|更新日 2019.11.12
|公開日 2017.07.08

れいちゃん04

表見代理って?

たくちゃん01

「表見」とあるように、代理のようにみえる行為だよ。

れいちゃん02

得点ポイントは?

たくちゃん02

表見代理が成立するための要件・効果だね。

1|無権代理の2つの類型

無権代理というのは「代理権がないのに代理行為として行われた行為」のことです。

代理権がない」状態で行われたために、「本人」に対して効果が生じることはありません。また「代理意思」をもってなされた行為なので、「代理人」に対しても効果を生じません。
要するに、無権代理行為は代理行為とはならずに「無効となるべき性質」のものなのです。

したがって、相手方としては、無権代理人に対して「不法行為責任」を追及するほかないのですが、しかし、無権代理行為をすべて「不法行為」として処理することは、代理権がないことを知らないで取引した相手方の保護としては十分ではありません

代理権があるかどうか、その範囲はどこまでかなどについて、相手方が容易にかつ正確に知ることは困難だからです。

そこで、民法は、無権代理行為を当然には「無効」と決めつけずに、次の2つの類型に分けて対応しています。

 本人と無権代理人との間に「代理権の存在を信じさせるだけの特別な事情がある場合」は、通常の代理行為=有権代理として「本人」に責任を負わせることにした。

 そうでない場合は無効として扱い「無権代理人」に責任を負わせることにした。

を表見代理、を無権代理(次回解説)といいます。

2|表見代理の3タイプ

表見代理制度は、「権利(ここでは代理権)は不存在であるが、外観上はあたかも権利が存在しているかのようにみえる場合には、その存在を信じて取引関係に立った者その信頼において保護され、信頼どおりの効果が生ずべきだ」という考え方に基づいています。

要するに、代理行為の外形を作り出した者は、この外形を信頼した者に対して責任を負うべきだとするのです。

しかし反面では、相手方等が保護されるために不利益を受ける本人は、無条件にその責任を負担すべきいわれはないわけですから、「責任を負わされても仕方がないという特別な事情=帰責事由」が存在する必要があります。
表見代理は、外観を信じた相手方等の「信頼」と、責任を負うべき本人の「帰責性」のバランスなんですね。

さて、民法は表見代理について3か条を用意していますが、これらは代理権の存在を信じさせるだけの「特別な事情」の違いによるものです。
次の3タイプがあります。

 代理権授与の表示による表見代理
代理権の存在を推測させる事情
 権限外の行為による表見代理
一定の代理権があるという事情
 代理権消滅後の表見代理
かつて代理権があったという事情

これらの表見代理は、「代理権がない」ことについて善意かつ無過失の相手方を保護するために「真実な代理行為」として扱われ「代理権が存在したのと同様の責任を本人に負わせる」ものです。

本人は、その行為が「代理権なしに行われた」ことを理由にして無権代理であることを主張できず、通常の有効な代理行為と同じように、その効果である権利の取得や義務の負担を受けることになります。

※ 表見代理となったために、本人に損害が生じた場合は、本人は無権代理人に対して、不法行為または債務不履行を理由に損害賠償を請求することができます。

それでは、それぞれの表見代理が成立する「要件」について確認しておきましょう。

 代理権授与の表示ある表見代理

1|意 味
代理権を与えたと表示しながら、実際は代理権を与えていなかった」というように、「代理権授与の表示があった」場合に成立する表見代理です。

たとえば、本人Aが、相手方Cに対して、Bに代理権を与えた旨を表示した場合は、「実際には代理権を与えていなかった」としても、Cが善意・無過失のときは、表見代理が成立し、AC間の契約は有効となります。

2|要 件
この表見代理が成立するには、それぞれ次の要件が必要です。

[本 人]
本人が、相手方や第三者に対して「ある人に代理権を与えた旨の表示」をすること。
① 「白紙委任状を交付する」ことは、その所持者に「代理権を与えた旨を表示」することになります。
② 本人Aが、Bを代理人とする旨の「新聞広告を出す」ことは、「代理権を与えた旨を表示」したことになります。

