|公開日 2017.7.7|最終更新日 2018.5.22

今回から代理制度です。狭義の無権代理まで5回の基礎講座になります。 代理はこの30年間で24問(四択)出題された最も出題率の高いテーマです。 昨年も出題されました。 選択肢として出題された問題を入れればもっと多いでしょう。必ずマスターしなければなりません。 今回のテーマは、代理制度の趣旨・仕組みです。

1 代理制度の必要性と仕組み

1 代理の意味──契約をするのは本人でなくてもいいの?

契約は、普通は自分で行います。 本人が自分で契約して、土地やマンションを買ったり借りたりするのですが、代理では、代理人が買ったり借りたりする契約をして、本人がその契約の効果である所有権や賃借権を取得します。
代理は、本人が自分で契約をしないで、他人である代理人に契約させて、契約の効果だけを取得するという制度なのです。まず、この点をシッカリ押さえましょう。

2 代理制度の作用──背景を理解すれば代理はやさしい!

代理人が結んだ契約によって本人が直接に権利義務を取得する」という代理制度が確立された理由は2つあります。
1 人の活動範囲を拡張するため 今日のように取引関係が複雑・高度になり、規模が拡大してくると、1人でそのすべてを処理するには限界があります。
自分の信頼できる人を「代理人」として選び、専門知識・経験を有するその「代理人」が代わって契約をして、その結果「本人」が権利義務を取得するという仕組みを認めれば、活動範囲は飛躍的に拡張します。
任意代理人がこの作用を果たします。
2 人の活動を補充するため 本人が意思能力のない幼児や知的障害者などのような場合、自分で契約をすることはきわめて困難です。 こうした制限行為能力者安全に社会生活を営んでいくためには、「代理人」としての親権者や成年後見人が代わって契約をして、その結果「本人」が権利義務を取得するという仕組みが必要とされます。
法定代理人がこの作用を果たします。

3 代理行為と代理の効果

代理行為である契約は代理人が行うのですから、実際に契約の意思表示をするのは代理人ということになります。 しかし、契約の効果はすべて直接本人について生じます。
「契約をする者、意思表示をする者」とその「効果を受ける者」とが異なるというのが、代理の最大の特徴です。 たとえば、BがAの代理人として、Aの所有地をCに売却したという場合、売買契約はAC間で成立します。 代理の仕組み 代理人Bは、Aを売主とする売買契約を買主Cと締結したのですから、売買契約はBC間ではなく、AC間(本人・相手方間)で成立するのです。
その結果、相手方Cは、本人Aに対して土地の引渡しや登記の移転を請求できますし、本人Aは、Cに対して売買代金を請求することになるわけです。

4 代理の三面関係

代理では必ず、本人・代理人・相手方という三者間に法律関係が生じます。 三者間の関係は次のようになります。
1 本人・代理人間 ────── 代理権の授与(存在)をめぐる関係
2 代理人・相手方間 ───── 契約をする当事者としての関係
3 本人・相手方間 ────── 契約効果の帰属者としての関係
試験では、これらの関係が複合的に出題されます

次回から、これらの関係をくわしく見ていくことにしましょう。

(この項終わり)