|更新日 2020.02.22
|公開日 2017.10.05

【問 1】 ①不動産質権と②抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば誤っているものはどれか。

 ①では、被担保債権の利息のうち、満期となった最後の2年分についてのみ担保されるが、②では、設定行為に別段の定めがない限り、被担保債権の利息は担保されない。

 ①は、10年を超える存続期間を定めたときであっても、その期間は10年となるのに対し、②は、存続期間に関する制限はない。

 ①は、目的物の引渡しが効力の発生要件であるのに対し、②は、目的物の引渡しは効力の発生要件ではない。

 ①も②も不動産に関する物権であり、登記を備えなければ第三者に対抗することができない。

(平成29年問10)

 解説&正解 

【1】 [被担保債権の範囲]
記述の内容が逆である。
① 不動産質権者は、特約がないかぎり利息は請求できない
不動産質権は、目的物を使用収益できる権利であるため、その利得が利息に相当するとみられるからである。

② 抵当権が担保する利息については、原則として、満期のきた最後の2年分についてだけ抵当権の効力が及ぶ。
抵当権は、抵当権設定者の使用収益を認める権利だから、抵当権設定後も、後順位抵当権者などの利害関係者が現れる可能性があるため、その利益も保護する必要があるからである。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [存続期間]
① 不動産質権の存続期間には制限があって、10年を超えることができない
設定行為でこれより長い期間を定めても、10年に短縮される。所有者以外の者に目的不動産を長期間占有させることは、不動産の効用をそこなうからである。

② 抵当権は、抵当目的物を債務者や物上保証人のもとに置いて、その使用収益を認めるものであり、とくに存続期間は制限されていない使用収益の利益を債務の弁済にあてることができるからである。
本肢は正しい記述です。

【3】 [効力発生要件]
① 不動産質権の設定については、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」と定められている。
つまり、目的物の引渡しが効力の発生要件である。

② 抵当権は、抵当目的物の占有を移転する必要のない性質の権利だから、目的物の引渡しがなくても、設定契約によって効力を生じる。本肢は正しい記述です。

【4】 [対抗要件]
①不動産質権も、②抵当権も、177条にあるように、登記が第三者に対する対抗要件とされている。本肢は正しい記述です。

[正解] 1

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【問 2】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 賃借地上の建物が抵当権の目的となっているときは、一定の場合を除き、敷地の賃借権にも抵当権の効力が及ぶ。

 抵当不動産の被担保債権の主債務者は、抵当権消滅請求をすることはできないが、その債務について連帯保証をした者は、抵当権消滅請求をすることができる。

 抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。

 土地に抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造されたときは、一定の場合を除き、抵当権者は土地とともに建物を競売することができるが、その優先権は土地の代価についてのみ行使することができる。

(平成27年問6)

 解説&正解 

【1】 [従たる権利としての賃借権]
判例は、建物所有に必要な敷地の賃借権は、建物所有権に付随しこれと一体となって一つの財産的価値を形成しているから、賃借地上の建物に抵当権を設定したときには、抵当権の効力は原則として敷地の賃借権にも及ぶとしている(最判昭40.5.4)
本肢は正しい記述です。

※ したがって、抵当権の実行により、競落人が建物所有権を取得した場合には、特段の事情がないかぎり、敷地の賃借権も競落人に移転する。

【2】 [抵当権消滅請求ができる者]
主たる債務者もその連帯保証人も、抵当権消滅請求をすることはできない。
これらの者はもともと抵当債務を負担しているのだから、債務全額を弁済すべきであって、これに満たない金額で抵当権を消滅させるべきではないのである(たとえ抵当不動産の第三取得者となった場合でも)

抵当権消滅請求の制度は、抵当不動産の所有権を取得した第三取得者を保護するための制度だから、主たる債務者、保証人(およびこれらの承継人)は、抵当権消滅請求をすることはできない。
抵当権消滅請求ができるのは、抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られている。本肢の記述は誤りです。

【3】 [代価弁済の効果]
抵当不動産を買い受けた第三者が、抵当権者の請求に応じてその代価を抵当権者に弁済(代価弁済)したときは、抵当権はその第三者のために消滅する。
本肢は正しい記述です。

【4】 [抵当地上の建物の一括競売]
土地への抵当権設定後に、建物が建てられた場合、抵当権者は(建物に抵当権を設定していなくても)土地と建物を一括競売することができる。
これにより、抵当権の実行は容易になり、また土地と建物が同一の買受人(競落人)に属することを可能にして、なるべく建物の存続を図ろうとしているのである。

ただし、抵当権は土地だけに設定されているから、建物の売却代金からは優先弁済を受けることはできない。
本肢は正しい記述です。

[正解] 2

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【問 3】 抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 債権者が抵当権の実行として担保不動産の競売手続をする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要があるが、対象不動産に関して発生した賃料債権に対して物上代位をしようとする場合には、被担保債権の弁済期が到来している必要はない。

 抵当権の対象不動産が借地上の建物であった場合、特段の事情がない限り、抵当権の効力は当該建物のみならず借地権についても及ぶ。

 対象不動産について第三者が不法に占有している場合、抵当権は、抵当権設定者から抵当権者に対して占有を移転させるものではないので、事情にかかわらず抵当権者が当該占有者に対して妨害排除請求をすることはできない。

 抵当権について登記がされた後は、抵当権の順位を変更することはできない。

(平成25年問5)

 解説&正解 

【1】 [物上代位と弁済期]
抵当権を実行するためには、絶対に「被担保債権の弁済期が到来」している必要がある。そもそも弁済期は債務者の利益のためにあるのだから、抵当権者(債権者)がその弁済期到来を無視して抵当権を実行することは許されない。
抵当権と同視できる物上代位を行使する場合も、同じである。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [従たる権利としての借地権]
借地上の建物に抵当権が設定された場合、原則として、抵当権の効力は借地権(抵当不動産の従たる権利についても及ぶ。

判例は「建物所有に必要な借地権は、建物所有権に付随し、これと一体となって一の財産的価値を形成しているから(主物・従物の関係)としている。
本肢は正しい記述です。

【3】 [抵当権に基づく妨害排除請求権]
抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して抵当不動産を適切に維持保存するよう求める請求権を保全するため、その不法占有により、優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、所有者が有する不法占有者への妨害排除請求権を代位行使して、直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができる(最判平11.11.24)
本肢の記述は誤りです。

【4】 [抵当権の順位の変更]
抵当権を登記した後でも、各抵当権者の合意によって抵当権の順位を変更することができる。
ただし、法律関係が複雑になるのを避けるため、順位の変更は、登記をすることが効力要件とされている。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 2

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