|更新日 2020.5.26
|公開日 2017.6.17

【問 1】 担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

 抵当権者も先取特権者も、その目的物が火災により焼失して債務者が火災保険金請求権を取得した場合には、その火災保険金請求権に物上代位することができる。

 先取特権も質権も、債権者と債務者との間の契約により成立する。

 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。

 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。
(平成21年問5)

 解説&正解 
【1】 [物上代位性]
抵当権、先取特権、質権には物上代位性があって、担保物権の「対象物」が「ほかの価値物」に変わったときは、その価値物に対して効力を及ぼすことができる。
「目的物」が火災により焼失して、債務者が「火災保険金請求権」を取得した場合には、その火災保険金請求権に対しても担保物権の効力を及ぼすことができる。
本肢は正しい記述です。

【2】 [担保物権の成立]
質権は、債権者と債務者の質権設定契約および目的物の引渡しによって成立する「約定担保物権」である。
一方、先取特権は、公平の観点や経済的な弱者の保護という社会政策的な理由から、法律に基づいて認められた「法定担保物権」である。
法律の立法趣旨に基づき、いわば強制的に成立する。本肢の記述は誤りです。

【3】 [担保物権の成立]
留置権も先取特権も、動産および不動産について成立する。
本肢の記述は誤りです。

【4】 [善管注意義務]
留置権者も質権者も、目的物を「善良な管理者の注意」をもって占有しなければならない義務、つまり善管注意義務がある。
留置権も質権も、有償契約に基づいて、他人の物を占有(保存・管理)するのだから、破損・毀損しないようていねいに扱えというわけである。
「自己の財産に対するのと同一の注意」では足らない。
本肢の記述は誤りです。

※ 善管注意義務と対比されるのが、これより軽い「自己の財産におけると同一の注意」で、こちらは自分の物に対するのと同じ程度の注意でよいというもの。

[正解] 1

…………………………………………………………

【問 2】 ①不動産質権と②抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 ①では、被担保債権の利息のうち、満期となった最後の2年分についてのみ担保されるが、②では、設定行為に別段の定めがない限り、被担保債権の利息は担保されない。

 ①は、10年を超える存続期間を定めたときであっても、その期間は10年となるのに対し、②は、存続期間に関する制限はない。

 ①は、目的物の引渡しが効力の発生要件であるのに対し、②は、目的物の引渡しは効力の発生要件ではない。

 ①も②も不動産に関する物権であり、登記を備えなければ第三者に対抗することができない。
(平成29年問10)

 解説&正解 
【1】 [被担保債権の範囲]
記述の内容が逆である。
① 不動産質権者は、特約がないかぎり「利息」を請求することができない。
というのも、不動産質権は、質権者が目的不動産を使用収益できる権利だから、その利得が利息に相当するとみられるからである。

② 抵当権が担保する「利息」については、原則として、満期のきた最後の2年分についてだけ効力が及ぶ。
抵当権は、債務者や物上保証人など抵当権設定者の使用収益を認める権利なので、抵当権設定後も、後順位抵当権者などの利害関係者が現れる可能性があり、その利益も保護する必要があるからである。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [存続期間]
① 不動産質権の存続期間には制限があり、10年を超えることができない。
設定行為でこれより長い期間を定めても、10年に短縮される。
所有者以外の者に目的不動産を長期間占有させることは、不動産の効用をそこなうからである。

② 抵当権は、目的不動産を債務者等の支配下に置いて使用収益させるため、とくに存続期間は制限されていない。
使用収益の利益を債務の弁済にあてることができるからである。
本肢は正しい記述です。

【3】 [効力発生要件]
① 不動産質権の設定については、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」(344条)と定められている。
つまり「目的物の引渡し」が効力の発生要件である。

② 抵当権は、目的不動産の占有を移転する必要のない性質の権利だから、目的物の引渡しがなくても、設定契約によって効力を生じる。
本肢は正しい記述です。

【4】 [対抗要件]
①不動産質権も、②抵当権も、177条にあるように、登記が第三者に対する「対抗要件」とされている。
本肢は正しい記述です。

[正解] 1

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