|更新日 2020.5.26
|公開日 2018.1.13

【問 1】 Aは、生活の面倒をみてくれている甥のBに、自分が居住している甲建物を贈与しようと考えている。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によってなされた場合、Aはその履行前であれば贈与を解除することができる。

 AからBに対する無償かつ負担なしの甲建物の贈与契約が、書面によらないでなされた場合、Aが履行するのは自由であるが、その贈与契約は法的効力を生じない。

 Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、甲建物の欠陥については、Aはその負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。

 Aが、Bに対し、Aの生活の面倒をみることという負担を課して、甲建物を書面によって贈与した場合、Bがその負担をその本旨に従って履行しないときでも、Aはその贈与契約を解除することはできない。
(平成21年問9)

 解説&正解 
【1】 [書面による贈与]
口約束など書面によらない贈与は、履行の終わった部分を除いて、各当事者が自由に解除することができる。
しかし「書面によってなされた」贈与は、履行の前後に関係なく、解除することはできない。
書面の場合には、贈与の意思が明確にされているからである。
本肢の記述は誤りです。

※ 口約束による贈与のように「書面によらないとき」には、軽率に贈与の約束をしてしまうことも多いため、原則として解除できる余地を残している。
ただし、すでに履行の終わった部分については解除できない。
判例上、土地・建物の場合には「引渡し」または「登記」があれば履行完了とされるので、「所有権移転登記」がなされたときは、引渡しの有無を問わず、履行が終わったものとされる。

【2】 [書面によらない贈与の効力]
贈与は、一方が、ある財産を「無償で与える意思」を表示し、相手方がこれを「受諾する」という合意だけで成立し効力を生じる。
贈与の成立に書面は不要で、「書面によらない」贈与も「法的効力」を生じる。
したがって贈与者Aは、債務の本旨に従って履行しなければならず、「履行するのは自由である」とはいえないのである。
本肢の記述は誤りです。

【3】 [負担付贈与の担保責任]
「生活の面倒をみる」という一定の給付義務=負担を付けた負担付贈与は、この負担が実質的には対価的な性格を有するので、売買と同様に扱われ、売買に関する規定が適用される。
したがって、甲建物の欠陥については負担の限度において、贈与者Aは売主と同じく担保責任を負うことになる。
本肢は正しい記述です。

【4】 [贈与の解除]
負担付贈与の場合、受贈者Bがその「負担を履行しないとき」は債務不履行となるから、贈与者Aは、贈与契約を解除することができる。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 3

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