|更新日 2019.7.13
|公開日 2017.5.10

【問 1】 相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 土地の所有者は、境界において障壁を修繕するために必要であれば、必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる。

 複数の筆の他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。

 Aの隣地の竹木の枝が境界線を越えてもAは竹木所有者の承諾なくその枝を切ることはできないが、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、Aはその根を切り取ることができる。

 異なる慣習がある場合を除き、境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことができる窓を設ける者は、目隠しを付けなければならない。

(平成21年 問4)


 解説&正解 

 正しい [隣地を使用できる場合]
土地の所有者は、境界またはその付近において障壁や建物を築造し、または修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。

※ 隣地の使用には、隣人の承諾が必要だが、承諾を得られないときは、承諾に代わる判決を得て使用することができる。
ただし、住家に立ち入る場合の承諾は、隣人自身の意思に基づくことが必要であり、判決によって承諾に代えることはできない。
隣人の人格的利益を侵害する可能性があるからである。

 誤り [通行の方法]
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行できる。
ただし、通行の場所・方法は、
① 通行権者に必要な範囲で、かつ、
② 他の土地のために最も損害の少ないもの、でなければならない。

「他の土地を自由に選んで通行する」ことはできないのである。

 正しい [竹木の枝と根が越えてきた]
隣地から竹木の「枝」が境界線を越えてきても、自分で勝手に切断することはできず、竹木所有者にその枝を切除させることができるだけである。
所有者に植えかえの機会を与えるためとされる。

一方、竹木の「根」が境界線を越えてきたときは、自分で切り取ることができる。
根の場合は移植の機会を与えるほどの必要はないと考えられたからである。

 正しい [境界線付近の観望制限]
境界線から1m未満の距離に、他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側・ベランダを設けるときは、目隠しを付けなければならない。
隣人のプライバシー保護のためである。

[正解] 2

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【問 2】 甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。

 甲土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。

 甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。

 甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。

(平成25年 問3)


 解説&正解 

 正しい [通行の方法]
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行できるが、その場所・方法は、
① 通行権者に必要な範囲で、かつ、
② 他の土地のために最も損害の少ないもの、でなければならない。

※ なお通行権者は、通行する他の土地の損害に対して、原則として償金を支払わなければならない。

 正しい [分割による場合]
分割したことによって土地が公道に通じなくなった場合には、Aは、公道に出るために、その分割者の土地を通行することができる。
この場合には、償金を支払う必要はない

 正しい [賃貸借契約があるとき]
他人が所有している土地を通行するために、その土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合には、当然にその土地を通行することができる。

 誤り [通行地役権の時効取得]
「隣接地の所有者」が自らが使用するために通路を開設した場合に、公道に通じていない甲土地(袋地)の所有者Aが「その通路を利用し続け」ても、時効によって通行地役権を取得することはできない。
通路の開設は、要役地(袋地)所有者Aによってなされることを要するとするのが判例である(最判昭33.2.14)

[正解] 4


(この項終わり)