|更新日 2019.7.13
|公開日 2017.5.10

【問 1】 A、B及びCが、建物を共有している場合(持分を各3分の1とする)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

 Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。

 Aは、BとCの同意を得なければ、この建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。

 Aが、その共有持分を放棄した場合、この建物は、BとCの共有となり、共有持分は各2分の1となる。

 各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるのが原則であるが、5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。

(平成15年 問4)


 解説&正解 

 誤り [持分の自由処分]
Aは、B・Cの同意を得なくても、単独で自己の共有持分権を売却することができる。
もともと持分は所有権だから、各共有者は、自己の持分を自由に譲渡したり、抵当権を設定するなどの処分ができるのは当然なのである。

 正しい [共有物の変更]
各共有者A・B・Cは、他の共有者の同意を得なければ、共有物に物理的損傷や改変などの変更を加えることができない。

共有物の変更とは、田を畑にしたり、共有山林を伐採するなどのように物理的に変化させたり、売却・抵当権設定などのように法律的に処分することをいう。
変更は全員の利益に重大な影響を与えるため、全員の同意によって行わなければならないのである。

 正しい [持分の放棄]
Aが共有持分を放棄すれば、建物は他の共有者B・Cの共有となり、その持分は、持分の比率に応じて各2分の1となる。

 正しい [不分割契約の期間]
共有物については、分割しない旨の不分割契約をすることができるが、その期間は5年を超えることができない。
共有は複雑な法律関係を生じるため、できるだけ早く解消されたほうが望ましいから、長期間の不分割状態を認めない趣旨なのである。

※ 不分割契約は更新できるが、更新の時から、やはり5年を超えることはできない。

[正解] 1

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【問 2】 A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 共有者の協議に基づかないでAから甲土地の占有使用を承認されたDは、Aの持分に基づくものと認められる限度で甲土地を占有使用することができる。

 A、B及びCが甲土地について、Eと賃貸借契約を締結している場合、AとBが合意すれば、Cの合意はなくとも、賃貸借契約を解除することができる。

 A、B及びCは、5年を超えない期間内は甲土地を分割しない旨の契約を締結することができる。

 Aがその持分を放棄した場合には、その持分は所有者のない不動産として、国庫に帰属する。

(平成19年 問4)


 解説&正解 

 正しい [共有物の使用]
共有者の1人1人は、共有物の全部について、それぞれの持分に応じた使用をすることができる。また、単独で自由に自己の持分割合を処分(売却、賃貸など)することもできる。
したがって、Aの持分に基づいて甲土地の占有使用を承認されたDは、その限度で甲土地を占有使用することができることになる(あたかも、A自身がその持分に基づいて使用できるのと同じように)。

 正しい [賃貸借の解除|管理行為]
賃貸借契約の解除は、共有物の管理行為にあたり、各共有者の持分価格の過半数で行うことができる。
AとBが合意すれば、持分価格の過半数(2/3)となるため、「Cの合意はなくとも」賃貸借契約を解除することができるのである。

※ なおこの場合、「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から、またはその全員に対してのみ、することができる」という解除権の不可分性を定めた544条1項は適用されない。

 正しい [共有物の不分割期間]
記述のとおり。不分割期間を5年の短期にしたのは、いつでも分割請求できるという分割自由の原則との調和から、長期間の不分割契約を認めない趣旨なのである。

 誤り [持分の放棄]
共有者の1人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
Aが共有持分を放棄すれば、甲土地は、BとCの共有となり、共有持分は各2分の1となる。「国庫に帰属」するのではない。

[正解] 4

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【問 3】 A、B及びCが、持分を各3分の1として甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 甲土地全体がDによって不法に占有されている場合、Aは単独でDに対して、甲土地の明渡しを請求できる。

 甲土地全体がEによって不法に占有されている場合、Aは単独でEに対して、Eの不法占有によってA、B及びCに生じた損害全額の賠償を請求できる。

 共有物たる甲土地の分割について共有者間に協議が調わず、裁判所に分割請求がなされた場合、裁判所は、特段の事情があれば、甲土地全体をAの所有とし、AからB及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割することができる。

 Aが死亡し、相続人の不存在が確定した場合、Aの持分は、民法第958条の3の特別縁故者に対する財産分与の対象となるが、当該財産分与がなされない場合はB及びCに帰属する。

(平成18年 問4)


 解説&正解 

 正しい [保存行為]
共有物の現状を維持する保存行為は全員の利益になるから、各共有者が単独ですることができる。
不法占有者Dに対する明渡請求は保存行為にあたるから、Aは持分に関係なく「単独」で甲土地の明渡請求ができるのである。

 誤り [不法占拠者に対する損害賠償請求権]
不法占有者Eに対する損害賠償請求権は、持分の割合に応じて各共有者に分割帰属する。Aは、単独では自己の持分相当額のみ請求できるのであって「損害全額の賠償」の請求はできない(最判昭41.3.3)

 正しい [裁判所による分割]
裁判による共有物分割においては、裁判所は『共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情』があれば、共有物を共有者1人の所有とし、他の共有者には持分の価格を賠償させる方法(全面的価格賠償)により分割することができる。

 正しい [持分の帰属]
共有者の1人Aが死亡して相続人がいない場合、Aの持分は、まず特別縁故者に対する財産分与の対象となり、財産分与がない場合には、他の共有者B・Cに帰属する。

[正解] 2


(この項終わり)