[代理人]
代理人として表示された表見代理人が、その「代理権の範囲内」で代理行為をすること。
範囲を越えて代理行為をした場合は、「権限外の行為の表見代理」と重複適用されます。

[相手方]
代理権の存在について善意・無過失であること(3つの表見代理に共通の要件
相手方が、代理人に代理権がないことを知っていたり(悪意のとき)、または過失により知らなかったとき(過失ある善意のとき)には、表見代理を成立させて相手方を保護する必要はないからです。

 権限外の行為の表見代理

1|意 味
多少の範囲の代理権のある者が、その権限外の行為をすることです。
いわゆる「越権行為」ですね。権限外の部分が無権代理となるわけです。

たとえば、100万円を借りる代理権を有する者が、1,000万円を借りるとか、代理人が「抵当権設定」の代理権の範囲を越えて「売買契約」を締結したような場合です。

相手方が善意・無過失あれば、表見代理が成立し、有効な代理行為となります。

2|要 件
この表見代理が成立するには、それぞれ次の要件が必要です。

[代理人]
権限外の行為であること。つまり、その行為については代理権はないのだが、ほかに「何らかの代理権」、つまり基本代理権をもっていることが必要です。

【判例】に現れた事例には、次のようなものがあります。
① 「借財」の代理権を有する者が、委任状を改ざんして「不動産を売却」した。
② 「登記申請手続」の代理権を与えられた者が、権限を越えて「取引行為」をした。
③ 家屋「賃貸」の代理権を有する者が、その家屋を「売却」した。

※ 「全然代理権がない」場合は、外見上どんなに代理行為らしくみえても、この表見代理は成立しません。
「本人の関与がまったくない」場合にまで表見代理を認めれば、今度は、本人の利益を害することになるからです。

[相手方]
善意・無過失であること。
権限外の行為を「権限内の行為」であると信じ、しかも、そう信じることについて正当な理由があることが必要です。

① 本人から実印・印鑑証明書・委任状などを託された場合は、「正当な理由」があるとされます。
② 妻が、夫の実印を保管・所持しているというだけでは、土地建物を売却する代理権があると信ずべき「正当な理由」があるといえません(最判昭27.1.29)

 代理権消滅後の表見代理

1|意 味
代理権が消滅したにもかかわらず、なお代理人として行為をした場合です。

代理人が「破産手続開始の決定」を受ければ、代理権は消滅しますが、その消滅について相手方が善意・無過失であれば、表見代理が成立し、代理行為は有効となります。

2|要 件
この表見代理が成立するには、それぞれ次の要件が必要です。

[代理人]
代理権が消滅したこと、つまり「以前に代理権を有していた」ことが必要です。
はじめから」代理権を有していなかった場合には、この表見代理は成立せず、無権代理(次回解説)となります。

[相手方]
代理権の消滅について善意・無過失であること。

 競合した場合は?

以下の①・②ともに、競合した双方の表見代理が適用されます。

① 「代理権授与の表示」と「権限外の行為」が競合した場合
代理権授与の表示のある表見代理人が、その表示された「代理権の範囲を越えて」範囲外の代理行為をした場合です。
② 「代理権消滅後」と「権限外の行為」が競合した場合
代理権消滅後に、以前の「代理権の範囲を越えて」範囲外の代理行為をした場合です。

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次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 代理権消滅後の表見代理ですね。
代理権消滅後であっても、相手方Aが、Cの代理権の消滅について「善意無過失」であれば表見代理が成立し、その結果、売買契約によりAは甲地を取得することができます。
正しい記述です。

ポイントまとめ

 表見代理は、権利の外観を信じた者は保護されなければならない、という考え方に基づいている。
 3タイプの表見代理が成立するためには、代理権の存在について、相手方が善意・無過失である(代理権があると信ずべき正当な理由がある)ことを要する。
 競合した場合は、競合した双方の表見代理が適用される。

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