|公開日 2017.7.2|最終更新日 2018.5.17

今回のテーマは、よく出題される意思表示です。力を入れましょう。
法律行為・意思表示・法律効果
意思の欠缺と瑕疵ある意思表示

1 法律行為・意思表示・法律効果

ここでは、法律行為、行為、意思表示、契約などという用語が頻繁に出てきます。基本的な用語ですから正確に理解しておきましょう。

1 法律行為とは?

法律行為というのは、一言でいえば契約のことです。
単に行為ということもあります。

物を売ったり買ったりする売買契約、物を貸したり借りたりする賃貸借契約、金銭の貸し借りをする金銭消費貸借契約、遺言など、いろいろな行為の総称を法律行為というのです。

図で示すとこのようになります。
法律行為

試験では、これらの用語が混用されて出題されることもあります。

たとえば、【平成20年問1】【平成22年問1】【平成26年問9】では次のようになっていました。

平成20年
【問 1】 行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。
2 未成年者は、婚姻をしているときであっても、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。(以下略)

平成22年
【問 1】 制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
(1~3略)
4 被補助人が法律行為を行うためには、常に補助人の同意が必要である。

平成26年
【問 9】 後見人制度に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 成年被後見人が第三者との間で建物の贈与を受ける契約をした場合には、成年後見人は、当該法律行為を取り消すことができない。(2~4略)

宅建試験では「法律行為=契約」と考えてまったく問題はありません。

2 意思表示──申込みと承諾

非常に重要な用語です。
たとえば、売買契約は、売主が「売りましょう」という申込みをして、これに対し買主が「買いましょう」と承諾すれば成立します。
賃貸借契約であれば、貸主が「貸しましょう」という申込みをして、借主が「借りましょう」と承諾することで成立します。

このように、意思表示というのは「売る」とか「買う」、あるいは「貸す」「借りる」というように、最終的に権利の発生・移転・消滅を生じさせるような意思を表示することです。

「申込み」と「承諾」という意思表示を要素として法律行為が成立するわけです。

契約が成立するまでには、当事者間で、価格や数量、物件の引渡し時期や登記の移転時期などいろいろなことが話し合われますが、最終的に重要なのは「売る、買う」「貸す、借りる」というように、権利変動を生じさせる意思表示なのです。

3 法律効果とは?

たとえば、土地の売買契約が成立すると、買主は土地の所有権を取得し、同時に代金の支払義務を負担します。
一方、売主は代金請求権を取得するとともに、土地の所有権移転義務を負うことになります。
契約をした結果として発生するこれらの法律上の効果を法律効果といいます。

図示すると大体こんな感じです。

意思表示

2 意思の欠缺と瑕疵ある意思表示──意思表示の病理現象

意思表示は、法律行為の不可欠の要素であり、法律行為が有効に成立するためには、この意思表示自体が有効なものでなくてはなりません。

意思表示は、次のような要素で構成されていますから、これらの要素に欠陥がなければ有効と考えて問題はないのですが、そうでなければ意思表示を有効とすることはできないのです。

・動機 ─────── 手ごろな価格だ
・内心の意思 ─── よし買おう
・表示 ─────── 買いますと言う

1 意思の欠缺とは?

欠缺(けんけつ)というのは、「欠けている」ということで、上記でいう、②内心の意思(真意)と③表示が一致していない、つまり意思表示として欠けていることをいいます。3つのパターンがあります。

・心裡留保 ・虚偽表示 ・錯誤

これらの意思表示は、表示者の意思を表示しているものではないため、原則として効力を生じない=無効とされます。

2 瑕疵ある意思表示とは?

瑕疵(かし)ある意思表示というのは、②内心の意思と③表示の不一致はない、つまりその意思表示は、表示者の意思を表示したものなのですが、意思表示を形成する過程に不法な作用が加えられたために意思表示が自由に行われなかった点に瑕疵があるわけです。

これには2つのパターンがあります。

・詐欺 ・強迫

詐欺による意思表示も強迫による意思表示も、原則として取り消すことができるものとされています。

次回から、こうした意思表示をくわしくみていくことにしましょう。


(この項終わり)