|更新日 2020.02.01
|公開日 2017.07.15


れいちゃん01

物権変動って試験に出るの?

たくちゃん01

今回のテーマは総論だから、直接試験には出ないけど。

れいちゃん03

勉強しないとダメなの?

たくちゃん03

うん。基本中の基本だからね。
こういった基本知識を理解していると、対抗要件の問題もそれほど苦労しないからね。アウトラインだけでも押さえておきたいね。
これも15分くらいで終わるよ。
読むだけでいいんだから。

1|物権変動

 物権変動の意味

物権変動というのは、物権(所有権、抵当権など)が発生したり、移転したり、消滅したりすることの「総称」です。

建物を新築すれば建物の所有権が発生し、土地を売買すれば土地の所有権が移転します。また、土地に抵当権を設定すれば抵当権が発生します。
火災や取壊しなどによって建物が消失すれば、所有権・抵当権等が消滅します。
これらをすべてひっくるめて物権変動といいます。

物権が変動する主な原因は、当事者間の契約遺言などの「法律行為」です。
売買契約、贈与契約、抵当権設定契約などによって、所有権、抵当権等が発生・移転します。
そのほか、当事者の意思によらない時効相続によっても物権変動は生じます。

 物権変動を生じる時期は?

Aさんが売買契約で家を購入しました。
さて、家の所有権はいつAさんに移転するのでしょうか? 契約の時でしょうか、代金を完済したときでしょうか?

民法は「物権の設定および移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」(176条)と定めています。
ここは重要です。

物権変動は、原則として意思表示をした時、つまり契約時に生じます。
当事者の合意=意思表示だけで物権は変動(発生・移転)するわけです。

誤解を生じやすいのですが、物権変動は「登記をした時」に生じるのではありません。たとえば──、
土地や建物の売買では、登記手続や残代金の支払いを後日に延ばしても、所有権は売買契約締結の時に移転します。

ただし、当事者が「特約で移転時期を定めたとき」は、その定めた時に生じます。「登記の時」とか「代金を完済した時」のように特約をすれば、この時に所有権は移転します。

 公示の原則って?

物権の変動は「常に外部からわかるように明示・公示しなければならない」という原則です。つまり、権利状態が「客観的にわかる」ようにする原則です。
どうしてこんな原則があるのでしょうか?

土地・建物のような「不動産」の取引は、外見上の変化を伴わないことが多く、そのため、所有権・抵当権など排他的権利が生じていても、外見上、第三者にはまったくわかりません。
隣りの家や土地に抵当権が設定されているかどうか、近所の駐車場の持主が変わったかどうかは、家・土地や駐車場を外から見ただけではわかりませんね。

物権は、同一の物について第三者の権利成立を認めない排他的権利であって、そのため、その変動も排他的効果を生じるので、これを外部からわかるようにしておかないと、第三者に予想外の損害を与え、取引の安全を害することになります。

土地を買ったところ、その土地にはすでに抵当権がついていた、ということが後でわかったのでは、安心して土地取引はできませんね。
抵当権が設定されていることが、あらかじめ誰からもわかるようにしておかなければならないのです。
不動産の物権変動については、「登記」がこの役目を果たします。

 公信の原則って?

真実の権利関係があるような外形を信頼した者は保護されなければならない」という原則です。
物権の存在を推測させるような外形、たとえば「登記」とか占有などによる公示を信頼して取引関係に入った者は、その外形が「真実の権利関係を反映しない虚偽」のものであっても、保護されなければならないとするのです。
公示(外形・外観)を信頼した者を保護して取引の安全を図るためです。

代理で勉強した「表見代理」もこの考え方に基づいています。
「実際は代理権がないのに、あるような外観」を信じた者を保護する制度でしたね。

さて、物権変動を明らかに公示するという公示の原則を徹底しても、その公示がいつも「真実の権利関係」を反映しているとは限りませんね。

たとえば、土地の所有権がAからBに移転したという登記=公示があっても、なかには、Bが勝手に登記したものもあるかもしれないし、所有権を移転する契約が無効な場合(登記も無効となる)もあります。
あるいは、すでにAにより契約が取り消されたり、解除されたりして、登記の外形だけが残っているのかもしれません。

これでは、せっかく公示の原則を徹底しても、真実の権利関係が反映されているかどうか信頼できず、安全な取引を害することになりますね。
だからといって、取引のたびに、はたして公示が正しいかどうかをいちいち調査するのは非常に手間がかかりますし、確実に行うことも困難です。これだけで迅速な取引ができなくなります。

この解決を図ったのが公信の原則で、たとえ「公示が真実の権利関係を反映していなくても、公示を信頼した者は公示どおりの効果に従い保護される」としたのです。

公信の原則は、こうして一方で、取引の安全を保護する重要な機能を果たしますが、しかし反面では「真実の権利者の利益を犠牲にする」という面ももっています。
取引の安全のために「真実の権利者」を犠牲にして、虚偽の権利関係を優先させるからです。したがって、公信の原則を無制限に認めるわけにはいきません。

そこで、民法は「動産取引」については公信の原則を認めることとし(即時取得の制度)、土地・建物など「不動産取引」においては公信の原則を採用しないこととしました。
土地・建物などの不動産取引においては、「虚偽の登記をそれとは知らずに、真実と信じて取引してもそれだけで保護されることはない」として、取引の安全よりも「真実の権利者の利益」を優先させたのです。
これを「登記に公信力はない」といいます。

ポイントまとめ

 物権変動を生じる時期
原則として契約の時(意思表示の時)
ただし、当事者間で特約があるときは、特約に従う。
 公示の原則
物権変動は、外部からわかるように公示しなければならないという原則。
不動産取引では「登記」で公示する。
 公信の原則
真実の権利関係があるような外形を信頼した者は保護されなければならないという原則。
不動産取引には認められておらず、登記(外形)を信じてもそれだけでは保護されない。
登記に公信力はない。

宅建民法基礎|テーマ一覧