|公開日 2020.03.08

【問 1】 AがBに対して1,000万円の貸金債権を有していたところ、Bが相続人C及びDを残して死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 Cが単純承認を希望し、Dが限定承認を希望した場合には、相続の開始を知った時から3か月以内に、Cは単純承認を、Dは限定承認をしなければならない。

 C及びDが相続開始の事実を知りながら、Bが所有していた財産の一部を売却した場合には、C及びDは相続の単純承認をしたものとみなされる。

 C及びDが単純承認をした場合には、法律上当然に分割されたAに対する債務を相続分に応じてそれぞれが承継する。

 C及びDが相続放棄をした場合であっても、AはBの相続財産管理人の選任を請求することによって、Bに対する貸金債権の回収を図ることが可能となることがある。

(平成19年問12)

 解説&正解 

【1】 [相続の承認]
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみすることができる。
つまり、Cが単純承認して、Dが限定承認することはできないのである。
本肢の記述は誤りです。

【2】 [法定単純承認]
遺産を売却する、壊すなど、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、相続人は単純承認をしたものとみなされる(処分による法定単純承認)
本肢は正しい記述です。

【3】 [債務の共同相続]
1,000万円の金銭債権金銭債務は、他の財産とは異なり、遺産分割を経ずに、各共同相続人にその相続分に応じて直接承継される。
したがって、C・Dが単純承認をした場合には、相続分に従って分割された債務をそれぞれが承継することになる。
本肢は正しい記述です。

※ なお判例は、預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるものではなく、金銭債権など他の可分債権と異なり、遺産分割の対象になるとしている(最判平28.12.19)

【4】 [相続人不存在の財産管理]
全員が「相続放棄」をしたときは、相続人不存在により相続財産は法人とされるが、この場合、利害関係人等の請求によって、相続財産管理人が選任される。
この手続により、債権者Aは貸金債権の回収が可能となることがある。
本肢は正しい記述です。

[正解] 1

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