|更新日 2020.5.25
|公開日 2017.9.14

【問 1】 AとBとの間で、5か月後に実施される試験(以下この問において「本件試験」という)にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した(以下この問において「本件約定」という)。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 本件約定は、停止条件付贈与契約である。

 本件約定の後、Aの放火により甲建物が滅失し、その後にBが本件試験に合格した場合、AはBに対して損害賠償責任を負う。

 Bは、本件試験に合格したときは、本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。

 本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件試験に合格しても、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。
(平成30年問3)

 解説&正解 
【1】 [停止条件の意味]
「A所有の甲建物をBに贈与する」というのは贈与契約だが、「Bが合格したときには」という条件がついている。
この条件の性質は、「合格する」という事実が成就するまで、贈与の効力を停止しているので停止条件である。

贈与の効力は条件成就まで停止しているので、本件契約は、まさに「停止条件付贈与契約」である。
本肢は正しい記述です。

【2】 [条件付権利の侵害と不法行為]
条件の成否未定の間であっても、条件成就によって生じる相手方の利益を侵害してはならないのは、当然である。
したがって、条件付権利の侵害は不法行為を構成する。
Aの「放火により甲建物が滅失」した行為は、条件付権利を侵害した不法行為となるので、AはBに対して損害賠償責任を負わなければならない。
本肢は正しい記述です。

【3】 [成就の効果|遡及効なし]
停止条件付法律行為は、原則として、停止条件が成就した時から効力を生じる。条件成就の効果が、契約のはじめにさかのぼって効力を生じることはない(遡及効はない)のである。
したがって、Bが「約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する」は誤り。

【4】 [意思無能力者の契約]
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効である(新民法3条の2)
贈与者Aは、約定の時点で「意思能力がなかった」のであるから、そもそも「停止条件付贈与契約」は無効であって、効力を有しない。
したがって、Bが試験に合格しても、本件約定に基づいて甲建物の所有権を取得することはできない。
本肢は正しい記述です。

[正解] 3

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