|更新日 2020.5.20
|公開日 2017.5.08

【問 1】 甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない場合、Aは、公道に出るために甲土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。

 甲土地が共有物分割によって公道に通じなくなった場合、Aは、公道に出るために、通行のための償金を支払うことなく、他の分割者の土地を通行することができる。

 甲土地が公道に通じているか否かにかかわらず、他人が所有している土地を通行するために当該土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合、Aは当該土地を通行することができる。

 甲土地の隣接地の所有者が自らが使用するために当該隣接地内に通路を開設し、Aもその通路を利用し続けると、甲土地が公道に通じていない場合には、Aは隣接地に関して時効によって通行地役権を取得することがある。

(平成25年問3)

 解説&正解 

【1】 [通行の方法]
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行できるが、その場所・方法は、
① 通行権者に必要な範囲で、かつ、
② 他の土地のために最も損害の少ないもの、でなければならない。

「他の土地を自由に選んで通行できるわけではない」のである。
本肢は正しい記述です。

※ なお通行権者は、他の土地の損害に対して、原則として償金を支払わなければならない。

【2】 [分割による場合]
分割したことによって土地が公道に通じなくなった場合には、Aは、公道に出るために、その分割者の土地を通行することができる。
この場合には、償金を支払う必要はない。
本肢は正しい記述です。

【3】 [賃貸借による通行]
賃貸借契約は、ある物を使用・収益することがその内容なので、他人が所有している「土地を通行するため」に、その土地の所有者と賃貸借契約を締結した場合には、当然にその土地を通行することができる。
本肢は正しい記述です。

【4】 [通行地役権の時効取得]
「隣接地の所有者」が自らが使用するために通路を開設した場合に、公道に通じていない甲土地の所有者Aが「その通路を利用し続け」ても、時効によって通行地役権を取得することはできない。
通路の開設は、甲土地=要役地の所有者Aによってなされることを要するとするのが判例である(最判昭33.2.14)
本肢の記述は誤りです。

[正解] 4

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