|公開日 2020.05.19

【問 1】 AがBに対して建物の建築工事を代金 3,000万円で注文し、Bがこれを完成させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 請負契約の目的物たる建物に契約不適合がある場合、修補が可能であれば、AはBに対して損害賠償請求を行う前に、修補を請求しなければならない。

 請負契約の目的物たる建物に重大な契約不適合があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には、Aは当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。

 請負契約の目的物たる建物に契約不適合があり、その修補に要する費用が契約代金を超える場合には、Aは原則として請負契約を解除することができる。

 請負契約の目的物たる建物の契約不適合について、Bが担保責任を負わない旨の特約をした場合には、Aは当該建物の不適合についてBの責任を一切追及することができなくなる。
(平成18年問6)

 解説&正解 
【1】 [追完請求権]
完成した建物に「契約不適合」があるときは、注文者Aは、請負人Bに対し履行の追完請求権としての修補請求をすることができる。
また損害が生じていれば損害賠償請求ができるのであって(415条1項)、「損害賠償請求を行う前に、修補を請求しなければならない」ものではない。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [損害賠償請求]
「重大な瑕疵」(契約不適合)のために建物を建て替えるほかはない場合には、注文者Aは建替えに要する「費用相当額」の損害賠償を請求することができる。
判例は、建替えの費用を請負人に負担させることは、契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであるとしている(最判平14.9.24)
本肢は正しい記述です。

【3】 [注文者の解除権]
建物が契約内容に適合しない場合には、債務不履行の問題となる。
注文者Aは、相当期間を定めて修補の催告をし、その期間内に履行がないときに契約を解除することができ、一定の場合には催告なしに直ちに解除できる。
「修補に要する費用が契約代金を超える」かどうかの影響は受けない。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [免責特約の効力]
担保責任を負わない旨の免責特約も有効であるが、請負人Bは「知りながら告げなかった事実」については、担保責任を免れることはできない。詐欺に等しい不法といえるからである。
免責特約があるからといって「Bの責任を一切追及することができなくなる」わけではない。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

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【問 2】 Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 本件契約の目的物たる建物に重大な契約不適合があるためこれを建て替えざるを得ない場合には、AはBに対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。

 本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの担保責任の存続期間を20年と定めることができる。

 本件契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。

 Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。
(令和元年問8)

 解説&正解 
【1】 [費用相当額の損害賠償]
「重大な契約不適合」があるために建物を建て替えざるを得ない場合には、注文者Aは、建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
これは、判例の見解で正しい記述です(最判平14.9.24)

【2】 [担保責任の期間制限]
請負人が負うべき担保責任の期間は、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知するまでの期間となる。
したがって、建物の材質にかかわらず「担保責任の存続期間を20年と定める」ことはできない。
本肢の記述は誤りです。

※ 新民法は「担保責任の存続期間を消滅時効の期間内に限り、契約で伸長できる」としていた旧規定を削除している。

【3】 [履行不能]
注文者Aの失火により建物が焼失し増築できなくなったときは、Aの責めに帰すべき履行不能であり、以後、請負人Bは、未履行部分の仕事完成債務を免れる。
本肢は正しい記述です。

【4】 [注文者による解除]
請負人Bが仕事を完成しない間は、注文者Aは、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
条文の文言(641条)どおりで、正しい記述です。

[正解] 2

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