|更新日 2020.01.14
|公開日 2017.08.10


れいちゃん01

今回のテーマは転貸借ね。

たくちゃん01

賃貸借では、試験に一番よく出るテーマだよ。

れいちゃん04

法改正はどうなの?

たくちゃん02

改正の多くは判例の見解がそのまま明文化されたので、とくに新しく勉強するものはないね。


1|適法な転貸借関係

賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸する場合の法律関係をしっかり確認しておきましょう。

 賃貸人の承諾

賃貸借は、賃貸人が賃借人を信頼して賃借物を貸す契約であるため、「賃借人が変わる」ことは、契約の中核である賃料の支払い能力など、賃貸人の利害に重大な影響を与えます。

そのため賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸することができず、これに違反して、無断で(勝手に)第三者に賃借物の使用・収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除できるというのが民法の原則です(612条)

ただ、後述するように、この原則は判例により大きく緩和され、すでに確立した判例が形成されています。

|承諾は誰にする?|
判例は、賃貸人の承諾は、賃借人に対してしてもいいし、また転借人や賃借権の譲受人に対してしてもよいとしています(最判昭31.10.5)
ただし、1度なされた承諾は、賃借権の譲渡または転貸の「契約締結前」でも撤回することはできません(最判昭30.5.13)

 適法な転貸の原則と効果

1|直接履行義務
「適法な転貸借」がある場合は、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負うものとされます。これは、賃貸人を保護するためです。
これにより、賃貸人は、賃借人に対する賃料債権を転借人に対しても行使できる、つまり直接「賃料を請求できる」わけです。

転借人の義務の主な内容は、賃料支払義務や、賃借物返還等の義務です。

2|転借人の義務の範囲
転借人の義務の範囲は、
 転貸借における債務の範囲、かつ、
 賃貸借における賃借人の債務の範囲
によって限定されます。

たとえば、賃料支払義務については、
・賃借料が15万円、転借料が10万円のときは10万円
賃借料が10万円、転借料が15万円のときも10万円、ということです。

賃借人による賃借建物の転貸借

 賃貸借終了と転貸借の終了

転貸借は、賃貸借を前提に成立しているため、転貸借が適法であっても、賃貸借が終了すれば、原則として、転借人は、転貸借を賃貸人に対抗することはできません。

しかし転貸人は、生活や経済活動の基盤として土地・建物を利用していますから、賃貸借が終了したからといって、直ちに退去を強いられるのは、転借人にとってあまりに不利益です。

そこで民法や判例は、次のように転借人保護を図っています。

1|合意解除と転貸借の終了
「適法な転貸借」がなされた場合に、賃貸人と賃借人が賃貸借を合意解除しても、「転借人に不信な行為があるなど特別の事情がある場合を除いて」転貸借は当然には終了しません。これは確立した判例(最判昭38.2.21ほか多数)で、今回明文化されました(613条3項)

「適法な転貸借」がある以上、賃貸借を「合意解除」して転借人の権利を勝手に消滅させることはできないのです。
ただし、転借人に不信な行為がある(たとえば指定暴力団関係者である)など「合意解除することが信義誠実の原則に反しない」ような特段の事由がある場合は、合意解除を転借人に対抗することができます。

2|債務不履行と転貸借の終了
「適法な転貸借」がある場合でも、「賃料不払い」など賃借人の債務不履行を理由に賃貸借が解除されれば、その結果、賃借人は転貸人としての債務が履行不能となるので、賃貸借の終了と同時に転貸借も終了します。
転借人は、転借権を賃貸人に対抗できず、賃借物を返還しなければなりません(最判昭36.12.21)

なおこの場合、賃貸人が賃貸借を解除するには「賃借人」に対して催告すれば足り、転借人に対してあらかじめ催告する必要はありません(最判昭37.3.29)

3|期間満了による転貸借の終了
建物の転貸借の場合に、賃貸借が「期間の満了」または「解約申入れ」によって終了するときは、建物の賃貸人は、転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を転借人に対抗することができません(借地借家34条)

