|公開日 2020.05.18

【問 1】 AがBから事業のために1,000万円を借り入れている場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 AとBが婚姻した場合、AのBに対する借入金債務は混同により消滅する。

 AがCと養子縁組をした場合、CはAのBに対する借入金債務についてAと連帯してその責任を負う。

 Aが死亡し、相続人であるDとEにおいて、Aの唯一の資産である不動産をDが相続する旨の遺産分割協議が成立した場合、相続債務につき特に定めがなくても、Bに対する借入金返済債務のすべてをDが相続することになる。

 Aが死亡し、唯一の相続人であるFが相続の単純承認をすると、FがBに対する借入金債務の存在を知らなかったとしても、Fは当該借入金債務を相続する。

(平成23年問10)

 解説&正解 

【1】 [混 同]
債権と債務が同一人に帰属したときは、債権を成立させる意味がないため、混同によって債権は消滅する。
しかし、婚姻は混同ではなく、また夫婦の一方が婚姻前から有する財産は、単独で有する財産=特有財産とされている。
婚姻したからといって、AのBに対する借入金債務が消滅することはない。
本肢は誤った記述です。

【2】 [養子縁組の効果]
養子は、養子縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
しかし、縁組をして嫡出子の身分を取得したからといって、当然に養親Aの借入金債務について連帯責任を負担するものではない。本肢は誤った記述です。

【3】 [債務の共同相続]
共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。つまり債務についても相続することになる。
したがって遺産分割協議により、Dが唯一の資産である不動産を相続した場合に、相続債務につき特に定めがないからといって、Dが借入金返済債務のすべてを相続することにはならないのである。
本肢は誤った記述です。

【4】 [単純承認の効力]
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
したがって、借入金債務の存在の知・不知にかかわらず、つまり「知らなかった」としても、借入金債務を相続する。
本肢は正しい記述です。

[正解] 4

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【問 2】 Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

 ①BがAの配偶者でCがAの子である場合と、②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。

 Aの死亡後、いずれもAの子であるBとCとの間の遺産分割協議が成立しないうちにBが死亡したときは、Bに配偶者Dと子Eがいる場合であっても、Aの遺産分割についてはEが代襲相続人として分割協議を行う。

 遺産分割協議が成立するまでの間に遺産である不動産から賃料債権が生じていて、BとCがその相続分に応じて当該賃料債権を分割単独債権として確定的に取得している場合、遺産分割協議で当該不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権につき清算する必要はない。

 Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。

(平成29年問6)

 解説&正解 

【1】 [法定相続分]
相続人の法定相続分は 900条各号に定められている。
① 配偶者と子が相続人のとき、その相続分は、それぞれ1/2 だから、配偶者B1/2、子C1/2 である。
② 子B・Cだけが相続人のとき、その相続分は均等だから、B1/2、C1/2 となり、①・②は同じである。
したがって、「①の方が大きい」との記述は誤りです。

【2】 [代襲相続に該当する事由]
代襲相続は、被相続人Aの子Bが、①相続の開始以前に死亡したとき、または、②相続欠格事由該当するか廃除によって、その相続権を失ったときに生じる。
本肢の場合、どれにも該当せず代襲相続が問題となることはない。
Eは「代襲相続人として」ではなく、Bの相続人として遺産分割協議を行うのである。本肢の記述は誤りです。

【3】 [遺産分割の効力]
遺産分割協議で遺産である不動産をBが取得することになっても、Cが既に取得した賃料債権について清算する必要はない。

判例は「遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生じるものであるが、遺産である賃貸不動産の使用管理により生じる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものであるから、後にされた遺産分割の影響を受けない」としている。
本肢は正しい記述です。

【4】 [限定承認]
相続人が数人あるときは、共同相続人の全員の共同でなければ限定承認をすることはできない。
1人1人について限定承認を認めれば、清算手続が非常に複雑になるからである。
Bが家庭裁判所に限定承認を申述したからといって、Cも限定承認を申述したとみなされることはない。
本肢の記述は誤りです。

[正解] 3

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