|更新日 2020.02.10
|公開日 2017.08.04

31年間の出題傾向31年間でわずか3問。時間があれば目を通しておきましょう。
危険負担の規定は、従来からたいへん評判が悪く、将来、民法大改正があるときは、まっ先にとりあげられる規定の1つといわれてきました。
案の定、今回の改正で534条・535条はバッサリ削除され、規定も新しくなりました。
[改 正] 従来の債権者主義が廃止され、債務者主義が採用されました。
れいちゃん02

危険負担って、なんだかむつかしそうね。

たくちゃん02

用語から受ける印象はね。
別にむつかしくはないよ。

れいちゃん04

試験に出るの?

たくちゃん01

頻出テーマではないからね。
ま~今回改正されたんで、一応注意はしておきたいね。

1|危険負担の意味

 危険負担の意味

危険負担というと、なんだか難しいイメージがしますね。ふだんの生活でもほとんど使うことのない用語ですし。

危険負担というのは、契約成立後、目的物を「引き渡す前」に、地震・台風などの自然災害や類焼・放火などといった不可抗力で目的物が滅失したときに、「その損害はだれが負担する?」という問題なのです。
つまりは、危険負担=損害負担という意味ですね。

「かつて経験したことのない集中豪雨」とか「数十年に一度の雨量」など、最近のニュースにあるように、購入した住宅が一夜にして全壊する事態は、決して絵空事ではありませんね。

危険負担は、たとえば「A所有の建物についてA・B間で売買契約を結んだところ、引渡し前に、その建物が地震によって滅失してしまった。この場合、買主Bは代金を支払わなければならないか(売主Aは代金を請求できるか)」という形で問題となります。
買った建物が地震で全壊してしまったときに、買主は代金を払わなければならないのか、ということです。

2|債務者主義

 損害は債務者が負担する

建物の売買で確認していきましょう。

危険負担

A所有の建物につき、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立し、登記も移転した後、その「引渡し前」に、史上まれに見る「大型台風」により建物が全壊してしまいました。Aは、もう建物を引き渡すことはできません。
建物の「引渡債務」は履行不能により消滅したわけですが、一方の債務である買主の「代金債務」はそのまま存続するのでしょうか、それとも消滅するのでしょうか。

※ 危険負担では、債権者・債務者の区別は「履行不能となった債務」を基準に判断されます。
建物の売買でいえば、売主が「債務者」、買主が「債権者」となりますので、注意してください。

 買主の履行拒絶権

|損害は売主(債務者)の負担が原則|
この例のように、不可抗力など「当事者双方の責めに帰することができない事由」によって履行不能となった場合には、債権者=買主は、反対給付の履行拒絶権を有し、代金支払いの履行を拒むことができます(履行拒絶権)。
売主の建物引渡債務が履行不能により消滅したからといって、当然に買主の代金債務も消滅する、というわけではありません。

債権者=買主としては、履行不能を理由に「契約を解除」できますが、解除がなされるまでは自分の債務の履行拒絶ができるわけで、民法はこうして債権者=買主の利益を保護したのです。

売主は、代金を請求しても「拒絶」されますから、結局、履行不能の損害は「売主が負担する」ことになります。
これを危険負担における債務者主義といいます。

 注意すべき点

1|売主の帰責事由によるとき
履行不能が、債務者=売主の帰責事由によるときは、債務者は一般の「債務不履行責任」を負うことになります。
つまり、債務者は、本来の債務の履行に代わる「填補賠償債務」を負担することになるわけです。
これは、危険負担の問題ではなく「債務不履行の問題」なのです。
※ なお、売主の填補賠償債務と買主の代金債務とは同時履行の関係に立ちます。

2|買主の帰責事由によるとき
履行不能が、債権者=買主の帰責事由によるときは、買主は、自己の代金債務の履行を拒絶することはできません。

このように、債務者=売主に帰責事由がある場合、債権者=買主に帰責事由がある場合には、いずれも危険負担の規定は適用されません。
危険負担が適用されるのは、を除く場合、つまり「当事者双方に帰責事由がない」場合だけです。ここはしっかりおさえておきましょう。

ポイントまとめ

 危険負担は、契約が有効に成立した後、引渡し前に履行不能となったときの問題である。
 危険負担は、履行不能が債務者=売主に責任がない場合の問題である。
債務者に責任があれば「債務不履行」の問題となる。
 不可抗力により履行不能となった場合、債権者=買主は、反対給付の履行拒絶権を有し、代金支払いを拒むことができる。

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