|更新日 2020.02.01
|公開日 2017.06.07

31年間の出題傾向権利能力が4択1問として出題されたことはなく、意思能力や制限行為能力者との関連で1選択肢で出される程度です。権利能力は、民法の基本中の基本ですので、油断はできません。
[改 正] ありません。

れいちゃん01

権利能力って?

たくちゃん01

民法で最初に学ぶ専門用語だよ。

れいちゃん02

試験にはよく出るの?

たくちゃん02

それほどではないね。基本用語だから一応押さえておこうね。

1|はじめに権利能力ありき

 権利能力の意味

|権利能力の意味|
民法を勉強するときに、最初にであう専門用語が「権利能力」です。

権利能力というのは、権利者となれる資格とか地位という意味で、権利を取得したり義務を負ったりすることができる法律上の資格・地位をいいます。
いいかえれば「権利義務の帰属主体」ということです。

権利と義務とは表裏一体の関係にありますが、民法は「権利」を中心に構成されている(フランス革命など近代市民革命の思想を受け継いでいる)ために、「義務者となれる資格」とはいわないのです。

さて、土地や建物の売買契約をすれば、その所有権者となり、また売買代金を支払う義務を負うことになります。交通事故に遭えば、不法行為に基づく損害賠償請求権を取得し、親が死亡すれば、その財産の相続人となります。

このように、所有権を取得したり、代金支払義務を負ったり、損害賠償請求権や相続権を取得することができるのは、そもそもその人に権利能力が認められているからなのです。
権利能力がない場合には、はじめから権利や義務の主体となる資格がないのですから、所有者となったり請求権者となることはできません。

これから学習していく「意思能力」も「行為能力」も「責任能力」も、権利能力の存在が大前提なのです。

 すべては出生から

|権利能力の取得|
では、この権利能力、どうやって取得するのでしょうか?
役所に出向いて、何か手続きをするのでしょうか?

全1050条という膨大な条文から構成されている民法は、まずその冒頭3条1項で、権利能力の取得について次のように定めています。
「私権の享有は、出生に始まる

「私権」というのは権利能力のことで、権利能力は「出生に始まる」、つまり「生まれると同時に権利能力を取得する」と宣言しているのです。

すべての人は一切の例外なく、オギャーと生まれると同時に(瞬時に)、ただそれだけで当然に権利能力を取得します。役所で手続をする必要はありません。

そして男も女も、老人も子供も、健康人も病人も何ら区別されることなく、「出生から死亡するまで」等しく「財産を所有し、身分関係に立つ」ことができる資格=権利能力を有するのです。

これを「権利能力平等の原則」といいますが、これは憲法14条の「法の下の平等」の精神を民法で確認したものなのです。

「出生」すれば、出生届が出されていなくても権利能力を取得しますし、死亡届が出されていても現実に生きていれば、権利能力者であることに変わりはありません。

権利能力を有するのは、人間(自然人)に限らず、法律により権利能力を認められた法人(会社など人の組織)があります。

たくちゃん05

人は生まれるだけで権利能力者なんだよ。

2|胎児の権利能力

 原 則

人は出生によって権利能力を取得するわけですから、母親の胎内にある「出生以前」の胎児には権利能力はありません。
胎児に権利能力はない、これが原則です。

ただ、この原則を貫くと、「出生前」に父が死亡した場合には、父の遺産を相続することはできませんし、父が他人の運転事故によって死亡した場合にも、胎児は、加害者に対して損害賠償を請求することができません。

 例 外

|胎児に望みあり|
これでは、人として出生する可能性が高いにもかかわらず、出生の時期がわずかに早いか遅いかで不公平な結果となります。

そこで民法は、胎児の利益保護を図る必要がある次の3つの場合には、「例外」として、胎児はすでに生まれた者、つまり権利能力者と「みなして」います。

① 不法行為に基づく損害賠償請求権
② 相 続
③ 遺 贈

たとえば民法は、相続における胎児についてこのように定めています。
「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす(886条1項)

母親の胎内にある胎児も、相続については、すでに生まれたものとみなされ、1人の相続人として他の相続人とともに相続分が計算されます。

  すぐやる過去問基礎チェック! 
次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 不動産を「所有する」というのは、不動産の所有権者となるということですから、その前提として所有権者となる資格がなければなりませんね。つまり、権利能力者であることが前提です。
人は出生により、だれでも権利能力者となるわけですから、たとえ「意思疎通することができない乳児」であっても、不動産を所有することができます。
「不動産を所有することができない」という記述は誤りです。

ポイントまとめ

 権利能力は、権利者となれる資格という意味である。
 権利能力者でなければ、権利を取得したり、義務を負担することはできない。
 権利能力は、出生すると同時に取得される。
 民法上、権利能力者とされるのは、人と法人である。
 胎児には原則として権利能力はない。
 胎児は、例外として、①不法行為に基づく損害賠償請求権、②相続、③遺贈については権利能力者とみなされる

宅建民法基礎|テーマ一覧