「期間満了」によって賃貸借が終了したからといって、当然に転貸借が終了するわけではなく、かならず通知が必要です。
転借人に退去の期間を与えるためです。

2|土地賃借権の転貸・譲渡

土地賃貸借の転貸・譲渡について確認しましょう。

賃借人による所有建物の譲渡と賃貸借

 賃借地の転貸

|建物の賃貸|
土地の賃借人が、その「所有建物」を第三者に賃貸する場合は、これに伴い、賃借地は転貸されますが、この転貸については、土地賃貸人の承諾は不要です。

というのも、土地賃借人が、その所有建物を第三者に「賃貸」することは、建物の使用・収益にほかならず、賃借地の転貸にはあたらないからです。

土地の賃貸借では、賃借人が賃借地上に建物を建てて「みずから居住する」だけではなく、これを賃貸して「建物賃借人にその賃借地を占有使用させる」ことは、賃貸人も当然に予想・容認しているものとみるべきであって、建物賃借人(土地の転借人)は、建物の使用に必要な範囲で、賃借地を使用する権利を有するのです。

 賃借権の譲渡

|建物の譲渡|
一方、土地の賃借人が、その「所有建物」を第三者に譲渡する場合には、同時に土地賃借権の譲渡を伴うことになるので、特別の事情のない限り、賃借権譲渡について、土地賃貸人の承諾が必要です。
なにしろ「賃借人が交替」しますからね。

賃借権が「賃貸人の承諾を得て」譲渡されると、旧賃借人の地位は譲受人に移転し、旧賃借人は賃貸借関係から離脱します。
以後、新しい賃貸借関係は、賃貸人・譲受人(新賃借人)間で存続します。

3|無断転貸したら解除?

 原 則

先述のように、賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借権を譲渡したり、賃借物を転貸することはできません。
これに違反して、賃借人が、承諾なく第三者に賃借物の使用・収益をさせたときは、賃貸人は「契約を解除」できるというのが原則です。

 判例による原則の緩和

しかし判例は、この原則を緩和してきました。
つまり、賃借人が「賃貸人の承諾なく」賃借物を第三者に使用・収益させていても、「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合」には、無断譲渡・無断転貸を理由に契約を解除することはできない、としていわゆる「信頼関係の法理」を確立するにいたりました(最判昭39.6.30ほか多数)

賃貸借は、双方の相互信頼が継続する関係なので、こうした「信頼関係を破壊するような悪質な場合にだけ」解除できるとしたのです。
無断転貸を形式的に判断せずに「実質的」に判断したといえますね。

  すぐやる過去問基礎チェック! 
次の問題は○か×か(問題文クリック)

[正解&解説] 適法な転貸借がある場合でも、賃借人Bの「債務不履行」により賃貸借が解除されれば、Bは転貸人としての債務が履行不能となるため、転貸借は、賃貸借の終了と同時に終了します。
したがって、Aは、転借人Cに解除を対抗できるので、「対抗することができない」との記述は、誤りです。

ポイントまとめ

 土地賃借人が、その所有建物を第三者に譲渡する場合、特別の事情のない限り、土地賃貸人の承諾が必要。
 土地賃借人が、その所有建物を第三者に賃貸することは、建物の使用・収益であって賃借地の転貸にはあたらないので、土地賃貸人の承諾は不要。
 賃借人が無断で賃借物を第三者に使用・収益させても、「賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合」には、解除できない。
4 「適法な転貸借」がある場合、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う
5 「適法な転貸借」がある場合でも、賃借人の債務不履行を理由に賃貸借が解除されれば、賃貸借の終了と同時に、転貸借も終了する。
6 「適法な転貸借」がある場合、賃貸人と賃借人が賃貸借を合意解除しても、転借人に不信な行為があるなど特別の事情がある場合を除いて、転貸借は終了しない。

宅建民法基礎|テーマ一覧