|更新日 2020.02.01
|公開日 2017.07.14


れいちゃん01

ここは試験に出るの?

たくちゃん01

直接には出ないね。前提となる基礎知識だね。

れいちゃん02

むつかしいの?

たくちゃん02

いやいや、どんな物権があって、その物権はどんな内容かなど、ごく基本的な知識ばかりだよ。
試験問題は、受験者にはこうした基本知識はあるという前提で出題されるからね。
ザーッとでいいから目を通しておきたいね、15分で終わるよ。

1|物権の種類

 物権法定主義

|物権を勝手に作ってはいけない|
民法は「物権は、この法律その他の法律に定めるもののほか、創設することができない(175条)と定めています。
物権は「民法」や「特別法」で定められたものに限られ、法律の認めない新しい種類の物権をつくったり、法律と異なる内容を物権に与えることはできないとされています。これを物権法定主義といいます。
要するに「勝手に物権をつくるな」ということですが、どうしてでしょうか?

それは、前回で解説しましたように、物権は直接・排他的な権利であることから第三者に対する影響が大きいために、取引当事者によって勝手にいろいろな種類の物権をつくられたり、内容を変更されたのでは取引が混乱してしまい、大変困るわけです。

したがって、法律であらかじめ物権の種類を限定し、権利内容を「定型化」しておいて、取引当事者は、この類型の中からどれかを選択できるだけである、ということにしたのです。物権のメニューがあらかじめつくられていて、当事者はここから選ぶだけなのです。

 物権の種類とその内容

物権法定主義により、民法が定めた物権は10種類です。
このうち宅建試験に必要なのは9種類ですが、所有権抵当権がとくに重要です。

1|所有権とその内容
物資がもっている「一切の価値」を自由に支配する全面的・包括的な物権で、物権の中心的存在です。

「一切の価値」には、3態様(使用・収益・処分)があります。
① 使用 自分で使う
② 収益 他人に利用させて使用料(家賃とか地代)をとる
③ 処分 売却・譲渡したり、抵当権を設定して担保として利用する

自分の家の「所有権」を有していれば、家族で住むのも、人に貸すのも、売り払うのも、借金の抵当に入れるのも自由自在にできます。

次の2~4の物権は「他人の土地」を使用収益する権利で用益物権といいます。

2|地上権とその内容
土地を借りて、そこにマンションや工場を建てるというように、建物や工作物などを所有する目的で、他人の土地を利用する物権です。
土地所有者と利用者の「地上権設定契約」で発生します(約定地上権)
抵当権のところで「法定地上権」が出てきますので、この程度のことを知っておけば十分です。地上権そのものの出題はこの31年間ありません。

3|永小作権とその内容
時代劇かなんかで、田んぼに苗を植えているお百姓が登場しますね。小作人です。
地主から田んぼを借りて「耕作」しているんですね。
永小作権は、他人の土地を借りて「耕作」とか「牧畜」をする物権です。
同じく土地を借りるのですが、建物や工作物を建てるのが目的ではなく、「耕作」したり「牧畜」をするのが目的なのです。
当事者間の「永小作権設定契約」で発生します。

※ 「他人の土地を利用する」という地上権や永小作権の目的は、債権である賃借権によって実現できるため、現在では、他人の土地利用は、圧倒的に賃借権(賃貸借契約)にとって代わられています。

4|地役権とその内容
道路に出るために隣人の土地を通行するというように、隣同士の土地利用を調節するための物権です。当事者間の「地役権設定契約」で発生します。
所有権の「相隣関係」で登場する物権ですが、法令上の制限の「土地区画整理法」でも、たまに出てきます。

次の5~8の物権は、債権を担保する、つまり「債務者から確実に弁済を受けられるようにする」ために利用される物権で担保物権といいます。

5|留置権とその内容
パソコンの修理代金を払ってもらうまでパソコンを返さない、返してほしければ「修理代金」を支払えというように、修理業者である債権者が、債務者の所有物を手元に留置して、債務の弁済があるまで返還しない担保物権です。
所有物を留置することで債務の弁済(修理代金の支払)を確実にするわけです。

