、義務を免れる行為は、法定代理人の同意を要しません。

たとえば、贈与を受けたり、債務の免除を受ける(借金を免除される)契約を締結したり、金銭債務の金利を下げる契約をするなどです。
これらの行為は、未成年者に不利益になることはないので、単独でもいいわけです。
単独でも完全に有効で、同意がないことを理由に取り消すことはできません。

しかし「債務の弁済を受ける」ことは、既存の債権を消滅させ債権を失うものであり、また「負担付贈与を受ける」ことは、負担を負うことですから、いずれも法定代理人の同意が必要です。

(2)許可された営業に関する行為
法定代理人から「営業を許された」未成年者は、その営業に関しては「成年者と同一の行為能力」を有します。
たとえば、資金の借入れ、店舗の購入・賃貸借、店員の雇用など、その営業に関する行為であれば、成年者と同様に単独で行うことができます。

営業に関する行為について、いちいち同意を必要とするのでは迅速な取引ができないため、包括的に同意を与えて未成年者の営業に支障がないようにしたのです。
宅建業法でも出てきますが、宅建業の「営業の許可」を与えられた未成年者の場合も、これに該当します。

(3)処分を許された財産の処分
法定代理人が処分を許した財産、たとえば学費とか旅費、小遣いなど、これらの処分は未成年者が単独でできます。

 婚姻による成年擬制

未成年者が婚姻をしたときは、これによって「成年に達した」ものとみなされます。
これを成年擬制といいます。
未成年者も婚姻して家庭をもてば、法律的にも経済的にも独立させることが適切だからです。
したがって、婚姻している未成年者が、法定代理人の同意を得ないで、土地を売却する契約をしても完全に有効で、同意がないことを理由に、その契約を取り消すことはできません。

男は18歳、女は16歳になれば婚姻できますが、父母の同意が必要です。
父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足ります。
したがって「父母の一方の同意を得られないまま」婚姻しても、未成年者は行為能力者として扱われます。
なお、未成年中に離婚しても、成年擬制は変わりません。

※ 成年擬制は、民法(私法関係)に関するものに限られ、公法関係では未成年のままです。婚姻したからといって、飲酒・喫煙ができるわけではありませんよ。

 注意点

|第三者にも対抗できる|
未成年者の行為が取り消された場合、この取消しは、善意・無過失の第三者にも対抗することができます。

制限行為能力を理由とする取消しと第三者

たとえば、不動産が転々売買された後に(①・②)、未成年者が同意のないことを理由に、売買を取り消した場合(③)、すでに第三者が移転登記を済ませていても、その取消しを対抗する、つまり不動産の返還を請求することができます。

制限行為能力者制度は、第三者の利益(つまりは取引の安全)を多少犠牲にしても、制限行為能力者の財産を保護しようとする制度なんです。

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 婚姻による成年擬制の問題ですね。
婚姻した未成年者は、成年に達したものとみなされますので、単独で法律行為をすることができます。
つまり、婚姻した未成年者が単独で行った法律行為も完全に有効ですから、「法定代理人の同意を得ずに行った」としても、取り消すことはできません。
「取り消すことができる」という記述は誤りですね。
「ただし、単に権利を得~」は、婚姻していない未成年者に該当する記述です。

ポイントまとめ

 未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意が必要。同意のない行為は、取り消すことができる。
 単に権利を取得したり、義務を免れる行為は、法定代理人の同意は不要。未成年者が単独でできる。
 未成年者も婚姻すれば成年に達したものとみなされ、単独で法律行為をすることができる(成年擬制)。
 制限行為能力を理由とする取消しは、善意・無過失の第三者にも対抗することができる。

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