6|先取特権とその内容
破産した債務者の総財産を処分して、従業員の給料を優先的に支払うというように、債務者の目的物を処分して、その代金から債権の弁済を受ける担保物権です。
社会政策的な要請から、その成立・内容等が法定されています。

7|質権とその内容
お金を借りる債務者からその所有物を預かって借金の弁済を促し、期限までに弁済がないときは所有物を処分=競売して、その代金から優先的に弁済を受ける担保物権です。
庶民金融の「質屋」(動産質権)がわかりやすいのですが、今日ではほとんど見かけませんね。宅建試験で出題されるのは「不動産質権」です。

8|抵当権とその内容
たとえば、債権者が貸金債権の担保として債務者の不動産に抵当権を設定して、期限までに弁済がないときはその不動産を売却して、売却代金から優先的に弁済を受けるという担保物権です。
民法では「代理」とならんで「最頻出」のテーマです。
「根抵当権」は、通常の抵当権の性質を大幅に修正した特殊な抵当権です。

これら「用益物権」や「担保物権」などの「所有権以外」の物権は、「所有権」の有する部分的な機能・価値についてのみ「限られた範囲」で物を支配するため制限物権と呼ばれます。

 占有権 
もともと物権というのは、物資を利用するために認められた権利なのですが、占有権は、このような物資の利用という「物権本来の内容を有する権利ではない」という特殊な性質を有しています。

占有権は、物資に対する「事実上の支配状態」を、そのまま「権利」として「一応保護する」ために認められた物権です。
「一応」というのは、その支配状態が「正当な権利に基づくものかどうかを問題としないで」ということです。

占有権は、ちょっとわかりにくい権利で、物権の一種とされていますが、権利の「具体的な内容」がありません。ほかの物権と比較するとよくわかります。

たとえば、所有権の内容は、物を自由に「使用・収益・処分できる」権利ですが、占有権には、とくに「何かをする」という内容はありません。

地上権は、建物等を所有するために「他人の土地を使用する」権利で、抵当権は、債権の弁済を受けるために「担保不動産について、他の債権者に先立って債権の弁済を受ける」権利です。

民法の条文には、「所有権の内容」が206条、「地上権の内容」が280条、「質権の内容」が342条、「抵当権の内容」が369条というように、それぞれの物権の「具体的な内容」が規定されているのですが、占有権については「占有権の内容」という規定はどこにもありません。

実のところ、物資が有するすべての価値、つまり使用・収益・処分できる価値は、これらの権利があれば十分に実現できるのであって、とくに占有権がなくても問題はないのです。
そのためか、「占有権は物権ではない」という学者もいるくらいです。

さて、占有権は、物資の「現実の支配・管理」があれば、それだけを根拠に成立が認められる物権で、「物資が人の支配内にあるとき」に、これを「占有」とし、この占有がありさえすれば、それが正当な権利、つまり所有権、地上権、不動産賃借権などの本権に基づくかどうかを一切問わずに占有権を生じることとしたのです。

「所有権」や「賃借権」に基づく占有だけでなく、「事実」に基づく占有があるわけですね。
占有権が認められる最大の趣旨は、事実上の支配・管理をそのまま権利として認めて法秩序を維持するという点にあります。

パソコンを盗んだ犯人に対して、自分に所有権があるからといって「実力行使」して取り返す権利はありません。実力行使を認めると「法秩序」は維持できませんね。
ドロボーに「占有権」が認められるのも、この理由によるのです。

法治国家にあっては、訴訟という平和的な「法的手続」で取り返さないといけないのです。

2|各物権の位置づけ

以上の物権を位置づけてみましょう。
覚える必要はありません。こんな感じかなという程度です。

物権の種類


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